生徒をゆするい・け・な・い先生⑥ | ザ・ハングタン+

ザ・ハングタン+

「ザ・ハングタン」とは法で裁けぬ盛岡の鬼を退治する乙女たち。
この物語はそんな乙女たちの戦いのドラマである。
(現在「いわてマル秘指令ザ・新選組」アーカイブも公開中)

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水島千尋は5万円の差出人が気になり、外に出た。
「あれは、誰がやってるのかしら…」
盛岡学園の制服を着た千尋が青山駅にやってきた。そこには船越の姿があった。
「あなた、あなたが…」
盛岡学園の制服を見た船越は驚く。
「…水島さんの」
「そうよ」
「そういうことだったのね。でもどうして」
船越は涙を流していた。
「ごめん」
「えっ」
しかしその後の台詞は、貨物列車に遮られて聞こえなかった。

貨物列車が過ぎた後のホームに船越の姿はなかった。代わりに千尋のそばに俊彦が立っていた。
「あなたは」
「さっきまであのホームに立ってた船越亜希子さんと、将来を誓っていた者です」
「あの人、知ってるんですか」
「ええ、もちろん。彼女は数年前まで六本木ヒルズにあった先物取引会社に勤めていました。しかしその会社が倒産して、彼女は郷里の岩手に戻ったんです。そしてあなたのお父さんが自分のせいで被害に遭ったと思い込んだ」
「どうして…どうして父のことを」
ここで理恵子が登場。
「やっぱり」
千尋が振り向いて理恵子の顔を見た。
「お父さんが詐欺に遭って学費が払えなくなったって、本当なのね」
「理恵子ちゃん、どうしてそれを」
「その人から全部聞いちゃったの」
「じゃあ、まさかいつもくれるあのお金って…」
俊彦は千尋に船越のやったことを話す。それは非情ともいえることだったが。
「…あの人も詐欺を働いたんです。何かにつけて盛岡学園の生徒たちに軽犯罪をでっち上げ、親から金を騙し取ろうとしていた」
「そんな」
千尋は泣いてしまった。それをなだめる理恵子だったが、
「今は船越先生の行方を捜すのが先決だ」
「そうね」

船越は前九年の廃工場にいた。ここで木村たちと話をするためだ。
木村たちの乗った車がやってくる。盛洋学院の公用車のようだ。その車から木村が降りてくる。
「船越君、話ってなんだい」
「木村さん、あなたとの関係はもうこれきりにしてください」
船越が突然木村たちと縁を切りたいと言い出した。
「学園には明日辞表を出します。そして、もうあなたたちに会うことはないでしょう」
それを聞いた木村は笑みを浮かべた。
「ああ、もう二度と会うことはない」
菊池が船越に銃を向けた。
「騙したのね」
「そうだ。今お前が死ねば、すべて闇に消えるのさ」
「…はじめから、あたしを利用するつもりだったのね」
「そうさ。そして水島さんにも隠れ蓑になってもらったんだ」
「じゃあ、全部計算の上で」
「その通り」
菊池は泣きながら後ずさりする船越に一発撃ち込んだ。
「何するのよ」
「ははははは、今度は命中させるぞ」
菊池が引き金を引こうとしたそのとき、ドラム缶を叩く雷のような音がした。
「何だ」
菊池は転がるドラム缶に銃を向け、一発、二発と撃ったが、びくともしない。
「ピッカラシャン、ピッカラシャン」
好雄がハングタンたちと共に現れた。
「だ、誰だ」
俊彦と理恵子は草むらから裏口を見つけ、そこから入った。
「ほぉ、そういうからくりだったんですか」
好雄が木村に詰め寄る。
「清水友和と金子一成は、先ほど釈放されました」
それを聞いた木村たちは驚いた。
「そうですよ。そしてわたしは、あなたたちの最後の標的です」
「まさか」
「はい、わたしが昨夜の事件の目撃者ですよ」
「そうか…構わん、やってしまえ」
木村は部下たちがハングタンと格闘しているすきに逃げようとしたが、留美のリボンで簀巻きにされた。
「さぁ、すべて吐いてください」
船越は俊彦と理恵子の手で救出されたが、銃で威嚇されたとき負傷したらしい。
「シゲ!」
俊彦は繁治に船越の応急処置を手伝うようにした。
「ハンカチで」
「了解」
と言うわけで、繁治が好雄と一緒に船越を近くの病院へ運んだ。
「後は頼むぞ、ハングタン諸君」
留美は木村をリボンで簀巻きにしたままこう言った。
「よくも船越先生をこんなにして…よく学園の理事が務まるわね」
「あんたたちはけだものよ」
さくらが桜吹雪を木村と菊池に投げつけた。

翌朝、木村たちは青山駅の大時計の下にさらされていた。
「助けてくれ、私たちはただ盛岡学園が…」
「そうだよ、盛岡学園の評判を落としてしまえばよかったんだ」
「それをあの女、仏心に水島の娘を」
「渡辺って専門学校の生徒を刺したのは俺だ。そこに偶然盛岡学園の生徒が来たんで、あいつに罪をかぶせたんだ」
その自白を聞いた友和と一成は木村たちに食ってかかろうとしたが、留美とみうに押さえ込まれた。

理事長室で俊彦と繁治、そして好雄が船越の辞表を持って大谷と話し合った。
「船越亜希はやはり…」
「そうしたいのはやまやまですが、国際交流教育のための人材としては一流です」
「これからの若者たちに、国際社会でチャレンジさせるのはいいことだと思います」
「そうだよな」
大谷は、船越を退院しだい復職させることに決めた。
「彼女も世界を舞台に行動したかったんじゃないですか?だからその夢はもう一人の船越亜希子に託しましょうよ」
船越は大谷たちの温情を知ってか知らずか、朝日の差す病床で涙を浮かべていた。