8月19日札幌ドーム、日ハムのホームグラウンドだ。試合開始前に応援の太鼓の音を、スピーカーなどから聴く。外野席の応援の様子を内野席でも聞けるというシステムを作った。応援やざわめきの音がファンにも響くように。

ファイターズの客席は7割が埋まるが最近、その集客に翳りが見えてきた。そのテコイレとして案が出された。

老舗の球団と違い、長年球場に通う「ロイヤル・ファン」の育成が今後の課題だ。何よりも大切なのは、ファンに、球場にいかに足を運ばせるか?そこで球団は、観戦する人が何に反応し興奮するかを科学的に観察。そのデータを元に、新たなサービスを導入する。それは、「音」に関するもの。

モニターになったお客さんが、端子をカラダにつけて興奮度合いを計測する。

スピーカーを通じて流す音を、奇数回に出して、偶数回との興奮度合いを比較する。分析を開始、音響効果のあるほうの興奮度合いは、音響効果なしに比べて高くなる。山田さんがこのシステム担当で、今もモニターをしながら分析していて、来シーズンは「音響席」として売り出す予定だ。

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江口君・・・ヒット商品の影には、お客さんの観察から生まれたものが多い。とシャチハタや子供運動靴の「瞬足」などを紹介。この「行動観察」が様々な分野で行われている。

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大阪市のビジネス街の中心地にある、紀伊國屋書店本町店。顧客の6割がサラリーマンだ。
売上のカギを握るのは、「新書」。安価な新書は、サラリーマンには、根強い人気商品。しかもあらゆる分野の入門書的な役割を果たすため、高価な専門書の購買につながる可能性も高い。

しかし、この店では「新書」の売上が今一つ…。雑誌などには客が絶えないが、新書コーナーは奥まったところ、しかも柱の陰で目立たない。店のリニューアルオープンに向け、導入したのが「行動観察」という手法だった。

佐藤店長は「行動観察のプロ」の松波さんを招き、「行動観察」を実施。

国内で「行動観察」のパイオニア的な存在が「大阪ガス行動観察研究所」。そこから派遣された行動観察員松波さんが、ビジネスマンの売り場での行動を、影のようについてまわり調査。

男性は雑誌コーナーで立ち読み、プラモデル雑誌だった。他の場所へも行って文庫の新刊を立ち読み。前6箇所をめぐり15分で出て行った。松波さんの観察は閉店まで続いた。

「大阪ガス行動観察研究所」の所長が松波さん、12年前コーネル大学に留学し行動科学を学び、社内でベンチャーを立ち上げた。大阪ガスでガステーブルの改良を手がけて、また行動観察のセミナーはいつも盛況だ。

この日は紀伊国屋に3人の部下も連れての「行動観察」

カラダをかがめる男性を見て、「背表紙が見難そう」、新書版は文字が小さく見難い。またカニのように横移動する人が多く見られた。横積みでも新書版は低いので手に取らないといけない。などなど。

翌日、写真とメモをたくさん並べる。さらに手にとって買ってもらうための作戦を練る。写真には座って読む人もいたが、座って読む人は買わない。そこで客が棚に膝を持たれる姿勢の写真がいくつかあった。

松波さんは「立ち飲み屋」と「ショットバー」に観察に行く。「立ち読みカウンター」のイメージを膨らませた。

4日後に改善案を書店に持ち込む。改善案のいくつかを述べて、さらに新書のカウンターを提案するが、現場の人から反対される。

すぐさま、松波さんは「カウンターの幅を狭くする」ことを提案。3月中旬に店内改装、リニューアルを行う。

まずは新書の新刊を店先に、さらに売れ筋の新書、新書を常に目の付くところに置いた。新書コーナーも斜めに置いてタイトルが見えるようにした。結果は・・・新書にも客がいて手にとっていた。カウンターも設置されて、気になるものをチョイ読みするというニーズに答えていた。

松波さんたちが、結果を店長から聞く。新書の売り上げが伸びたという。売り上げで1.5倍になった。

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江口君・・・お台場の独立行政法人・産業技術総合研究所を訪問。主任研究員の山本さんから説明を受ける。

実際の行動をもとに、目線のCGや、経路を把握する。温泉の仲居さんの行動から、ベテランさんと新人さんの違いを研修にいかしたりできるという。行動観察にどんな可能性があるのか。

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一方町全体で行動観察を取り入れたところがある。

西日本を代表する温泉街・城崎温泉。7箇所ある外湯巡りが名物。

10代目の若旦那がお客さんに説明したのは、外湯を自由に巡ることのできる「ゆめぱ」、実はこの「ゆめぱ」は独立行政法人・産業技術総合研究所の山本さんが開発し、実験中のもの。

立ちあがったのは、温泉宿の若旦那を中心とした若手経営者だ。タッグを組んだのは、独立行政法人・産業技術総合研究所。日本の産業を支える環境・エネルギー、ライフサイエンス、情報通信など、多様な分野の研究をする日本最大級の公的研究機関だ。彼らが導入したのは、温泉街をまるごと観察しようという大胆な提案。実はこれまで、観光地で集客などを目的としたマーケティングは多くの人手を必要とするため、困難とされてきた。そこで、産業技術総合研究所は、IT技術を活用した、ある「秘密のツール」を導入。そのツールを使えば、観光客の動きも把握し、集客アップに一役買えるか可能性を秘めているという。日本初の温泉街で始まった、最先端の一大プロジェクトだ。

その「ゆめか」は、お客が酒店に立ち寄ったり、土産物屋に立ち寄ったり、利用履歴がデータベースに蓄積されて、その行動情報がわかり、宿にも情報提供される。しかしまだ夕食時間を調整するくらいの宿側の利用状況だった。

ゆめかをさらに活用して盛り上げることができないかと若手経営者が結集して、この4年間で14万人も減少した客足を再び伸ばしたいと考えた。

若手はご当地ヒーローになったりとあの手この手を考えて実行していた。

しかし「ゆめか」行動観察からわかったのは、お昼時に客がいないということだった。科学的な分析がされて、ウィークポイントがわかった。

若手経営者達は近いうちに、新たな作戦を練り上げる予定だ。

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江口君・・・行動観察から何が生まれるか興味深い。