春真っ盛り、ツツジ科の馬酔木は満開です。コブシの花やハナミズキの花がみずみずしい新緑に映えています。
高校生で堀辰雄の作品「浄瑠璃寺の春」に巡り会いました。
毎年春になると過ぎし青春の日々に思いを馳せて馬酔木の花を探して回ります。
美しく気品に溢れたこの花が堀辰雄の人柄をも表しているようで憧れました。
昭和18年7月の太平洋戦争の真っ最中に発表されたこの作品、馬酔木の花に万葉人を思い、大和路を歩く作者を思い浮かべています。
境内の三重塔を眺め、山門脇の馬酔木の花をきっと見惚れていたことでしょう。
「 倭は国のまほろば たたなづく青垣 山ごもれる 倭しうるはし -」
大和路を歩きたくなりました。