白い粉には気をつけろ!⑦ | ザ・ハングタン+

ザ・ハングタン+

「ザ・ハングタン」とは法で裁けぬ盛岡の鬼を退治する乙女たち。
この物語はそんな乙女たちの戦いのドラマである。
(現在「いわてマル秘指令ザ・新選組」アーカイブも公開中)

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大谷は裏口からトウゴマの木の場所へ。
「トウゴマの木が、とんでもない騒ぎの元凶になるとは」
そこに夏子がやってきた。
「トウゴマのひまし油を自給できるなんてすばらしいことかしら」
大谷はトウゴマの木を見ながらつぶやいた。
「ひまし油は工業油として有能だ。それを学園に植えて作ると言うのはわたしの提案だった」
夏子は納得した。こうしたものづくりを教える教育も大事だというのが大谷の思想なのだ。
「世界に出て、こういう油脂植物の知識を覚えることがこれから大事になるだろう」
大谷の顔を見て、夏子が言う。
「確かにそうですけど」
「何か?」
「残渣や搾りかすの処理はどうするとか、プロセスがはっきりしてないんじゃないですか?」
夏子の指摘ももっともらしいが、大谷は笑い飛ばした。
「プロセスがはっきりしていない、ですか」
「何がおかしいんですか?」
すると、夏子の携帯電話に電話がかかってきた。俊彦からだろう。
「はい、横田…」
「あ、先生。今O地点」
俊彦が電話に出たことを確認し、夏子は大谷に携帯電話を渡した。
「はい、俊彦さんです」
「よろしい」
大谷が俊彦と話をする。
「スティング、どうした」
俊彦は、小林工務店ビルから出た松岡ら数人が2台の車に乗るのを見た。
「松岡です」
「松岡?」
大谷は松岡を知らない。だから俊彦が説明した。
「松岡ってのは誰かね」
「昨夜小野理事とバーで会っていた男です」
「そうか、小野と接触…」
大谷は一呼吸置いた。
「小野理事は今日不在だ。恐らく高校教育会館だろう」
「…」
俊彦は高校教育会館と聞いて、急いで上の橋を渡った。

高校教育会館は山王、住吉、志家の3町にまたがる交差点にある。高校教職員の親睦会の集会所であるが、秋には農作物の即売会も行われたりする。
小野は松岡の話に出た岩村誠と話をしていた。
「おはようございます、小野先生」
「ああ、おはよう」
岩村は小野に手と手で1万円札を渡した。
「これでよし」
岩村の顔は余裕に満ちていた。しかしそのやり取りは俊彦が見届けた。
「こいつら…」
そこに繁治がやってくる。繁治は俊彦の前まで小石を転がした。
「シゲ、どしたんだい」
「ゴッドの命令だ。後は俺に任せろ」
繁治が俊彦を見送り、岩村をマークする。そこに松岡たちが待ち伏せていたのだ。
「お前、あいつらの仲間だな」
俊彦は虫の知らせを聞いたのか、志家町の通りで引き返した。
(シゲ、何かあったな)
俊彦が急いで高校教育会館へ戻ると、繁治は松岡たちと格闘していた。
「シゲ!」
俊彦はその中に飛び込もうとしたが、松岡はのん気に俊彦に近づいた。
「松岡さん、やはり藤吉会池田一家の岩村さんと…」
そう言った俊彦に松岡は逆上した。
「何を言うのだ!」
「そっちこそ」
松岡は胸ポケットから粉を投げつけた。
「何をする!」
俊彦は松岡の投げた粉を吸い、くしゃみをした。
「うわっ…ヘクション!」
それが松岡にうつりそうになり、松岡は逃げた。
「何だこいつ」
俊彦は松岡に言う。
「君たちからパンデミック、ってことになるんですよ」
「ち、ちくしょう!」
松岡たちは神明町のほうへ走り去った。
「こいつら、本当にこれで終わるんだろうか」
俊彦は繁治に問いかけた。
そのやり取りの最中に、小野が出てきた。
「小野だ」
そして繁治は俊彦を乗せて小野を追跡した。
「学園に戻るか、それとも…」
小野を乗せたタクシーは何と小林工務店ビルに止まった。
「やっぱりここに」
そこに自転車に乗ったさくらがやってきた。
「俊彦さん、それに国分さんまで」
「ええっ?」
俊彦はさくらに何か言っていた。
「僕は今から病院…ヘックション」
と言うわけで、さくらが小林工務店ビルを見張ることになった。

盛岡学園に来た俊彦は、鈴木淳子の手当てを受けていた。
「淳子さん、僕…大丈夫ですか」
淳子は俊彦に言う。
「一応は鼻うがいしてるから大丈夫。それにしても、この粉は…?」
俊彦は奥山にこの粉の説明を求めることにした。
(奥山と小野のつながりはわかった、あとはこの粉が証拠になれば)