環と弥生は盛岡学園にやってきた。
「…戻ってきたのね」
「うん」
二人はハングタンとして青春を過ごした日々を懐かしんだ。
理事長室にやってきた二人を、理事長の大谷正治は快く迎え入れた。
「マッキー、それに…」
大谷は弥生が高島理恵子にそっくりだと言うことに気付いた。
「どうしたんですか?」
「今のハングタンに、君そっくりな子がいてね」
「そうなんですか?」
大谷は弥生に理恵子の写真を見せた。すると弥生は驚いた。まったくそっくりなのだ。
「瓜二つじゃないの」
そこへ国分繁治がやってくる。
「理事長、インフルエンザ対策完了しました」
何と、持っていたのはスピリタスのような高濃度のウオッカだった。環は当然怒った。
「バッキャロー!」
環の雷にさすがの繁治も大の字になって倒れた。
「まったく、何やってるのよ。理事長のウオッカでインフルエンザ対策なんて、生徒たちを酒気帯びさせる気なの?」
大谷は環を静めようとする。
「マッキー、バトラーに何をするんだ。酒気帯びだか何だか知らないが、インフルエンザ対策のためにやっているんだぞ」
「…バトラー」
環は繁治のコードネームを覚えていた。だから大谷に言われて気がついた。
「あ~っ、繁治さん」
「相変わらずだな、怒るところも」
「もぉ、あんたも」
そう言って環は繁治からウオッカのビンを取り上げた。
「弥生ちゃんはまだ18歳よ。酒飲ませたら罪になるわ」
「…ごめんなさい」
繁治は環に土下座した。
その頃、ホームから二人を付け狙っていた男はホテル東日本の1階ロビーにいた。
「あ、617号室の山田さんに伝言を」
「何とお伝えすればよろしいのでしょうか?」
「明日朝、迎えに来ます。インターホールディングスの高橋政信が来たとお伝えください」
そう言って高橋政信はホテルをあとにした。
夜、高橋は弁護士の横手修平の事務所を張り込んでいた。横手修平はライターの取材ということで事務所にいた。そして取材の相手というのが原俊彦である。
「それでは、先生はローン返済問題について…」
俊彦は早口だ。それに人の話を聞いてもすぐに相槌を打ってくる。
「ローンの返済、昨今話題の過払いなんですが」
横手はメモを俊彦に見せた。
「近頃ローンの支払いが戻ってくるとか言う詐欺が多発しています」
「そうらしいですね。住宅ローンの1割還付とか言って…」
「ローン返済に苦しむ消費者を救済できるものなら、わたしとしてできることを考えたいと思いますが」
俊彦はメモを取った。
「先生、どうもありがとうございました」
「いやぁ、原さんとお話できるなんて光栄ですよ」
秘書の村川早苗が俊彦のコートを持ってきた。
「どうぞ」
「ああ、いいですね。それじゃ」
「お気をつけて」
俊彦は横手法律相談所を後にした。そこで高橋とすれ違う。
「あなたは?」
俊彦が声をかけたので、高橋は無言で走り去った。俊彦は怪しいと思い、念のためもう一度横手法律相談所へ。
「先生!」
俊彦が戻ってきたので、早苗は驚く。
「原さん…どうしたんです?」
「このビルに怪しい人が」
「ええっ?」
そして俊彦が3階の階段から上を見た。そこで俊彦は再び高橋と目が合った。
「上にいます」
高橋は俊彦に気がついたのか、エレベーターで1階へ降りようとした。そして1階から走り去るように、闇に消えていった…
「」