このお話は、巨○の星の続編を想定して書いたものです。 


不定期の連載ですが続けていきますのでよろしくお願いします。ドキドキ




 けーこがシャワーから出てきた。
 ひょうまも、とりあえずシャワーを使おうとベッドから降りる。
 ひょうまと無言ですれ違うけーこ。
 だが、シャワールームへ行くと、ひょうまのために洗い立てのパジャマと下着が綺麗にたたんで置いてあるではないか。
(いつもどおりだ・・・)
 けーこはどうしたらいいのかわからないのだろう。けーこにしてみたら、ひょうまの変化はまったく理由もわからないだろうし、不安なのかもしれないし、わけわからない状況に耐えているのかもしれない。
(申し訳ない・・・)
 おきゅうに気持ちがあるとわかって以来、初めてけーこに対して涙が零れ落ちた。
 シャワーからあがると、ひょうまはパジャマをいったん抱き、それから着替えるのであった。
 髪の毛を整え、リビングに行くと、けーこがヒレカツを冷蔵庫にしまおうとしているところ。
「けーこ・・・」
 ひょうまは後ろからけーこを抱きしめる。
「ひょうまさん・・・」
「ごめん・・・」
「・・・どうして?何も悪いことしてないじゃないの・・・」
 ひょうまは言葉に詰まったが、
「ヒレカツのことや・・・さっきも・・・その、できなかったし・・・」
 本当は違うごめんなのだけど、勿論いえっこない。
 けーこはくるりとひょうまに向き直ると、顔をうずめてきた。肩が小刻みに震えている。
「ひょうまさん・・・」
 けーこの声がぬれていた。ひょうまもまた、目が潤んでくる。
(これが情というものなんだな・・・)
 愛と情、どちらも100パーセント消え去ってくれなければ、別れることはできないのだと、ひょうまは身をもって知ったのだった。
 
 その後、夕食から「やり直し」、再びベッドに入ったのは真夜中。
 今度はひょうまはけーこを抱いている。
 今夜は再び関係を挑む自信はなかったので、せめて一晩中でも抱いていようと思った。
(きゅう子さんも、同じなんだろうな・・・)
 少なくとも情は絶対あるだろう、三門に対して。
 ひょうまにしても、おきゅうにしても、互いの相手と何年も一緒に過ごしてきているのだから。
(もしかしたら・・・)
 ひょうまとおきゅうは一生、このままなのかもしれない。
(それもアリなのかもしれん・・・)
 ひょうまに抱かれて安心したのか、軽い寝息をたてているけーこを見て、寂しい笑みを浮かべるひょうまであった。


 3連戦中、つまり、東京滞在中、ひょうまはけーこのマンションで過ごすことが首脳陣らの暗黙のルールになっていた。
 移動の夜はギクシャクと不完全燃焼な関係に陥りながらも、ひょうまが「情」に気づき、最後はけーこにも素直に接することができたひょうま。しかし、3日連続不完全燃焼というわけにもいくまい。
(今夜はちゃんとしないと・・・)
 おきゅうをとにかく頭から振り払い、挑むしかないと、試合のことよりその後のことばかり心配するひょうま。
「3つ全部いただく、そして、S湖スタジアムに戻って次の連戦で優勝を決めるからな!」
 鼻形が激を飛ばし、みんなも「オー!」口々に叫ぶなか、ひょうまは帰りにすっぽんエキスでも飲んで帰らなきゃいけない、しかし24時間営業のドラッグストアは通り道にあったっけ、などと心ここにあらず。
 ひょうまの隙が伝染したのか、本日先発の美波が大乱調となる。
 つづく