9月10日、埼玉県草加市のある木村さんのお宅。家計簿をつけているが、8月の電気代に頭を抱える。去年の2倍かかっていた。小学生がいるので、アイスや水物も今年の夏はかかった。秋は節約しなきゃと思っても野菜は高く、卸値は最高値を記録。猛暑により家畜の死亡率も高く肉も安くはない。食卓を直撃している秋の味覚の異変を追う。
さんまの値段・そば粉の攻防・小麦は?
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江口君、農家を訪問。猛暑でスカスカの枝豆、ねぎも生育不良。秋野菜の植え付けも遅れていて、大根なども厳しいという。
東京目黒のさんま祭り。7000匹が振舞われた。岩手県宮古市が無償で提供してきたが、宮古市はさんま大量祭が開催できなかった。それでも目黒には提供した。今年は群れも遠いし量も少ないという。
2008年8月取材時は無数のさんまが飛び跳ねていたが、今年の漁では網を手繰り寄せてもほんの僅かな小ぶりのさんましか獲れなかった。根室沖は水温17度。去年より2度高く、さんまが南に降りてこれないという。
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スーパーのベイシアではさんまを確保して1匹100円以下で売りたいと計画。鮮魚担当の斎藤さんは特売日を9月11日に決めて、卸業者など知りうる業者に全部電話したが、確保が困難で、安売り対象を「真アジ」に切り替えた。
9月9日、花咲港に斉藤さんの姿があった。市場を通さずに直接買えば多少でも安く手に入るかもと、唯一水揚げがあった花咲港に来たのだ。そこで仲買人と相談してセリの値を決める。キロ450円では一匹100円未満にはできない。どうにか店頭98円で売ることができた。
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江口君、異常気象は日本だけではなかったことを説明。中国の豪雨・洪水、フランスの猛暑、南米は記録的な寒波、ロシアは最も暑い夏になり大干ばつとなった。この干ばつによる小麦の収穫量が例年の半分となり、輸出禁止を宣言。小麦相場は急騰、価格は5月比2倍になった。
丸紅の穀物担当チーム。海外現地からの悲鳴に近い報告を聞く。
アメリカ・オレゴン州ポートランド。丸紅子会社の仕入れ担当ランディさんが、日本の小麦供給を引き受けている。ランディさん、ついに農家に直談判に行く。30年来取引のある農家だが、在庫は大量にあった。しかし今は全く売る気は無い。この先、値段が跳ね上がるのを見越して、それを待っているのだ。交渉は物別れに終わり、小麦の買い付けは出来なかった。
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フランス・パリ。バケットを手にしていた近藤孔明さん46歳。小麦のフランスルートを開拓するため、たった一人で乗り込んできた。コツコツと積み上げた人脈を辿りようやく農家に接触できた。
小麦の貯蔵庫を見せてもらった。しかし「丸紅」はフランスでの知名度は低い。この日はルーアンの港に出向き、倉庫を見て回る。フランス最大の穀物貯蔵庫を持つ会社と契約にこぎつけた。ここまで来たのも近藤さんの努力の成果だ。来年以降の輸入に向けてこれからが正念場だ。
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日本の伝統食「蕎麦」簡単に調理できて、御馴染みだが、そば粉の7割は中国から輸入している。
中国産ソバは去年は干ばつだったが、今年は豊作という情報で、安くなるかと思われたが、思わぬライバルが出現した。
穀物商社の三忠、ロシアが中国のソバを大量に買いに入っているという。
3000トンもの買い付けがあった情報があり、その理由を確認しにロシアに取材。実はロシアは世界最大のソバ消費国だった。毎日の食事にも使う。ロシアはソバの世界一の生産国でもあるが、今年は干ばつのために消費を自国で賄うことができずに中国産の買い付けをしている。
三忠の国島さんは内モンゴルの畑を視察。豊作を確認し、買い付けの値段を決めて交渉に向かう。大連の穀物商社の宇社長と交渉。500トン全量を買うと持ちかけたが、トン750ドルという宇社長と国島さんが申し入れた650ドルでは開きが大きかった。そこから交渉が始まった。互いにギリギリのラインをつめていったが、条件付くで720ドルで決着。笑顔の無い契約となった。
9月13日「三忠」ではブラジル産ソバを輸入すべくサンプルを取り寄せていた。
その一方で中国との交渉も継続していた。
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20グラムの土で100ccの水を保つことのできる「新しい土」、重さも軽く、「植物工場」ができる。水耕栽培では葉物野菜しか作れないが、この土だと根菜も出来る。
丸紅ではこの土を使った野菜を試験販売し、好評だった。
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江口君・・・新たな食料確保の試みがいっそう進むだろう。