今なかなかブログが書けなくて、おわびというか、ストック分をすべて公開します。
このお話は、巨○の星の続編を想定して書いたものです。
私のHP内にある「その後のひょうま」→「マッキーS湖ナチュラルズの男たち」(マッキー連載カテゴリー)
の順序になってます。宜しくお願いします。(^^♪
鼻形が酔っ払って発したあきこに痣があったらしいこと。
城戸はリビングで目を閉じ、腕組みをして考えている。
(もし、今も痣があるなら、鼻形さんは、僕と同じ痣があきこさんにもあると言っているはず。あれだけからんできたんだから・・・)
今は痣はない。とすると、痣の部分をやけどし、皮膚移植をしたのかもしれない。移植の跡は残っても痣は消える。
(あきこさんは、僕の痣を見て単に昔のやけどを思い出しただけなのか)
いや・・・。あきこはそうでも、いっかつはそんな柔な男ではない。
あきこが城戸の親ならば、あのときのいっかつの行為に納得できるような気がする。
あのときとは、美波養子事件のときだ。
美波社長は最後には城戸を養子にと考えていたという。施設のスタッフが話しているのを聞いてしまったから間違いない。いっかつはにべもなく、
「君には野球センスはない」
言い放った。だが、一方で、
「ギブスは持っていてほしい。君は勉学に生きる人間だ、つけろとは言わない、もっていてくれるだけでいい」
妙に温かみを感じたのも事実。
いっかつは城戸の痣に昔のあきこの痣を見たのだ。いっかつにしても、100パーセント確信はしてなかったかもしれない。だが、もしも、今後、城戸があきこの息子だとわかったときに、城戸が美波の養子になってしまっていたら、取り返しがつかないと思ったのだろう。
(だから、最後に美波理を養子にと美波社長にプッシュした・・・)
いっかつは間もなく他界してしまった。もし、いっかつが生きていたら・・・。
(僕の人生変わったか?)
わからない。あきこに問いただす前に鼻形に先手を打ったいっかつ。ある意味やはり「親」なのだ。
(鼻形に了解を得てからあきこさんに聞いてみるつもりだったのかもしれない)
城戸は想像してみる。
もし、あきこが親だったとして、いっかつの発見によって、あきこと鼻形の家に城戸が入ることになったとしたら。
(素直に親と思えただろうか。養子として入るなら大喜びでも、実の親だったなら、なぜ捨てたのか、どうしてもこだわるだろう)
反発して勉強もしなかったかもしれない。
(いや、今の年齢だからいえることかもしれない)
当時なら・・・。
城戸はかぶりを振った。カウンセリングを学んだときに散々言われたではないか。
「過去と他人は変えられない」
そう。過去は変えられないのだ。
(しかし、涼介、おまえはこのままでいいのか)
もう1人の城戸が激しく問い始める。
(親かどうか確かめなくていいのか)
城戸は鏡に向かって自問自答を始めた。
城戸の場合は、生まれてすぐに施設の前に捨てられていたのだ。
名前だけ書かれてあったらしい。だから両親は生きているかもしれないとは思っていた。
(あきこさんがそんなむごいことをするような人なのか・・・)
間違って出来てしまった子どもなら、そうせざるをえないかも。
(彼女が行方不明のときの生活は誰も知らないというのだからな)
証拠はない。唯一の手段はDNA鑑定だけど。そこまでは・・・。
悩む城戸涼介。 つづく