Click!!幸子が渋民で俊彦とインターネット動画のことを話し合っていた頃、阿部さくらは盛岡の大通りにいた。
「ねぇ、かわいいでしょ」
さくらは高島理恵子に白いワンピースを見せる。
「いいんじゃないの?」
理恵子はさくらに試着させた。ところが、その試着室に隠しカメラが仕掛けられていた。試着室の様子はマジックミラーの向こうの人たちに筒抜けだったのだ。
「おや、女子校生ですか。付加価値の高いものですから、慎重に…」
「OK」
何とオペレーターは小竹太郎だった。つまり小竹太郎は福田幸子にインターネットで情報配信させる代わりに、幸子の部屋にカメラを設置させる魂胆だったのだ。
「おおっ」
さくらが服を着替えた。小竹たちはその瞬間をばっちり捉えていた。
「まさにバージン」
さくらはそんなことを知らないままワンピースに着替えた。
「お待たせ」
「うわっ、さくらちゃん。なかなかやるねっ!」
「えへへ」
小竹はさくらの身辺調査を始めることに決めた。
「彼女も女子校生だとしたら、福田幸子の代わりになれると思うのですが」
それを黒幕も了承した。
Click!!さくらの着替えシーンが全世界に一斉配信されてしまう、その前に何とかしたい。だが肝心のさくらはそれに気づいていない。
「ねっ、これにして正解でしょ」
さくらと理恵子は大通りを歩いていた。すると誰かが後をつけてきたようだ。
「あの女子校生です。もう一人いますけど、それはあの子が出たときに映っていた」
「ああ、そうだ」
男は小竹だった。小竹はもう一人の男、内田裕治にこう言う。
「内、お前があの子をマークしろ」
「わかりました」
内田がさくらを本町まで尾行した。
そして数日後、小竹がさくらの家にやってきた。
「すみません」
内田がさくらの部屋を窓から探っていた。
さくらが玄関を開ける。
「はぁい」
さくらは小竹の顔を見て驚いた。
「ど、どちらさんですか?」
すぐさま小竹はうその説明をする。
「こちらは地上デジタル工事の者です」
「えっ?」
小竹の対応に疑いを持っていたさくらは小竹を追い返す。
「困ります、パソコンをどうするんですか」
「…パソコンですか。なら好都合ですよ」
「そんなうまい話がありますか?」
小竹と内田はさくらの家を後にした。
というわけで、さくらは俊彦に相談する。
「小竹太郎さんって人が、うちの地上デジタル工事を…」
「小竹太郎、ねぇ」
「知ってるんですか?」
俊彦は幸子の話を思い出した。
「3Aの福田幸子はテニス部のダブルス選手か」
「はい」
「彼女の家にインターネットで発信する放送局を作りませんか?という話があったらしい」
「…そうなの?」
「実は彼女が家に来て話をしたんだ。小竹太郎って人から、原俊彦さんの紹介でインターネットで放送局を作る話を持ちかけられたって」
さくらは納得していた。
「今はテレビよりネット、携帯でドラマ作る人が多いって」
「そうだ。仮にTXN制作の番組をネットコンテンツに変えたとしよう。そうすれば視聴者数はもとより、視聴エリアも格段に増える。しかもタイムラグ等の格差なしでだ」
「へぇ~」
「だども、無料で発信できる動画サイトを悪用してテレビ局起こそうなんて言うのはどうかな」
「…そう言うことも考えなくちゃ」
「でも、小竹太郎は危ない。何をしでかすか」
職員室を出たさくらに、工学科講師の藤田雅也が声をかける。
「阿部、実は言いにくいことだが」
そして藤田はさくらに耳打ちする。
「…えっ?そんな」
「大通りのブティックの更衣室にいただろ。さっき見ちゃったよ」
「どうして」
「実はネット盗撮映像が出回っているということらしい」
それを聞いたさくらは顔を赤くした。