アメリカ・ロスでゲーム見本市「E3」が開催された。世界中からバイヤーや客が集まった。そんな中、新たな勢力が台頭しおてきている。フランスや中国のソフト会社が新作を披露。インドからもアクションストーリーのゲームを出品。日本のシェアはどんどん下がっている。日本はゲーム市場でも’負け組’になるのか?

OLを虜にし、カップルを虜にし、映画プロジューサーをも虜にするのがカプコン。その会長が辻本さんだ。

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龍さん「若者達がマンションの一室で作っていた時代から、歩みをご存知なので、よろしくお願いします。」

高知桂浜、長宗我部元親の人気が高まっている。5年前に初売された「戦国BASARA」で人気に火がついた。

ボタン1個おすだけでもイケるのが、女性層にうけた。

「見本市」でもカプコンは大人気。日本より海外での知名度が高い。ストリートファイターは6割が海外での売り上げ。バイオハザードは4400万本売ったが、海外での売り上げが7割だった。「バイオハザード」は映画化されてヒットした。ロストプラネットについては映画プロジューサーが触手を伸ばしている。

カプコンは毎年売り上げを伸ばしていて、海外での売り上げも増えている。

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カリフォルニア州ナパ。一面に広がる葡萄畑。東京中野区に匹敵する広さだ。

ここのオーナーが辻本さん。その品質の良さから引き合いがくる。サンフランシスコ・ジャイアンツのオーナー夫妻も現れた。

龍さん「ワイン作りとゲーム作りの共通点は?」

会長「いいものじゃないと売れない。1番を狙わないと利益も出ないし、従業員の士気も上がらない。」

会長「欧米で売るなら英語圏なら英語、フランス語圏ならフランス語で作っている。字幕に日本語入れるほど。」

会長「甲子園を目指すというのもあるけど、大リーグを目指す。」

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大阪市のカプコン本社。会長室の辻本さんのところに、他社の新作などが手渡される。毎月40本はテストするという。他社製品の分析も欠かさない。

1940年奈良県生まれ。父親を15歳で亡くし、弟達を育てながらの貧乏暮らし。

それが綿菓子に群がる子供達を見て気付いた。子供達は綿菓子そのものではなく作られる工程を楽しんでいるのだと。そこから綿菓子の行商を始める。

その行商で駄菓子やで流行り始めたのが「改造パチンコ」、コレを見た辻本は「やがてオカネを使ってゲームをするようになる。」と予想する。そして時代はインベーダーゲーム登場となる。

辻本「将来は食べ物以外の価値観にオカネを払うことになると思った。」

辻本「インベーダーゲームは5万台貸し付けて、1日5億円の売り上げがあった。」

しかしその大儲けの後に大失敗した。

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東京・大阪往復で、書類に目を通す会長。

大阪本社にジェラルミンケースが届いた。かなりの重さの書類が入っていた。

・まず海外での在庫量に目を通す。値下げのタイミングなどを見るという。

・「計画差異」と「前年差異」では実績の経過を見るという。

このように用心深くなったのは理由がある。

1969年、ゲーム機製造会社のライセンスを取得し、製造のうえ、販路を行商時代からのもを使い、大成功を収めた。ところがインベーダーゲームはブームが終わり、在庫を一気に抱えることになった。

1983年ようやく借金を返して、ゲームセンター向けの高品質ゲームを作った。

その後のファミンコンブームではゲームセンター用のゲームをファミンコン用にして成功。

しかしそこでまたゲームを量産していったが、これもブームが去った。またしても105億の赤字を抱えた。

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龍さん「現場主義ではないのはどうしてですか?」

会長「全体感を見ていびつなところを見つける。」

龍さん「数字主義もある意味では現場主義ですね。」

会長「数字は現場を正確に表す。言葉のように人によって変わったりはしない。」

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カプコンの本社ビルはあるヒットによる収益で建てた。

しかしゲームはハイリスク・ハイリターン。その中でカプコンはミリオンセラーをずっと出し続けている。

東京新宿区、戦国BASARAのイベントがあった。プロジューサーの小林は今やカリスマ的な人気を博する。

川田さんはバイオハザードのプロデューサー。開発承認会議で決裁されないとゲームは作れない。カリスマといっても、計画性の甘さがあればボコボコに言われる。

カプコンはこの会議で開発側の暴走をストップさせている。

開発のもうひとつの柱は「遊び尽くす」こと。行き止まりの場所に不具合が無いかをずっとチェックする人や、戦い場面の徹底チェックなどで、1日7時間もゲームで遊ぶ社員が11人もいるという。

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常務の一井さんは、見本市で他社の競合ゲームの発売日をチェック。

一井さん「発売時期は品質と同じくらい大事」

2009年はアメリカとの発売競合を避けて、売り上げが減少した。

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会長「ゲームをチェックする人は一般人。以前はクリエーターは一般人の「意見など聞かない風潮があったが、それが変わった。」

龍さん「コスト管理はクリエイティブなものを削ぐのでは」

会長「これだけリスクの高いものは、どんな時代でも生き続けるという発想のもとでやっている。」

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龍さんの印象に残ったのは「綿菓子製造機」のくだり。

龍さん「不思議で思わず見てしまう。この’ワクワク’がないと人は生きていけないような気がする。」

会長「衣食住のことばかりを追いかけると、’もうあるよ’になってしまう。’楽しみ’な部分がないと消費されない時代が来ると思う。」

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編集後記・・・昔お菓子が食べられない時代にお菓子を売る商売についた。生産性に関係なく何か夢中になることが必要という哲学が辻本さん流なのかも、生産性より’楽しみ’