連載更新できないかと思いましたが、更新できました。

次回は週の後半にの更新になると思いますがよろしくお願いします。

毎日暑いので皆様も体調気をつけてお過ごしください。ドキドキ


 知らなかったとはいえ、おきゅうは一度ならず二度までも、子供、城戸涼介の人生を変えてしまったのだ、といたたまれない思い。
 一度目は、子供を亡くしたことになってしまったこと。
 おきゅうは当時はすでに不良グループとはかかわりを持っていなかったのだが、周りが勝手に気を回し、おきゅうの居場所を探し出し、おきゅうを助けようとした、仲間の気持ちもわからないではない。
 しかし、かたぎの人間には通用しなかったのだ。
 おきゅうが普通の、かたぎだったら、親子とも生命の危機を脱したのだから、何の問題もなく、おきゅうと子供は一緒にいられたことは間違いない。
 二度目は、親の素性がわからないということで、城戸は恋人と別れさせられてしまったこと。
 素性がわかっていたら、おそらく、今頃城戸は、有坂咲と結婚して、幸せな家庭を築いていたに違いない。
 今思えば、美波復活パーティで、美波が婚約発表をしたとき、城戸の表情が暗そうなのが気になってはいたのだが、通り一遍の挨拶しかできなかった。
 あまり言葉をかけすぎて、城戸に不審がられるのもまずいと、おきゅうは城戸と話すときは常に緊張を強いられていたので。
 

(どうすればよいのか・・・)
 簡単だ。
 有坂氏にアポをとって、カウンセリングではなく、事実を伝えれば解決するだろう。
 事情をきちんと伝えれば、有坂氏は理解してくれるはず。
(でも・・・)
 こんな大事な事実を、当の本人に伝える前に、まだ他人の有坂氏に話すのはいかがなものか。
 しかも、もうひとつ大きな問題が、あった。
 父親の存在。
 城戸涼介の父親のことだ。
 牧からも当然のように聞かれたが、おきゅうは答えなかった。
 一瞬だが、牧が余計なおせっかいを焼かなければ・・・思ったことも。
(でも、いくら酔っ払っていたとはいえ、事実を知るきっかけをつくったのは私・・・)
 火のないところに煙はたたないのだ。
 涙が止まり、代わりにおきゅうの口から深いため息が何度も漏れた。


 信州S湖市、みずうみのほとりホテル。
 ひょうまはテレビを見ながらソファにそのまま眠ってしまったようだ。
 朝日が射し込み、眼を覚ましたひょうまは、不自然な格好で寝たせいか、身体の節々が痛い。
 ベッドのほうに眼をやると、ベッドは綺麗になっている。
 けーこはどうしたのだろうか。
 けーこもベッドを使わなかったのか。
 一応、所在を確認してみるも、洗面所にもいる気配がないし、トイレも空いている。
(いない・・・?)
 どこへ行ったのか。
 思いつつ、ひょうまはざぶざぶと洗顔し、歯を磨いて身支度を整えた。
 まあ、朝食をとって、チェックアウトと同時に、用事があると言って別れる予定。
 けーこは確か翌日東京で仕事があるということだから、今日中には戻らなければならないだろうが、最終の特急でもいいと言い出しかねない、一晩一緒にいてやったのだから、さすがに今日一日また一緒なんて、SEX抜きでも難しそうだし、時間をもてあましてしまうだろう。
 だから、無理やり今日は用事を入れたのだ。
 チェックアウトまでまだ2時間ある。
 どこに行ったか知らないが、そのうち戻ってくるだろう。
 せめてチェックアウトくらいまではいてやらないと。今のひょうまは、どうにも身動きが取れないので。
 つづく