俊彦は職員室でワードソフトを操作していた。
「昔々、奥州は不来方の地にお侍さんがおったそうな」
俊彦が考え事をしていると、留美がやってくる。
「奥州は寒い風の吹く季節、お侍さんも…」
「何やってるの?」
「ああっ、これは時代劇の型を体現するためのマイ教材」
「そうなの?」
そこで留美は何を思ったか、とんでもないことを言い出す。
「じゃあ、学芸会やりましょ」
「おおっ」
その頃、みうと理恵子は奈津美をマークしていた。
「奈津美ちゃんのパパは怪しいんだけどね」
「でも繁治さんが見たのは二人組ですよ」
「奈津美にできるかしら…」
と、そこへ山口悦史がやってきた。
「山口理事、それに横尾さん、一道さん、あれ?もう一人は」
そして用意した車には山口父子のほかに3人の男が乗っていた。
「このことを俊彦さんに」
「はい」
というわけで、理恵子が俊彦に山口悦史の取り巻きの話をした。
「山口の取り巻き?」
「今携帯写真を送るから」
理恵子が撮影した携帯写真の男に見覚えがあった。
「おや?こりゃ佐藤だ」
「佐藤?」
「3年前の市長選挙で反市長候補として立ったことがある。そのときに憂国の志士を名乗ったんだ」
留美は感心していた。しかし事は急を要する。
「さくらとめぐみは」
「授業終わり次第、呼び出しかけるつもり」
「そうか」
と言うわけで、放課後に地下室のアジトに集まったハングタンたち。俊彦が佐藤について説明する。
「理恵子が撮影した写真からだが、佐藤典史という男だ」
「この人よ、もう一人の男は」
「そうか。この佐藤は学園関係者ではないが、横尾武彦理事と上山一道中等部副教頭とつるんでいる」
「そして山口さんがリーダーなわけ」
「残念だけど、山口悦史および奈津美は白だ。もしやってるなら」
「横尾か佐藤」
「それしかない。そこで僕はチェリーとラビットを連れて佐藤の事務所を探る」
「行くんですか?」
「当然だ。それでシゲにも協力をお願いしたい」
俊彦は繁治に佐藤の弟子入りをさせることを考えていた。元自衛官なら採用できるだろう。
「それに留美はみうとメグで横尾さんをマーク。何かあったら連絡してくれ」
「了解」
ハングタンたちはターゲットを横尾と佐藤に絞って行動することに決めた。
「宝の石の行方も気になるが、このままじゃほっとけないだろ」
「それじゃ、横尾さんに動きがあったら伝えるわ」
「OK」
佐藤の事務所は中央通のビルにあった。
「ここか」
まずは繁治が佐藤に挨拶。
「あの、佐藤先生でいらっしゃいますか」
「はい」
繁治は履歴書と山口悦史からの紹介状を用意していた。
「これで、よろしくお願いします」
「どうぞ」
その間に俊彦たちは事務所をくまなく探すが、石もチェーンも見つからない。
「おかしいな。だとすれば横尾さんか」
一方、横尾の屋敷は中津川の上流の山岸にあった。
「この屋敷ね」
「ここに宝の石が…」
横尾の屋敷は2階建てで全体的に広い。一部屋探すのにも苦労する。
「どこにあるのかしら」
「硫黄の成分を劣化させないために特殊な箱に入れてるらしいわ」
なかなか見つからない留美は、俊彦に連絡してみる。
「あ、そっちどう?」
「飾ってあるものかなと思ったけど、ないとしたら…」
俊彦は見つからない苛立ちがあっただろう。しかし最後まで希望を捨ててはいけない。あきらめてはならない。
「特殊な箱に入れてるらしいの。もしかして特殊な箱って…」
「それだ!」
そして、佐藤との面接を終えた繁治のところへ俊彦が耳打ち。
「どうだ?」
繁治は親指を立てた。
「やったな。それでひとつ…箱を隠してないか?気になる箱があればチェックを」
「わかった」
「もしかしたらすでに流れてないか?質屋を当たってみる」
「頼むぞ」
「お互いに」