連載更新しました。今後できるところまで毎日更新する予定ですが、来週からは新盆関係で更新が滞るかもしれませんがよろしくお願いします。
ひょうまは最初、けーこが部屋にいなかったことにむしろほっとしていた。
昨夜はひょうまが身体も会話もかわしてしまい、テレビ見ながら眠ってしまったので、今朝はどういう空気になっているのか、まさかとは思うが朝から求められたらかなわない。
だが、時刻はまもなく9時。
ひょうまが起きたのは8時過ぎだから、えらく戻りが遅いものだ・・・って
(どこに行ったかもわからない)
どんな状態だったにしても、朝食は一緒に食べて一緒にチェックアウトはするつもりだった。
(どこへ行ったんだ?)
携帯鳴らしたが、つながらない。
ひょうまははっとして、収納棚を開ける、果たして、ひょうまの上着だけはかかっているも、けーこの衣類が消えていた。
よく見ると、入り口においてあったけーこのキャスターもないではないか。
(帰った!?)
ひょうまにとってはさすがに想定外。
けーこから消えるなんて、想像してなかった。
しかも、フロントでチェックアウト時、支払いもすでにけーこがしていったという。
(相当怒ってるのかもしれんな・・・)
若干反省するひょうま。
復縁初夜だったのだから、言葉だけでももう少しそれらしい雰囲気をつくってやればよかったのかもしれない。
(会ってないときはそういう気持ちも持てるんだけど・・・)
会ってしまったりメールや電話が来てしまうとどうしてもいらつきさえ覚えだしているのが現状。
(嫌いじゃないんだけど・・・)
嫌いじゃないなら友達とでも思えばいいではないか。
どうせとにかく今は何もできっこない。
野球は捨てられない以上、かつ、おきゅうも三門の妻で収まっている以上。
友達か・・・。
女友達は一人もいなかったひょうま、男友達と違ってどうやって接したらいいのかわからない。
(じゃあ、きょうだいのように思えばいいのか?)
姉、あきこを思い浮かべる。
無理無理無理、ひょうまはかぶりを振った。
同時刻、けーこは、みずうみのほとりホテルから少し離れた場所にある、同じ湖畔沿いのホテルのラウンジに1人で座っている。
昨夜は一睡もできなかった。
ペナントレース終盤ごろからひょうまの態度が変わっていった気がするが、復縁話が現実化し、もともとひょうまも早期復縁を望んでいたはずなのだから、これで安心するかと思ったら、昨日は今までで一番ひどい態度をとられてしまった。
会っても手を握ってくれるわけでもなく、昨夜の復縁パーティを話題にするでもなし、さっさとテレビをつけてしまい、1人で見入ってるひょうまに驚き、悲しさも覚えてテレビを消してしまった。
ついでに、電気も消してみる。
S湖畔の明かりが浮かび上がり、結構ムーディな雰囲気になった。
けーこは気を取り直し、窓際にたたずむ。
かつてのひょうまなら、後ろから抱きしめてくれて、ベッド直行。
今のひょうまは?
すべてお膳立てを整えたにもかかわらず、ひょうまは“のってこなかった。”
けーこの悲しみは頂点に達し、泣きながら気持ちを訴えたのに、ひょうまははぐらかすだけはぐらかすと、またテレビをつけてけーこを無視するではないか。
やがて爆睡しはじめたひょうまをあきれるようなまなざしで見ながら、けーこは全然眠れず・・・。
そんなとき、携帯にメールが入ってきた。 つづく