岐阜羽島駅からクルマで15分。長良川を渡ると見えてくる「未来工業」

会社に入ると、張り紙があったり、社内は暗い。蛍光灯は自分の真上のみ。

創業者の山田昭男相談役がやってきた。裏の使える紙が大好き。

自慢げに案内した場所はドア。ドアノブは回さない!減るから!ドアを改造して使用。

極めつけは’新築祝い’にもらった壷をゴミ箱代わりに使っていた。

しかし、ノルマも無ければ、残業も無い。脅威のシェア8割を誇る製品を製造する。

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夏はランニングシャツにパンツ一丁。照明を消すことは「節約することをカラダで覚えて欲しい。」

40年前からやっているドケチ経営。その真髄を聞く。

未来工業がもうける商品は、スイッチやコンセントに関係がある。その商品は壁の裏側にある。柱に取り付ける「スライドボックス」がそれで国内シェア8割を誇る。スイッチやコンセントをきっちりつけるためには不可欠。

年商255億円、ずっと赤字なし。

大手に勝てる理由とは?チラシをあるルールに従って貼っていく。

イベントのポスターだ。その期間が終わると剥がす。「差別化に拘る。」という。

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もともとは1957年の劇団「未来座」だった。34歳のとき父親の電線メーカーをクビになり、やむなく1965年食うために「未来工業」を創業し、電気関係の業務を開始、まずは「ジョイントボックス」を製造。

しかし住宅メーカーの大手の独壇場だった。元劇団員は必死で考えた。取り付け時は職人泣かせだったジョイントに小さな穴をつけて、ネジが落ちないようにした。この差別化を徹底的に追及したのが「スライドボックス」、穴が4つになった。ネジ穴テープもアルミテープを使用。

電気工事事業者が壁の裏側から探るが、アルミテープを付けておき、探知機でそれを検知することができて、すぐに穴を開けることができた。

さらに穴あけ機も考案。現場ニーズを徹底して拾い上げた。この差別化戦略が、工事を何倍も速めた。

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スタジオに何種類ものスライドボックスが並ぶ。

相談役「一軒の家に50個くらい使う。違う種類のものを作っていくと客が感動してくれる。」

相談役「ブランドのほうが絶対買われる。ならば差別化することで手にしてもらえる。」

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普通の会社にあって未来工業に無いもの

①タイムカード、②ノルマ・・・自分で考えてやっているので働きやすい。平均給与もグンと高い。③残業。

しかし社員に課せられているのは’常に考える!’こと。トイレにもステッカーが貼られている。

社内の改善提案がたくさん。優秀な提案には数万円が支給される。

そのなかで「赤ランプ」が付いた人が’電話当番’をする。他の人は仕事に集中できる。

提案は採用・不採用どちらでも500円。熊本の外山さんは、13箇所を1件ずつ提案して6500円ゲット。でも会社は大歓迎だ。

軽量鉄骨用のスライドボックスの工夫は抑え爪で大ヒットを産んだが、これも社員の提案。常に考える癖が付いている。

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龍さん「’常に考える!」は命令ではない。どうして社員は考えるようになるんですかね。」

相談役「分け前が欲しければ頑張れよ。考えろよということ。」

龍さん「達成感があれば人間うれしいんじゃないですか。」

相談役「充実感があるかな。一番大事なことは農耕民族の日本人だから、儒教の遺伝子を持っていると思う。」

龍さん「それは相談役が社員を信頼しているということじゃないですか」

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社員旅行はエジプト!

クイズ満点で1年間休暇!

社員は5年に一度、全員が海外旅行に行く。年間休日140日。労働時間は7時間15分と短い。

昼休みはクラブ活動。70を越えるサークル活動が行われている。ストレッチやボクササイズなどもある。

従業員は全員社員。パートはいない。

山田相談役「社員を働かせたければ、まず’ニンジン’をやる。人間は’やるから走れ’だ。」

自動車会社から転職してきた林元気さんは「前の会社とは雲泥の差。まさに仕事を楽しんでいる感じ。」結婚相手も見つけてきた。ご両親も大喜び。

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相談役「食って寝るだけなら豚もやってる。残業したらそうなってしまう。4時間は自分の時間を楽しんでもらわないと。」「5時に家についたら6時に家族で晩御飯が食べられる。」

豊かな生活が活力を生む。

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龍さん「真似できますかね?」

相談役「できませんね。’逃げられる’というマイナス思考だから。」

編集後記・・・’常に考える!’というのは指示でも提案でも無い。自らの力で考えることだ。個性的な劇団のような未来形の企業だ。