横浜市夜の住宅街にやってきたのは宅配の寿司。黒川さん一家は週に1回、宅配をとる。「銀のさら」の宅配寿司だ。その経営者がすごいらしい。日本中を席捲した宅配業界レストラン・エクスプレスの貴公子社長。その怒らない経営とは?

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テーマ①チラシ配りへの情熱

テーマ②怒らない経営

路地を入って目立たない場所にある「銀のさら」、中に入ると電話がひっきりなしに入る。ここ千束店は配達エリアを1回の配達で2・3軒周り、それを7・8回繰り返す。

宅配は中華やカレーなどもあるが、とんかつも含めてレストラン・エクスプレスだ。

寿司の隣が、釜飯の宅配があり、銀のさらと釜寅は複合店舗なのだ。

中華料理の上海スクエアと揚げ物の店とカレーの店も複合店舗だ。運送コストも少なくて済む。

ついには4つの別々のものを1つの店舗で取り扱う店もできた。

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江見社長は東京に本社を移してから単身生活だ。

大阪生まれ、岐阜育ち、23歳でアメリカ留学。この時に寿司職人としての技術を身につけた。30歳で日本に戻り、岐阜で寿司屋を開く。あまりうまくいかず、宅配を思いつく。

しかし当時の宅配寿司は悪いイメージがついていた。すなわち味も形も品質が悪いというレッテルだ。

そこで江見がこだわったのは、①チラシと同じものを届ける。(信頼!)②ネタは特別仕様で届ける。(大きい!)・・・マグロ・ハマチは17gもある。③高電場解凍機による細胞を壊さない解凍で鮮度に拘る。

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龍さん・・・店の名前を別々にするのは何故?

江見さん・・・人件費のコントロールが難しくなるから。ひとつのブランドとしておいしいものを届けるということで浸透する。

龍さん・・・あまりギラギラする感じがしないんですが。

江見さん・・・猛烈にやればいいのならそうしている。

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6月14日赤坂。もっとも重要な作業が行われていた。チラシに載せる写真撮影だ。海老の尻尾の形にも拘る。

年間400種類、3億枚以上を全国の家庭に配っている。そこには緻密な戦略があった。見た目のセンスではなく、過去のデータ分析によって配置を決める。

誰よりもチラシに拘るのが江見さんだ。店のチラシへの拘りはアルバイトに任せたチラシが何百枚も川に浮かんでいる光景だった。江見は自身でチラシを配るようして、そのチラシの内容で集客がどうだったかを分析した。

今もチラシ配りは重要で、マンションの配布許可を得る、チラシは自分がもらったときの形で入れるとか。

千束店ではチラシの反応率を分析し、反応の良い区域をリピーター率を増やすために力を入れることにした。

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江見さんはポスティング極意10か条を示している。

龍さん・・・チラシ配りになんであんなに生き生きとやっているんでしょう?

江見さん・・・自分もやってきたが、アルバイトなら自分もサボる。従業員に結果が見える形で示してあげると違う。

龍さん・・・価値のある商品を紹介しているというプライドがあるのでは?

江見さん・・・宅配で幸せになってもらう。チラシを配るアルバイトの人が会社を変えるような企業風土・組織風土にする。

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社員との昼食会。その中で良くでる質問「怒らないって難しい。どうしたら怒らないでいられるか」

新ユニット事業部の福元守さん。店舗統合の責任部署だが、売り上げ激減の最悪の事態を社長に報告しなければならない。

問題の店ではスタッフの数が足りずにチラシ配りができていなかった。

社長がとった行動とは。ここで笑顔で、チラシの配布方法を伝授。一気に場が和み、新たなアイディアも出る。

「怒ると人に嫌われるよ。怒ると業績が下がるよ。」

阪口本部長、以前はまったく違う人格だったという。他社から移ってきて江見に教わった。阪口さん、昔は「表へ出ろ!」といっては殴るくらいだったという。それが今やみんなに慕われている。

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小池・・・家でも怒らないんですか?

江見さん・・・子供には怒られることはあっても怒ることはないです。ボクシングも殴らなくてもいいのにと思う。

江見さん・・・仕事は合理性の追求をしている。怒るとその論理性が崩れる、合理性が落ちるので、業績が下がる。

龍さん・・・気づかれたのはいつ?

江見さん・・・一人ではできないので、他の人と一緒にやること。仲良くやるほうが合理的だ。

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編集後記・・・イデオロギーの変わりに感情が支配しているという説もある。怒りはやっかいだ。おいしい食事は怒りという感情と対極にある。