久々に連載小説続きを書きました。

ご興味あるかたは「マッキー連載小説」のカテゴリーに行くと連続でお読みいただけます。

限りなく軽い小説ですので読んでみてください


城戸医師のマンションに泊まったひょうまと鼻形は、翌朝、城戸医師の手作り朝食までゴチになり、
「10時か、チェックアウトの時間だな」
わけわからんこといいつつも、
「御世話になりました」
 深く一礼して退散。
 自宅マンションに戻ると、当然のごとく三門、半が雁首そろえて二人を待っていた。
「星よ、どこへ消えてたんだ!?」
「どこへって・・・」
 ひょうまはとっさに鼻形を見る。
「あ、ああ、ひょうまくんはね、やっぱ失踪してたんだ」
「ええ!?俺、失踪なんかして・・・」
 鼻形から思い切り口を塞がれるひょうま。
「まったくなー。最後の失踪だってさ。いわゆる"失踪納め"ってとこか。ちゃんと本業に打ち込むためにけじめをつけたらしい」
 すごいフォロー。
「まあ、オフですからな。どこへ行ってもよかですが」
 三門はあっさりしたものだが、半は違った。
「なんか、懐かしい匂いがする」
 といい始めたのだ。
 ひょうまの周りをうろうろする。
「どこかでかいだ匂いだ。かすかに・・・だが」
 犬のようにかぎまわる。
 やっと口で呼吸ができるようになったひょうまは
「俺、風呂は入ってるぜ」
 鼻形ははっとして
「ひょうまくん、ちょっと、風呂に入ったほうがいい。臭い」
 強引にひょうまは風呂場に連れ込まれる。
「ちょっと!鼻形さん、勝手に俺を臭いだの、失踪しただの悲惨な人間にしないでくださいよ」
「半君は、君の体からけーこさんの匂いを見つけそうになってるんだよ。だから風呂に入って石鹸であらいながしてくれ」
「半って、そんなにデリカシーある奴だったかなー。俺はただちょっとけーこを抱きしめただけなのに」
 
 風呂からあがると、三門はテレビを見ているが、半はテレビに背を向けしょんぼりしている。
(なんとなくやばそう)
 ひょうまは見てみぬふりをして、見たいテレビだったがあきらめ、しばらく自分の部屋に行くかと、何気なく通り過ぎようとした。
「俺、いつになったらけーこと暮らせるんだろうか・・・」
 なんと、涙声になっている。
「半君、我慢ですたい。わしも我慢してるとです」
 三門の言葉は説得力ある。彼もまた、妻おきゅうさんと別居中だから。
「俺は急に寂しくなった。なぜだかわからんが」
 ひょうまは鼻形に小声で叱責される。
「君が中途半端にけーこさんを抱かなきゃよかったんだよ」
「でも、抱くぐらい仕方ないじゃないですか」
 こそこそ喋る二人に三門のメガネがきらりと光る。
 半は、ゆらゆらと立ち上がるとポケットをまさぐり、
「少し一人にしてくれ」
 と、外へ出て行った。
 玄関を閉める音が確認できた途端。
「ちょっと、二人に聞きたいことあるですたい」
 再び三門のメガネがきらりと光る。
 つづく