松平さん「国債」を手に登場。国の予算の半分近い44兆円が「国債」で賄われていることを説明。そしてギリシャの危機に触れ、さらにマネー資本主義のプレーヤーが跋扈していることをアナウンス。

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国債を狙ったマネーゲームが始まっている。国債が投資のターゲットになっている。その端緒はギリシャ危機。国家破綻の寸前まで追い込まれたギリシャ。リーマンショックから蘇ったヘッジファンドが「国債」に目を付けたのだ。国家の屋台骨をゆるがすことになる国債をターゲットにした金融商品に、G20も危機感を募らせた。

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リーマンショックでは国家がその金融崩壊を救ったが、その国債も狙われているのだ。これまでは少々の借金が嵩んでも大丈夫だったがマネーの量が増えて、いまや7京という単位になっている。

ニューヨークウォール街。ヘッジファンドが息を吹き返している。

ヘジファンド代表のアダム・ロビンソンさんは「まだまだ今年はいろんなことが起きる。」と予測。アダムさんは以前よりギリシャに注目していた。ギリシャの国債に目を付けて償還期限の前にヤマがくると予想した。

CDS・・・国債CDSは国の借金に保証をかけるもので、その保証料がCDS価格だ。価格は市場取引で変動しCDSの価格と国債はシーソーの両側にあたる。

破綻発表時にはCDSが大きく買われて、事実価格が上がり、40%もの儲けがあったという。

さらに空売りによって、利ざやを稼ぐことにより、価格が下がるときも儲けることができる。このような仕組むによって国債も投機対象となっていったのである。」

ドイツ首相も「CDSの価格上昇を止めなければならない。」と主張。

ポルトガルとスペインも多額の国債に頼る財政だったため、ヘッジファンドはこちらのCDSにも注目していった。

EUの首脳会議でギリシャに対する有効手段を打てなかったことで、ポルトガルとスペインのCDS価格は思惑通りに上昇していったのである。シーソーゲームは連鎖を生んでいった。

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ヘッジファンドはユーロへと矛先を向けた。

ユーロの下落が続く中、ヘッジファンドは一般投資家の動きに着目。人々は不安にかられて’恐怖指数’があがり、ユーロはさらに下落すると予測。

欧州中央銀行のトリシェ総裁の発言「国債の話はしていない」がついにそのきっかけとなり、この機会を世界のヘッジファンドが捉えた。英国のヘッジファンドは「23億円の利益を上げた」と語り、アメリカのヘッジファンドは「予想どおりに売り抜けた」と語る。

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ユーロの宿命としてバラバラな国の国債をどうするかという根本的な問題を抱えているのだ。皮肉にも単一通貨としたことによりひずみが出たギリシャ。2001年にユーロに加盟。1990年代に海外向け国債を発行したが信用力が低く、通貨ドラクマでは世界の投資家から集めることはできなかった。

ユーロ加盟でそれが解消し、既存のユーロ加盟国も起爆剤になると歓迎したのだった。

しかし当時ギリシャはユーロ加盟の条件を満たしていなかった。助け舟を出したのがゴールドマンサックスだった。ギリシャと投資銀行は、外貨建て借金をユーロ建てで引き取り、為替レートの変動で、借金の本来の姿を見えにくくした。このまま関係は続き、GDP比2%もの借金を減らすことになったと元ギリシャの経済大臣。

こうしてバブルが発生し、ギリシャではインフラ整備が進み、2004年のアテネ五輪開催で、年1兆円が使われていった。国民へのローン貸し出しもヒートアップした。

五輪が終わるとギリシャの経済事情は一変する。テコンドーの競技施設などは使われもせずに存在。整備されたインフラも利用が少ないまま運営されていった。

政府は国民の支持を増やしたくて公務員をどんどん増やし、財政赤字はますます大きくなっていった。この危機に改革を提案した元財務大臣ペトロスさんは「国民の支持を得られない過酷な政策」として見送られたと語る。

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膨れ上がった借金を減らす手助けをしたいと申し出たのはまたもゴールドマンサックスだった。政府はあえてひた隠していた財政赤字を公表。これによってギリシャに対し投資銀行が牙をむいた。

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マネー資本主義’偽り’の繁栄。豊かさは砂上の楼閣だったのだ。膨らんでははじけるバブルは、その対応策もまた変わらずに繰り返されてきたが、リーマンショックで一変した。もう余裕のある国など無いのである。

世界は両刃の剣を抜こうとしている。フィラディルフィアの投資会社では、莫大な年金マネーの引き上げが国債の信用を落としたと指摘。

6月7日、ドイツは財政再建策をたてて9兆円の歳出削減をぶち上げた。「厳しい時代だが乗り切らなければならない。」と強い決意で緊縮路線への転換を表明した。

メルケル首相の懐刀アスムッセン財務次官は「ユーロ圏全体で取り組んでこそ有効」と力説するが、社会保障カットに国民の6割が反対を表明。デモなどが行われ、財政危機の責任を押し付けるなという声が各国に広がった。こうしてその財政再建のスピードは遅くなっていった。

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ドイツ・メルケル首相は金融取引への課税強化を提案。しかし銀行など金融機関が反発。金融取引税は、金融そのものの足かせになるという声が噴出。

EUでも足並みがそろわず、金融危機が近いのにとアスムッセン次官はほぞをかむ。

そんななか、ヘッジファンドが狙う次なる国は?

マネーのスピードに対応しきれない国はどこかと虎視眈々と狙っている。

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マネーに対する強い警戒感を示したG8であったが、日本国債もそのターゲットにならないとはいえない。貯蓄率が高いからいいようなものの、今後下がっていけば、標的になりかねないのだ。