今月は忙しいので、更新があまりできないかもしれませんが、連載は続けていますのでよろしくお願いします。
S湖市駅前にあるマッキーチーム首脳陣が住むマンション。
日本シリーズが終わってから、マンションにまともに戻ってきている人物はひょうまのみ。
鼻形はあきことみずうみのほとりホテルでよろしくやると言ったきり連絡なし、牧は東京、三門も、美波の自宅前で別れて以来、帰っている形跡があるも、会うことはない。
(いいんだけど・・・)
まさか、ひょうまとけーこのサプライズ結婚式の準備を面々が進めているとは夢にも知らず、知ったら、いいんだけど・・・などと気だるくいられないだろう。
テレビをつける。
地元局のCMが流れている。
「マッキーS湖ナチュラルズ日本一優勝パレードの後にサプライズが待っています!何があるかはお楽しみに!」
S湖市にプロ野球チームができたこと自体、市民にとっては嬉しい誤算であった上に、まさか短期間で日本一になるとは、市民も想像してなかったことだろう。
S湖市駅前にあるデパートでは、無期限で日本一セール続行中。
優勝パレードは、なんと、市内主要道路はくまなく回るという・・・したがって、数回にわけて行い、その模様は地方局ですべて生中継されるというフィーバーぶり。
「ピンポーン」
何も考えず、ひょうまはドアフォンを押す。
(ああ・・・!)
「いいですか?」
「ああ、今開ける・・・」
玄関を開けると、スーツを着た美波が一人で立っていた。
咲とのことはどのように決着をつけたのか、笑顔を見せてない美波、正式に破談にしたのか。
美波をリビングに通す。夕方のこととて、お茶より酒がふさわしい時刻なのだが、果たして、話し向きとしてはふさわしいのかどうか。
(結局うまい話でなかったとしても、憂さ晴らしさせるには酒がいいか)
ひょうまは冷蔵庫からビールと、適当につまみを用意してやった。
「まあ、飲みながら話そう」
ひょうまはグラスを口にする。
美波も、形だけ口をつけるとすぐにグラスを置いた。
「・・・終わりました・・・」
うなずくひょうま。
「僕の復活パーティの場で公表してしまっているので、対外的にはどうすればいいかは、広報半さんにも相談しなきゃいけないですが、星コーチにはいろいろお話ししているので、まずはご報告にと」
「そうか」
「ま、親父にはさんざんしぼられましたがね」
「え!?」
だって、美波の責任で終わりにしたわけではなく、美波自身もいわば被害者なのに。
「星コーチ・・・僕のほうも無理みたいでした」
城戸と咲の過去バレミーティングのあと、咲と2人だけになった美波。
「本当にごめんなさい」
繰り返すばかりの咲。
「本当に僕じゃあダメなの?」
往生際悪く問いかけてしまう美波。
「理さんのことを嫌いになったんじゃないの。私が悪いだけなの・・・きっと、理さんと結婚するべきなんだろうけど・・・」
美波は咲を強引に抱きしめようとした。 つづく