これってゲームのタイトルなんですけど。

多分みんな知らないよなw

映像のない音だけのゲーム。視覚障害者でも楽しめるように点字の説明書つき。

寝るときにヘッドホンかけてコントローラ握ってやってたことがあったな。。

脚本は映画版「世界の中心で愛をさけぶ」の坂本裕二氏

少年「今夜さ、19号が来るんだって」
少女「19号?」

「台風さ」
「台風?」
「すげー大きいんだって、なぁ、見に行かないか?」

「二人でさ、どっか逃げるってのはどう?」
「かけおち?」
「えっ?」
「かけおちって言うのよ、男子と女子が一緒にどっか行くこと」
「じゃあ、それだ!」

「夏休みが終わっても、ずっと僕らだけ夏休みなんだ」
「ずっと夏休み?」
「うん、ずっと夏休み」
こんな冒頭で物語が始まり

主人公は大学で知り合った女性を、小学校時代に駆け落ちした女の子と勘違いして

ストーリーが展開される。


エンディングでかかる

矢野顕子の「ひとつだけ」は名曲です。

思わず泣けてしまいます。


ゲームのあらすじ

 主人公野々村孝(柏原崇)は、小学生の頃、転校する事になった女の子に一緒に遠くに行こうと提案します。この「駆け落ちごっこ」は結局失敗に終わります。女の子は転校してしまい、野々村少年には幼く淡い恋心の思い出が残ります。月日が流れ、大学生になった野々村は、あの日駆け落ちしようとした女の子、桜井泉(篠原涼子)と再会し、付き合うようになります。風のリグレットの物語はここから始まります。

 ある日、泉が失踪してしまいます。泉の行方がわからず心配する野々村は、彼女の手帳を拾ったという謎の女性、高村奈々(菅野美穂)と出会います。二人は泉の部屋に無理やり入り込み、彼女が、野々村と彼女の故郷の町に向かった事を知ります。泉を探しに故郷に戻る事を決意する野々村に、何故か奈々が付いてくると言いだします。手帳を奈々が渡してくれないという事もあり、結局の野村は押し切られてしまいます。こうして、野々村と奈々の、奇妙な追跡行が始まったのです。

 故郷を旅する途中で、野々村は度々自宅の留守電をチェックします。すると、そこには泉からの伝言が吹き込まれていました。昔の思い出を語ったり、今でも野々村が好きであると告白したり、留守電の内容は様々です。そして最後に、あの日二人で駆け落ちの集合場所に決めた教会、あの日二人で台風を見ようと言った教会で、野々村を待つという伝言が入ります。旅の終点は、すぐそこまで来ていました。

リグレットの最大の企み

 さて、そのような状況の中で、野々村(とプレイヤー)は奇妙な感覚に陥ります。あの日二人で駆け落ちしようと言った女の子。あの女の子は、どうやら失踪した泉では無く、目の前にいる奈々だったようなのです。不可思議な話ですが、疑念はやがて確信に変わrます。しかし、それを受け入れると、どうしても解決出来ない問題に突き当たってしまいます。留守電のメッセージです。奈々があの日の女の子だとしたら、あの泉の留守電のメッセージの内容が説明出来ないのです。

 台風が去った後、野々村は泉と奈々、両方の女性を失います。彼は失意の中帰宅し、無意識に留守電を初めから聞きなおします。その時、野々村(とプレイヤー)は、全てを悟るのです。

 留守電のメッセージは、泉が奈々のフリをして入れていたのです。

 「電話越し」「風邪を引いたフリ」「留守録の音質の低さ」など、勘違いの要素は色々ありますが、なによりも「思い込み」によって、奈々が入れた留守録を、泉が入れた物だと勘違いしていたのです。これは現実世界でもある現象です。ゲーム的にも、この留守録は特に加工してあるわけではなく、プレイヤーは菅野美穂の声を篠原涼子と聞き間違えるのです。「まさかあ」と思うかもしれませんがホントの話。あの衝撃は遊んだ人にしかわからないかもしれません。

