世相を如実に映し、時にファッションや流行語、あるいは時代のスターを生みだしてきたテレビドラマ。今回は、ふだんテレビの表舞台に登場することが少ない脚本家が主人公。業界で押しも押されもせぬ実力派の3人が一堂に会する

一人目「おひさま」の脚本家岡田惠和52歳。ビーチボーイズ・バンビーノ・ちゅらさんなどのヒット作を繰り出した。

二人目中園ミホ54歳。ハケンの品格・やまとなでしこ・下流の宴・ナサケの女などの女性の本音の作品を送り出した。

三人目尾崎将也。代表作は特命係長只野仁・結婚できない男など随所に笑いを散りばめた作品を手がけている。

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3人が「おひさま」のセットのイスに座っての対談。

中園はおしゃべりで一言多い。尾崎は寡黙で必要なこと以外は話さない。

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中園さんの1日に密着。午後2時に局で打ち合わせ。ディレクターの意見や、実際の撮影条件を加味して修正していく。

続いていきつけの居酒屋で、30代・40代の主婦に取材。まずはビールでもてなしてから、女性同士の気安さから、中園さんが「家出するとしたらどこに行きます?」といきなりの話題提供。

メモは取らずに、そのほうが本音が聞けて、酔っ払っても覚えているようなことがヒントになりやすいという。

中園「私はそういうところからすごくセリフをいただきます。」

中園「自腹でもてなして、そこから聞いたことは大事。」

岡田「取材はしますか?」

尾崎「必要なら、でもほとんど想像で書く」

岡田「聞いてしまったら、それに固まるような気がして」

尾崎「今戦後の時代を書いている。80代の女性に聞くことになる。」

ここで尾崎の’結婚できない男’の話をひとしきり。

尾崎「男(阿部寛)が一人でケーキを買ってきて家で食べるのは、スタッフの独身から聞いた。」

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特命係長只野仁の映像が流れて、尾崎さんの自宅にカメラが入る。

今は「梅ちゃん先生」の執筆中。

ノートに時間順に、物語の展開順に場所や何をしているかなどのメモが記載してある。

プロットはどう固めるか?と尾崎が質問

岡田「僕は、プロットを組み立てることはしない。」

中園「私は、(プロットより詳細な)ハコを作ります。」

途中でプリントアウトしたものを読むか?という尾崎の質問

岡田「読みますよ。」

中園「私は自分のは読まない。」

尾崎「僕は、何度かプリントして読んで直します。」

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女優の菅野美穂が登場。岡田の脚本のドラマに多く出演している。

菅野「岡田さんは忙しいときには唇が土気色になっている。」

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中園「どうしても進まないときはオカネを積む。」

喫茶店で書けるか?と岡田が質問

尾崎「書けますよ。」、岡田「僕は書けない。」、中園「私は大きな声を出すらしいので、家族に怖がられます。」

執筆に行き詰ったら?と中園が質問

岡田「そのまま悩み続ける。」

尾崎「そこを置いて他の部分に行けないですか?」

岡田&中園「できない。」

岡田「構成力が自分は下手で、自分のをうまいなあと思ったことは無い。」

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朝ドラの脚本は最も難しいといわれる。

おひさまの最終回の打ち合わせ。時間が無い中でもプロデューサーなどと念入りに調整する。

岡田「分量的にはあと1話分欲しい。」8月15日に脱稿したようだ。

岡田「NHKと民放はシステムが違う。」

尾崎「15分の6回の90分と90分1本のもので何か違いますか?」

岡田「僕はどちらかというと90分ものをわけるというより、15分1話と思って書いた。」

中園「フルマラソンを走る感じで大変だと大石静さんも言っていた。」

岡田「フルマラソンというよりダッシュ150本という感じ。」

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3人の好きな心に残るドラマ

中園・・・バースディ・カード

尾崎・・・男たちの旅路

岡田・・・青春スケッチブック

岡田は山田太一のようになりたかったという。

ここで青春スケッチブックの話になる。視聴率は悪かったけど、このドラマを見ていて脚本の世界に入った人が多い。と中園。「視聴率じゃないんだよね。」

尾崎も最近のドラマ「白い春」に「早春スケッチブック」が入っていたと語る。

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連続ドラマはとにかく長く、撮影現場には予想外の事態が起きる。

脚本家は現場に行くか?

中園「行かないです。以前行って失敗した経験があるから。」

岡田「僕も、’脚本の問題じゃなくて滑舌の問題です’と喧嘩を売ったことがある。」

尾崎が質問「出来上がりに不満があるときは?」

中園も岡田も、「プラスマイナスがあるから。」

中園「3ヶ月の間に視聴者も育っていくような幸せはある。連続ドラマの脚本家になって幸せだと思います。」