震度5強の地震でも、立てた鉛筆が倒れないビルが完成間近。

震度5強といえば、物につかまらないと歩くことが難しく、固定しないと家具や電化製品が倒れる強さだ。そんな強い揺れを感じさせない技術を世界で初めて開発したのが、東京スカイツリーを建設している大林組でその中心人物が開発リーダーの勝俣英雄さん。
勝俣さんが考えた原理は非常に単純。地震の揺れをセンサーで感知し、その反対側にビルを揺らして、地震の揺れを感じさせないというもの。揺れを検出してから建物を動かすまでにかかる時間は約0.1秒。この作業を500分の1秒ごとに行い、揺れを50分の1に抑えるという。そのミニチャア実験が始まった。
もともとカーボン繊維を利用した免震を考えていた勝俣さん。

実験では補強していないほうは大破、カーボン繊維を巻いた方はびくともしない。

しかし誰もその成果に注目してはくれなかった。

1995年1月17日に会議が行われ研究中止が決議される予定だった。

まさにその日、阪神淡路大震災が発生。勝俣さんは「やり続けなければいけなかった。」と考える。

その後は「自分があきらめたら終わり、やり続けるしかない。」と決意。

今年5月、震度5の地震でも立てた鉛筆が倒れない「免震装置」を考える。

地震の揺れと全く逆の方向の揺れを起こし、建物自体には揺れを発生させないというもの。

6月1日実験開始。

実験では予想外のことが起きるので、理論上倒れなくても実際はどうなるのか?

実験開始!震動台が揺れ始めた。すると鉛筆は倒れた。この結果から、さらにチューニングを加える。アクチエイターにかかる力、問題点をひとつひとつ解決していく。

この技術は「病院」や「原子力発電所」などに使われることが予想され、勝俣さん調整を全て終えて再チャレンジ。

今回は見事に鉛筆は倒れなかった!

スーパー免震技術は、実用化へと進むことになった。

スーパー免震ビルは近く完成する。

勝俣さんは、これまで培った技術を精力的に発表している