昼休みの高校生にとって楽しみなのは福田パン。
盛岡市長田町にある老舗「福田パン」のパンは高校にも出前されている。
もちろん盛岡学園にも出回っており、昼には行列が出来るほどだ。
この日、日高栞(北乃きい)と高島理恵子(鹿谷弥生)はパンの行列に並んでいた。
「はい、パンはこちら」
そう言って学食委員の藤田順が廊下の整理を行なった。それを見た栞はつぶやく。
「でも今日も行列よね」
理恵子も行列に文句を言っていた。
「いくら学校の方針だからって」
そう言えば栞も理恵子も盛岡の人間ではない。
一方、昼前に不機嫌なのは原俊彦(斉藤晃)だ。
「まったく、盛岡への不平不満…馬鹿クレーマーどもが」
俊彦は自分の携帯PC端末から岩手、盛岡の悪口を書く裏サイトを眺めていた。それを見て俊彦は嘆いた。
「入学式の日のあれを思い出すよ」
俊彦が思い出したのは入学式の日、柏原晋が着任挨拶で放った暴言だった。
「こんな一敗地にまみれた絶望の荒野へ飛ばされるなんて、岩手県民は負け犬です。
」
あの発言に激怒し、反論したのが俊彦だった。
「俊彦さんには行くあてでもあるの?」
横田夏子(川澄綾子)が俊彦に話しかけた。
「新潟帰りたいのか?」
「別に…」
俊彦には夏子の話を聞いている余裕などなかった。
さて、栞と理恵子は福田パンのジャムパンを半分に割っていた。
「もぉ、一個しか買えないなんて」
「不公平よ」
栞がジャムパンを食べた。理恵子は少し複雑だった。
「売り切れなんて」
するとパンが買えない昼食難民たちが学園に不満を漏らすものだ。
「いいか、俺は今日で5日連続パンを買い逃したんだぞ」
「あたしなんてもう11日目よ」
参加者たちは福田パンと調理実習に頼る盛岡学園の昼食事情に不満のある生徒たちだった。
「調理実習のときに免除されるからって、福田パンの給付量が生徒数の半分以下というのは納得できません」
「それに近郊の外食店やコンビニ・スーパーでの購入禁止なんて」
「コンビニ弁当禁止なんておかしいよ」
生徒の一人、及川直人はカレンダーの裏面に「小○」と書いて旗をつくった。
「それは何だよ」
直人が説明する。
「こまる旗だ。福田パンが食えない生徒で学園困民党を結成するぞ」
こうして参加者たちは学園困民党を旗揚げした。
俊彦が学園を出た後で、困民党メンバーの生徒が俊彦を尾行した。
「原俊彦が出てきました」
生徒の一人、岩井光がリーダーである教諭の石橋信行に連絡した。
「了解」
俊彦はバスで盛岡市街へと向かった。それを見た生徒たちはあきらめて途中で降りた。
「原俊彦、何をする気だ」
翌朝、俊彦は買いあさった福田パンを大量に生徒に施していた。それを見た石橋は虫唾が走った表情だった。
「さぁさぁ、まだあるよ」
それを阿部さくら(桜庭ななみ)も買った。と言うか俊彦に施された。
「覚えてろ、あとで何をするか」
昼休み、俊彦は学園の門を出る。すると数人の覆面姿の集団が俊彦を襲った。
「何者だ」
そして一人の女子が直人の作った「小○」の旗を俊彦に突き出した。
「すべての生徒に昼食を!」
すると俊彦は朝のことについて生徒に説明する。
「じゃあ何のために朝にパンを渡したと思う?」
俊彦には覆面部隊が生徒たちだとわかっていたようだ。
「買いあさった福田パンを生徒たちに施せば、あの廊下の立ち往生もなくせると思ったんだ」
生徒たちは理解した。しかし生徒たちがこれを聞いて職員室に向かおうとすると、石橋が出てきた。
「君たち、どうしたんだ」
直人が石橋に言う。
「今日の原さんの行動に、どんな間違いがあるんですか」
ほかの生徒も石橋に土下座してまで石橋の意見を聞こうとした。
「お願いします!」
石橋は俊彦のやってることについてこう説明した。
「あいつはただの講師兼代用教員だ。そんな奴にいちいち仕事されてるようじゃたまんないよ」
生徒の一人、石川孝司が石橋に質問した。
「では、朝の行動は」
「ああ、あれは生徒たちの人気取りだろ。そうやって教員になろうなんてできないんだよ」
石橋は鼻で笑った。それをさくらが偶然聞いてしまった。
(続く)