このお話は、巨○の星の続編を想定して書いたものです。 


不定期の連載ですが続けていきますのでよろしくお願いします。

ドキドキ

みなさんのところは台風の影響ありましたか?わたしのところは台風近くを通過されてしまいました。

風は強かったけど、今は落ち着いてます。

野球は巨人対楽天の日本シリーズ実現を期待してます!!



 三門は野球に目覚めていた。その素質を中学の担任もかっていた。だが、三門の高校進学は到底ありえない夢のまた夢。
「・・・僕のときと似ている・・・」
 それまでほんとにうなずくだけで黙って聞いていた城戸がつぶやいた。
 そう。野球を勉強に置き換えればほとんど城戸と同じ境遇。
 城戸の場合は、野口英世方式で、恩師が金を用立ててくれた。果たして三門の場合は??
「わしの場合は、弟や妹たちが、わしの分まで労働するけん、高校に行かせてほしいときょうだいたちが親戚に頼んでくれて、高校の授業料は親戚が用立ててくれた・・・ことになってます」
「親戚が用立ててくれたことになってます?」
 カウンセリングの繰り返しの技法を用いる城戸。
「実は表向きのコメントなんです。親戚の体面を保つため。親戚なんか一銭もわしに金なんかだしてくれまっせんでした。ですから、そのままだったらわしは今頃、野球はしてなかったでっしょう。一般市民の中に埋もれていたはずです」
 三門には切り札があった。
 おじの浮気相手女性からもらったお金。
 女性は金銭感覚が崩壊しているのか、金持ちなのか、中学生への礼金としては多額の金額=高校の授業料ほぼまかなえるくらいの金額。
 しかし、三門がそんな大金を持っていることが親戚にばれたら、
「今まで育ててやった恩義を忘れたのか」
 即没収だ。間違いない。三門はもらった金を地中深く埋めて隠した。役立つ日まで・・・。
(しばしのお別れですたい)
 さらにもうひとつクリアしなければならないことが。
「わしがなぜ大金を持っているか、という正当な理由をつくらなければなりまっせんでした」
 宝くじに当選するほどの大金でもないし、くじを買う金さえ持たされていない。
 わざとらしいかもしれないが・・・。
 三門は、金を拾って交番に届けたものの、持ち主が現れず、三門のものになった、ということに。
「当然今までの礼としてうちにくれるんだろうねえ」
 おばにまきあげられそうになったが
「・・・まあ、いいじゃねえか。うちの懐が痛むわけでもねえしな」
 三門に浮気の片棒を担がせたという弱みもあるのだろう、おじの言葉で三門は、念願の高校進学を果たす。
「わしはようやく、将来の青写真を描けるようになりました。プロ野球選手になり、今まで苦労させたきょうだいたちと水入らずで暮らすという・・・」
 青写真どおり、三門は甲子園出場、準決勝でひょうまに敗れたものの、プロ野球へ。
「城戸先生もこのあたりからのわしの状況はご存知でっしょう・・・」
「はい。三門さんが描いた青写真どおりになったわけですよね」
「そうです!」
 力強く答える三門。
「野球に関しては自信を持って語れるとです。ほんとに、将来のために、わしのために、そして、打倒星をめざして、わしはがんばりました。まあ、打倒星・・・に関しては、いっつも鼻形くんに先ば越されてしまったとですが」
 城戸はおや?と思った。打倒星・・のくだりでも三門の表情は変わらない。
(悔しくなかったのか?)
「鼻形くんに先越されたその悔しさが、わしとおきゅうを引き合わせてくれたとです」
「ああ!」
 城戸は合点がいった。
「おきゅう・・・。番長やってても、わしにはおきゅうが本当は心根の優しい女性だと見抜いたとです」
 うなずく城戸。
「わしは、この容姿ですから、いろんな性知識はあっても、女性とは1回も付き合ったことがありまっせんでした。高校ではプロ野球に入るために野球一筋。ですが、プロに入り、きょうだいたちを呼び寄せ、生活の軌道に乗ると、わしとて、女性には興味ば持ちます・・・」 つづく