 この「声の聞き間違い」が、リグレットに仕込まれた最大のトリックです。これは「音だけのゲーム」でしか表現できないギミックであるのはお分かりかと思います。「耳をすませる」という事を(自発的に)強制させるゲームであるが故に、このトリックが最大限に生きるのです。

リグレット(後悔)の本当の意味

 タイトルである「風のリグレット」の「リグレット(後悔)」ってどういう意味なんでしょうか? 野々村崇の「忘れていた」という罪の意識の事でしょうか? 「電話の声に気づいてあげられなかった事」でしょうか? そうかもしれません。しかしそれだけでは無いのです。

 このゲーム、簡単すぎると言われる事があります。しかし、普通にやるとハッピーエンドになるのは、実はゲームバランス的に意図された物です。本当のゲームはそこから、残りのエンディングを見ようとした所から始まるのです。

 リグレットには1つのハッピーエンドと4つのアンハッピーエンドがあります。どのエンディングになるかは、選択肢を選ぶ過程で、「思い出のかけら」をいくつ拾えるか、そして、高村奈々に対してどのような態度を取るかで決まります。

 リグレットの選択肢は、(ほぼ)全部が、高村奈々に対する返事によって構成されます。例えば以下のように。

A:心配してくれるの? ありがとう
B:ほっといてくれよ!

 初プレイでは、そうそう奈々に冷たく当たる事はしません。ゲームプレイヤーとは、ゲームシステムにすら嫌われたくない人種ですから。よって、普通に遊べばハッピーエンドを見る事が出来ます。そしてその後、残りのエンディングを見ようとします。その時、プレイヤーは気づきます。それがかなり精神的に困難な作業であるという事実に。

 残りのマルチエンドを見る為には、プレイヤーは、あえて奈々に冷たく当たらなければなりません。そういう選択肢しか無いからです。プレイヤーは、全てを知った上で、奈々に対して声を荒げる野々村を演じなければならない事に迷います。そして、選択してしまった後で罪悪感を感じてしまいます。この迷いと罪悪感がリグレットの「リグレット(後悔)」たる所以です。

 リグレットの中で最も優れたエンディングと言われているのが「電話三回エンディング」というアンハッピーエンドです。これは、ハッピーエンディングと同じように全ての秘密が明かされ、野々村と奈々はお互いの思いを確認し、それでも二人が再会する事できず、留守番電話に吹き込まれた奈々の声を、野々村が泣きながら聞いて終わるという物です。ちょいと泣けます。

声だけのゲームの可能性。耳をすませるという遊び

 最後にオマケ。これは、「ゲーム性」とは直接関係無いのですが、音だけゲームの特性をよく利用している(さすが天才脚本家)という所を、最後に2つ紹介します。

ツグミ
 物語の最初に、電車の中でツグミ(奈々が飼っている小鳥)の鳴き声が聞こえます。この時は、野々村が「聞こえない?」と泉(に見せかけてプレイヤー)に語りかけるので、プレイヤーは耳をすませ、このツグミの鳴き声を聞きます。
 エンディング直前で、同じシーンがやってきます。この時、野々村は泉に会いたいと心から思いながら、それを果たす事が出来ない状態にいます。この時、乗り込んだ電車の中でツグミの声を聞いた「気が」します。そして気のせいかと考え直します。この時、「プレイヤーは」、耳をすませて電車の雑音を聞こうとします。すると今度こそツグミの鳴き声が聞こえてきます!

台風が見下ろせる
 えーと、これは、うまく説明出来ないなあ。それほど大した事じゃないんで、もし遊べる環境にある人は自分で確かめて下さい。環境が無い人は忘れて下さい(笑)


引用はここから。w


↓リンクは後日談のインタビューです。

I N T E R V I E W : 音のある世界で