疫病神が踊る夏③ | ザ・ハングタン+

ザ・ハングタン+

「ザ・ハングタン」とは法で裁けぬ盛岡の鬼を退治する乙女たち。
この物語はそんな乙女たちの戦いのドラマである。
(現在「いわてマル秘指令ザ・新選組」アーカイブも公開中)

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翌朝、盛岡学園第一学生寮に突然バリケードが建てられた。
朝から盛岡市内をうるさく徘徊するのは岩手県医療局の広報車だ。
「こちらは岩手県医療局です。最近盛岡市内で新型インフルエンザの感染者が相次いでいます」
そんなうるさい広報車の声で起こされたのは寮長の間宮由香だった。
「う、うるさいわね。朝っぱらから何よ」
そう言って目を覚ました間宮だったが、窓の外にはすでにバリケードが張られた。
「うわっ、どうなっているのよ」
さらにバリケードの外側にスレート板が打ち込まれた。それが四方八方に打ち込まれたから、もう大変だ。
「どうなっているんだ」
「おい、出してくれ」
生徒たちも完全にふさがれた寮の中で慌てふためいていた。
「何なのよ」
ドアを叩く生徒たちの姿を松岡敬之も見ていた。
「おはよう」
「…おい、松岡。まさかお前のせいじゃないよな」
「えっ?」
松岡は驚いた。
「どうなってるんだ」
吉川和志が松岡の顔を見てこう言った。
「どうなってるって、くしゃみしてるだろ」
「ちょっとアレルギーじゃないかって」
「アレルギーって、くしゃみしまくってるやん」
「ま、くしゃみは風邪のサインというしね」
そのとき間宮がやってきた。
「ちょっとみんな、どうしたの?」
「寮長!」
「間宮さん、どういうことですか」
「説明してよ」
間宮は状況がまだ理解できなかった。
「え~、そう言われても」
そして間宮は寮を見渡して、久米直也がいないことに気がついた。
「あれ?久米君は…」
「2階の部屋」
吉川たちが天井を指差した。
「そう、2階で寝てるのね」

外では県医療局の東山修がタクシーから降りてきたところだった。
「あ、東山さん。どうも中はうるさいです」
「わかった、ありがとう」
そして東山はメガホンを持って生徒たちに呼びかけようとした。
「盛岡学園第一学生寮の諸君!わたしは知事の代理として君たちに伝えたいことがあります」
「知事代理?どういうことなの」
「わたしは県医療局県民課長の東山修です。この盛岡学園第一学生寮は本日より隔離封鎖します」
生徒たちは納得がいかない様子。
「どうしてよ」
「説明してください!」
「何か悪いことでもしたんですか?」
その間に間宮と松岡は2階へ上がり、久米の部屋に向かった。
「寮長、いいんですか」
「別に…」
間宮は松岡に事のいきさつを聞こうとする。
「何があったのよ」
「…3日前のことだ、突然中央病院に行って一度インフルエンザ検査を受けてこいって言われたんだよ」
「3日前ね。で、どうだったの」
「結果は単なるアレルギー性の鼻炎だって」
「そう」
「だからこうして…」
松岡は間宮を避けるようにしてくしゃみをした。