JKオークション⑨ | ザ・ハングタン+

ザ・ハングタン+

「ザ・ハングタン」とは法で裁けぬ盛岡の鬼を退治する乙女たち。
この物語はそんな乙女たちの戦いのドラマである。
(現在「いわてマル秘指令ザ・新選組」アーカイブも公開中)

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正木が主催する会食会がホテル東日本で開かれた。
「ニューメディアと映画産業の共存」と題した基調講演で、正木自身が演台に立つ。
「ありがとうございます。
 さて、わたしはテレビ局を退社しインターネットでテレビを超えてみようと決心しました。
 何者にも左右されず、本当に欲しいと思う人へ伝えるコンテンツと言うものをつくりたかったのです」
正木の言葉に俊彦も納得した。俊彦もパソコンで仕事してる身分だから、現実にそういう考えを持った人がいることは心強い。
「インターネットは一人ひとりに与えられた権利かもしれません。ネットであらゆる手段を使っても儲ける人はいます。それに…」
「それに?」
「YouTubeの登場で映像配信も容易になりました。わたしは機は熟したと考えております」
場内は拍手喝采。
「しかしそれをテレビ、映画の世界は面白く思わない。自分たちの権利が侵害されるからと言っていますが、時代は変わっても映画や報道が滅びるでしょうか?」
俊彦も夏子もうなづいていた。

正木は最後に主張する。
「みなさん、テレビは死にました。我々テレビ局を捨てた革命者の手で」
その言葉にはさすがに場内から反発があったが、正木は動じていない。
「一人ひとりの情報発信力強化のために、もっとネットを利用するなど考えるべきです」
すると俊彦が正木に賛同する声を上げた。
「そうだ!」
すると他の参加者から拍手が。俊彦は思わず
「ほめられてるのか?」
と言ってしまった。
「正木先生、さすがウェブ時代の革命児」
「ありがとうございます」

さて、その間に生徒たちは手品の脱出に使うような箱に浅尾たちを閉じ込めていた。それをホテル東日本の通用口から会食会場へ運んだ。
「よし、これで…先生、お願い」
栞は左目を閉じて夏子に合図した。
(みんな、ありがとう)

俊彦は司会者に何事か頼んだ。いよいよハンギングである。
「先生、ピアノの準備を」
「はいっ」
俊彦はステージに上がり、ハンギングの開始を告げた。
「さぁ、みなさん。歓談中ではございますが、ステージにご注目ください」
そしてステージには浅尾たちが閉じ込められた箱が置かれた。
「ただ今から、世紀のマジックショーをご覧いただきます」
その中では浅尾たちがギュウギュウ詰めになっていた。
「何なんだ」
「こんなところに押し込んで、馬鹿野郎」
そこへさくらの声がした。
「今から刃物が突き刺さります。刺されたくなかったら、白状してください」
しかし北川は笑った。
「・・・何だよ、こけおどしじゃないか」
すると箱に刃物が刺さった。
「やめろ!」
北川の背筋が凍りついた。
「ほら、もう一度」
そう言って黒子たちが箱にどんどんと刃物を突き刺す。するとここで夏子が弾く「剣の舞」が流れた。
「さぁ、盛り上がってまいりました!」
しかし悪人たちは限界だった。ついに北川が白状する。
「やめろ、もう…殺される」
「えっ?」
「俺たちは、正木先生に取り入るためにやったんだ」
次は浅尾が自白。
「…そうなんだ。だが工藤の奴が俺たちのやろうとしてることに気付いて」
それを聞いた俊彦は怒りのあまりこう言った。
「それを知ったのは工藤さんだけじゃないはずだ」
「そんな」
その間に場内は混乱し、出席者はさりの案内で場外へ避難した。
「よし、これでOKだ」
さくらは浅尾たちに言う。
「本当に工藤祐孝以外にこのからくりに気付いた人はいないの?」
「し、知らない」
「そうだ」
すると箱から抜け出した浅尾たちの首にチェーンが絡みついた。
「ううっ、苦しい」
ハングタンたちはここぞとばかり浅尾たちを締め上げた。
「そうよ。内山先輩はこうやって死んだのよ」
「いい加減自供しなさい」
ここで夏子の弾く曲が「葬送行進曲」に変わった。このメロディーに乗せて夏子は歌を歌った。
シュ・ウ・ショ・ク・サ・セ・テ
オ・ネ・ガ・イ オ・ネ・ガ・イ…

