更新できなかったので、2話連続で更新します。


「先生、咲さんと今度はちゃんと2人で将来を決めてくださいよ」
「・・・でも・・・美波と咲ちゃんは・・・」
「フッ・・・結果は先生にだって読めてるでしょう?」
 ひょうまが薄く笑う。
「だって、星さんが美波君と咲ちゃん2人だけにして話すように仕向けてるじゃないですか」
「それは先生も同じでしょ?先生だって、咲さんがわざわざ訪ねてきたのを、何もせず、美波宅に行くようにした・・・」
 城戸も苦笑いを。
「形を作る必要があった。このままじゃ美波もかわいそうだ。結果は同じでも、美波自身もちゃんと決めたという形をね・・・俺にとっては美波は大事な戦力であり、大事な選手だ」
「・・・僕にとっても、美波君は・・・友人・・・ですからね・・・」
 友人というときだけ城戸はちらと屈託を見せた。
「だからといって、やはりあのときと状況はまったく変わってない・・・。いや、美波君との婚約解消した理由が僕となれば、咲ちゃんの父は絶対に僕らのことは許さんでしょうね・・・」
 肩を落とした城戸に手をおくひょうま。
「いや、ひとつ変わってる。さっきも言ったが先生は、施設がかりで暮らす高校生ではなく、今や優秀な外科医であり、プロ野球マッキーチームドクターとして活躍し、自立した生活をしているということですよ」
「・・・武器に使えますかね・・・」
「最強の武器じゃないの?ははは」
 最後に少し冗談を言えたとこでひょうまは城戸宅を辞した。
 さすがにもう真夜中、タクシーを拾い、ひょうまはまっすぐ帰宅。
 三門はまだ戻っていないようだ。
(用事ができたって・・・何の用事ができたんだ・・・?)
 おきゅうのことは、とりあえず、話は全部聴けたはずだし、まあ、カウンセラーとしては出すぎたことをしたことになるも、結果、問題解決へつなげられたのだから、ひょうまとしてはよくやった、おきゅう、といいたいところ。

(・・・とにかく疲れた・・・)
 城戸と咲の話を聞き疲れてしまった。
ひょうまとみーなの悲恋どころの騒ぎじゃない。
 ベッドに入るも、神経が高ぶっているようで、眠れない。
(はあ・・・)
 城戸のことが気の毒になる、と同時に美波のことも。
 美波は城戸に縛られ、城戸の前に立ちはだかる美波。
 もとは純粋な親友ともいえる関係だったろうに。
 半ちゅう太の顔が浮かんだ。
(奴とも単なる親友じゃなかったもんな)

 ひょうまと半の場合は、故いっかつ親父に操作され、高校入学したとき親友関係を結び、これまたいっかつの手によって半が巨○軍からいっかつがコーチを務めていたドラゴンズにトレードするよう仕向け、親友関係を壊されてしまった。
 左腕崩壊して一旦野球から遠ざかると、また、親友関係を結び、ひょうまが巨○軍復帰には生活面から何から尽力してくれた半、なのに、けーこの出現で、最初はひょうまが結婚するも離婚、すかさず半がけーこと結婚するも、ひょうまけーこ復活プロジェクトによって半はけーこと離婚した。
 自身の意志でけーこと離婚したと思っている半、デブ専と再婚もできて、現状ではひょうまとは特に関係は悪化してないが、けーこと出会ったころは、ひょうまはけーこの気持ちがわからず、半に喧嘩をうったりして、その後も結婚離婚では、半とは微妙な関係だった。
(もっと早くおきゅうへの気持ちに気づいていれば・・・半とももっとシンプルに親友としてつきあえたのに)
 30余年前に気づいていれば、三門だっておきゅうと結婚なんて夢を描かず、すんなりあきらめてくれてただろう。
 現在も、けーこと結婚するとなれば、半はどう思うだろうか。既に再婚したから素直に祝福してくれるのか。
 仮に半は祝福してくれても、ひょうま自身が祝福できないかも、なんという複雑さ。
 つづく