このお話は、巨○の星の続編を想定して書いたものです。

私のHP内にある「その後のひょうま」→「マッキーS湖ナチュラルズの男たち」(マッキー連載カテゴリー)

 の順序になってます。宜しくお願いします。(^^♪



 城戸少年(以下城戸)は、ギブスを見ると美波少年(以下美波)がこっそりつけていたのを思い出し、体に装着してみる。
「げ!」
 体が思い切り丸まってしまった。服の上からつけたので産毛にひっかかって困るというかつてのひょうまの状況に陥らないだけ幸いだった。
(こんなギブスを理(おさむ)くんは毎日つけてたのか。養子になるために・・・・)
 城戸の目から涙がこぼれてくる。
 美波が忘れていったとは思えない。わざと置いていったのだ。
(努力の跡なんか見せたくないもんな)
 かといって、城戸が持っているのも変だし。
 城戸はいっかつを思い出した。今は城戸はひたすら勉強の日々だが、美波が施設に来たころはよく一緒に野球をやっていた。審判をやってくれたのがいっかつだった。
(返しに行くか)
 いっかつのアパートは行ったことはないけど知っている。野球をやっていた原っぱの近所だ。
「・・・君は・・・」
 ドアを開けたいっかつは驚きの表情。
「こんにちは。いきなり来てごめんなさい。僕、あの、理くんの友達の、城戸涼介です」
「君は・・・城戸涼介というのか・・・」
「はい」
「上がりなさい」
 城戸は畳の上に正座する。
「あの・・・これ、おじさんに渡そうと思って」
 ギブスが入った風呂敷をいっかつのほうに押しやる。
「これは・・・ああ・・・」
 うなずくいっかつ。
「彼から預かってきたのかね?」
 城戸はとっさにうなずいた。
「理君、慌しく行っちゃったんでかわりに・・・」
「フッ・・・まあいい」
 いっかつはすべてお見通しのような笑みを浮かべ、ジュースを出してくれた。
 城戸はジュースをごくごくと飲み干す。施設ではおやつは週に2回しかでなくて、ジュースを飲む機会なぞなかなかない。
 でも、緊張が解けない。城戸はいっかつからまじまじとみられ続けているから。
(理くんと比較してるのだろうか、おじさんは・・・)
 城戸は空になったコップを丁寧にちゃぶ台の上に戻した。
「城戸くん・・・だったかな。君はずっとあの施設にいるのかね?」
「はい。親はいません」
「そうかね・・・」
 いっかつは黙りこくってしまった。
 視線はどうも城戸の胸元にいってるようだ。今日は暑くてランニング1枚の城戸。
(そうか。このあざが珍しいからずっと見られていたんだ)
 合点がいった。裸になったり夏になって肌を露出する時期になると、城戸はかならずいろんな人から聞かれたりじろじろ見られたりしてきたから。
 ハート型のあざ。確かに珍しい。
「おじさん、僕も聞いていいですか?」
 いっかつは視線を城戸に戻し、うなずく。 
「理君・・・いえ、養子になったから美波君ですね。美波君みたいに運動神経抜群なほうが、養子になれるんですか・・・」
 つづく