就職をえさに誘って 夢を食う獏のようです

人でなし ろくでなし 人でなし 人殺し
女の子 首絞めた 女の子 売り飛ばした

芸能人を騙りAV 歌舞伎町で売り込み

あんたたち 人間じゃない お願い わたし助けて

そのような音痴な歌が響き渡る。それを聞いた浅尾はもんどりうって逃げようとするが、北川と広瀬がべらべらとしゃべる。

広瀬が井上を射殺したことを認めた。
「標的は高島理恵子 もう一人は日高栞」
そういう歌が流れ、北川は怒った。
「広瀬!よくも…」
「あれは浅尾さんの命令なんだ。新卒者売買の手を下した奴は消せって」
「じゃあはじめから俺たちも消すつもりじゃ」
広瀬は首を上下に振った。
浅尾は出口から脱出、そして正木に助けを求めた。
「中で暴力事件が発生しました。犯人は…」
しかし正木は冷たい。
「もういい」
「えっ?いままで何のために女の子を集めたか」
「君たちは誤解している。政治家になったのも、女の子の就職も」
「え、えっ?」
浅尾は力が抜けたように倒れた。
「じゃあ今までの苦労は…
 わたしは現実を見せてやろうと、ラブホテルに日川さんを連れ込んで何人も…あ、日川さんが」
そう言って式場の方へ消えていった。

その会場に車椅子姿の工藤も、内山亜紀の両親や親友たちも来た。
「それでは、浅尾武彦さん、日川信一さん、どうぞ」
と言うわけで、俊彦と夏子との偽シンポジウム(犯罪告白ショー)が開催された。
「まず浅尾さん、なぜ今回のようなことを」
「地方での女子校生の就職は厳しいです。だからこそ芸能界に行って夢をかなえ、それを郷里に持ち帰られるように…」
「それで正木先生の言うインターネット芸能に着目したんですか」
「は、はい。でもこっちの子はおくてで、何かしら従順なとこがあるみたいで」
夏子も俊彦も何も言わずにうなづく。
「それでも言うことを聞かない子にはお仕置きを…でもあんな簡単に死ぬなんて」
浅尾は泣いてしまった。すると日川がわたしがやったと説明する。
「あの子はわたしが手をかけたんだ。浅尾さんが来る前にだ」
「そうでしたか」
「工藤を刺した人と、そこにいる広瀬を雇ったのは確かに浅尾さんだ」
「お、おいっ!」
それを聞いた内山亜紀の両親は泣いてしまう。
「亜紀…かわいそう」
さくらも泣いていた。しかし最愛の友を失った悲しみを乗り越え、必ず自分が内山亜紀を超えるんだと胸に誓っていた。

そこへとうとう警察がやってきた。正木代議士の会食中に騒動があったとのことだが、それが実際は就職をえさに新卒女子をいたぶる悪人の痴話げんかだと知って
「あ、ああ…」
「すべては我々の欲望のためなんです」
警察に逮捕される浅尾、日川、北川たちを俊彦は無表情で見送った。
(しかし人の夢のために命を奪うか…?人の理念のために手の込んだ悪いことするか?)
俊彦は悔しくて泣いた。生徒たち、そして夏子は心配した。

それを見て理恵子が近づく。理恵子は白いハンカチを持っていた。
「はい」
「あ、高島。どうした?」
「あたし…女優になります!」
理恵子がこう言ったんで、他の生徒たちも同じことを言ってしまった。
まぁ、きいちゃん、ななみんですからラブラブ