コンクリートのひび割れによって起きる漏水、鉄筋の腐食…。
ひび割れは、コンクリートの耐久性を落とす原因の一つとして問題視されてきた。
そんなコンクリートのひび割れを、あっと驚くアイデアで解決しようと奮闘しているのが、東京大学生産技術研究所の岸利治教授。

岸教授が研究しているのは、コンクリートがひび割れを自分で治す、名づけて自己治癒コンクリート。
補修をすることなく、ひびが入っても自然に塞がってくれるという魔法のような研究で自己治癒コンクリートが完成すれば、私たちの生活はより安全により快適になるに違いない。

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自己治癒コンクリートその驚きべき実力をカメラが捕らえ、およそ1ヶ月で修復した。

新座市で生まれ、成長期は高度成長時代でコンクリートの建物がどんどん建てられていった時代。

東京大学に入り、建築を学ぶが、ミクロの世界が建築を支えていることに興味を覚え、大学院卒業後大手建設会社に入るが、1年で退職し、研究生活に戻った。

まず’コンクリートのひび割れ’を直すことを研究。着目したのは自力回復するコンクリート。何度と無く実験を繰り返し、諦めずに学会にも論文を発表していったが、ノーリアクションで、「止めよう」と思ったことも。

そんなさなか、2008年に韓国から研究にきていた安先生が、共同で研究することを申し出。専門の異なる二人が様々な事件を繰り返し、膨潤材を発見。明らかにひとつの扉が開いた。

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2010年、実用化を目指した研究に入り、水に反応してしまう膨潤剤の特徴を粒にすることで、水との反応を遅らせることにした。実験結果はうまくいっていた。2011年1月、人工的にひびを入れたコンクリートに水を注ぎ、毎日同じ実験をして、コンクリートが自己回復するかどうかをテスト。

1ヶ月続け、ひび割れの変化を撮影していった。膨潤剤が効果を発揮し、水漏れも無くなっていた。手ごたえを感じさせる姿となっていた。

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MY GOALは「2016年まえにひび割れ自己治癒能力を持ったコンクリートを開発し、修復のない建造物を造り出していきたい。」

現在は応用した補修剤も研究中。