奈良で行なわれたインターハイ、阿部さくらと菊池さりのダブルスは3回戦まで進んだ。
「全国2勝、おめでとう」
増田みうが2人を励ます。しかしさくらは満足していない。
「…みう先輩、先輩もテニス部でしたよね」
「うん」
「先輩がいたら、団体戦で初戦敗退しなかったのに」
みうは昨年秋までテニス部に在籍していたが、いろいろな事情で退部した。そして元陸上部の高島理恵子と第2帰宅部と称してスポーツ観戦同好会を立ち上げたのだ。
「そのことはやめて」
みうに説教されたさくらだったが、さくらはある計画を立てていた。
「せっかくだから、八幡平で合宿でも」
「八幡平?」
さりはさくらとみうに会釈。
「あたしもついていきます」
さくら企画の八幡平テニス合宿には、さくら、みう、さり、理恵子、内藤凛、高橋愛佳が参加した。
引率は原俊彦が引き受けた。俊彦は大更駅で生徒たちを待つ。
「へ~い、ハロハロ」
俊彦の格好はあまりにもみっともない。白いシャツとベージュ色のショートパンツ、これじゃ子供の遠足である。
「八幡平に行くのよ、先生」
「これじゃ近所の虫取りです」
俊彦は用意したフリースとチェックの長ズボンに着替える。
「どう?」
見違えるような俊彦の着こなしに生徒たちはうなった。
「先生って、かっこいい」
「本当、着替えただけでこんなに変わるのね」
「さ、バスが来たよ」
大更駅から八幡平センター行きのバスがやってきた。俊彦を先頭に生徒たちが乗り込んだ。
その頃、八幡平ではとんでもない事件が起きていた…