恋ではなくAnother 2-1「原俊彦、街中で…episode2」 | ザ・ハングタン+

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「ザ・ハングタン」とは法で裁けぬ盛岡の鬼を退治する乙女たち。
この物語はそんな乙女たちの戦いのドラマである。
(現在「いわてマル秘指令ザ・新選組」アーカイブも公開中)

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原俊彦が酒田高校の講師になって1ヶ月になる。

デジタルメディア同好会の須崎孝一会長の言い付けで、俊彦は庄内コミュニティジャーナルにやってきた。
「すいません」
そう言って俊彦が中へ入る。

庄内コミュニティジャーナル社は酒田で出版・放送事業を展開している。
三浦洋光はこの会社を起こし、庄内地方を活性化させようとしてもう15年である。俊彦も東北各地のメディア関係者から三浦のことは聞かされていたが、実際に会うのははじめてだ。
「はじめまして、僕は盛岡のライターで…」
「原俊彦君だね」
三浦も俊彦のことを知っていた。
「きょうはどうしてここに?」
俊彦は酒田高校のデジタルメディア同好会の話を隠したまま、こう言った。
「僕が酒田で一旗あげるためです」
「一旗?」
三浦は俊彦の意図がわからなかった。

しかしすぐに三浦は俊彦が酒田で何をしているか尋ねた。
「盛岡は大丈夫だったんだよな。それなのにこっちにくるなんて」
「いや、実は…」
三浦は俊彦の気持ちを見透かしていた。俊彦は観念した。
「酒田高校のデジタルメディア研究会の人に頼まれて」
「そういうことか」

俊彦は孝一から渡された指令書に目を通した。
(え…庄内コミュニティジャーナルのお手伝い)
「コミュニティジャーナル社のお手伝いを、ということで」
「なるほど。HPやFMのことなんだね」
「はい」
というわけで、俊彦は三浦のコミュニティジャーナルに孝一たちを使うことを約束した。
(やった、これであの巨乳娘とも…)

俊彦は去り際に三浦に写真を見せた。
「これなんですけど」
俊彦が持ってきたのは、宇渡美月の撮影した酒田の風景の写真だった。
「ほぉ、いいねぇ」
「美月…というと、酒田高校の写真部か」
「はい」
「酒田市土門記念フォトコンテストに、酒田高校の写真部の生徒の展示があるそうだ」
酒田市は日本を代表する写真家、土門拳の郷里。そのためフォトコンJAPANなども開催されたことがある。
「今年のフォトコンで銀賞の、八坂ってボンボンいるだろ。知ってる?」
「八坂…はい」
「彼の写真を来月の庄内コミュニティジャーナルで紹介したいんだ」
「えっ?」
「頼むよ」
俊彦は突然の依頼に驚くが、これを成功させると自分の株も上がると考えていた。
「はい、喜んで。八坂君にはよく言って聞かせますから」
そう言って俊彦は外へ出た。

まさか典史のことでこんなことになるとは。俊彦にとって大誤算なのか、うれしい誤算なのか。いまのところそれはわからない。