6月24日、熊本空港。国内旅行に出かけようとする坂田さん一家。山形にさくらんぼ狩に行くという。羽田空港で乗り換えて山形まで、6人家族の旅行だ。

しばらくして客室乗務員がカードを配りに来た。妻の亜美さんのバースディだったのだ。誕生日の人は最大73%割引が受けられるというJALのサービスを利用したのだ。早速さくらんぼ農園で、亜美さんの両親も出迎えて、さくらんぼ狩りを楽しむ。家族全員が割引を受けられるという特典は魅力的だ。

しかし多額の公的資金を受けながら、こうした割引をするというのは公平性に欠くというライバル会社の指摘もある。果たして今JALはどうなっているのか。

新興勢力の台頭、特命チームの結成など、今のJALを追う。

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江口君、「業務時間証明書」を手にして、2兆円以上の赤字を抱えたJALの退職者のための証明者だと説明。従業員3割削減。国内線・国際線ともに縮小する。

成田の整備場。最近頻繁にジャンボ旅客機が入ってくる。

藤原浩幸さん63歳、整備しているのはボーイング747、大量輸送のベストセラー機だった。しかしこの機も塗装をし直して、JALのロゴも消され36機全てが売却などで処分される予定だ。

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JALが経営破たん、負債総額2兆3千億円。企業再生支援機構のもと、更正計画をたてているところだ。

その指揮官は京セラの稲盛さんだ。2月2日稲盛さんが現場を初めて訪れた。期待とともに厳しいリストラが行われるのではないかと社員も戦々恐々としていた。

稲盛さんは本社・空港・地方支店などを2ヶ月かけて回った。そして発せられた言葉が「商売人という考えを持った人があまりにも少ない。八百屋でも商売できませんよ。」というものだった。

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5月末羽田空港。夕暮れの片隅で袋いっぱいの花束を持つ女性が行き交っていた。客室業務員などが早期退職で社を去る。1万6000人のリストラを計画しており、そのうち3600人が早期退職に応じた。

12年間、国際線を中心に業務をしてきた佐藤さん、破綻が決まってからも通常とおり業務していたが、今回35歳以上の人に退職の推奨があった。残るべきか、辞めるべきか悩んだが、仕事の量も多くなり負担感があったことから辞めることを決めたという。再就職先の支援もしているが、彼女の行く先はまだ決まっていない。

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赤字の垂れ流しといわれる国際線は、路線の縮小が決まったものの、銀行団はまだ甘いと指摘。国際線の赤字は750億円。稲盛さんは国際線の収益が出るようになれば大きな収益源になると主張。

そこで国際線の収益確保にむけてクロスファンクショナルチームが組成されて、各部署からエースが集まり、垣根を越えた特命チームが出来て改革に挑むことになった。

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品川の本社、国際線客室業務員の稲富さん。4ヶ月この特命チームに専念する。

1954年ハワイ路線ができて、ホノルル線はJALのドル箱だった。しかし最近は収益が出ずにジリ貧だった。ホノルル線の収益復活こそが国際線収益復活の糸口と考えて、JTBに意見伺いに出かけた。

JTB「御社の内規が邪魔して、何か特別なことができないんじゃないか。」といった意見が出された。稲富さんはファミリー層の多い旅行客を考慮した新たなサービスが必要と考えて、チームのみんなと議論。「空港と機内を面で捉えよう」とする提案が出され、従業員の目線でのアイディアが出されていった。

そして6月4日、特命チームのメンバーが緊張した面持ちで出社。「最終報告書」を稲盛会長や機構の人に説明する日だ。「決戦」の場’経営会議’へと歩む。結果が判明するのは8月末になる。

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一方JALの撤退でピンチに立たされた地方空港。そこに青い機体が飛ぶ。

5月31日、信州松本空港。黒山の人だかりの先にはJALのラストフライトとなる機体があった。JALしか飛んでいないこの空港は29年間JALとともに歩んできた。

その翌日、松本空港にフジドリームエアラインズのライトブルーの機体が就航。FDAがJALの赤字路線を引き継いだのだ。静岡の「鈴与」が航空業界に参入してきたのだ。

コストダウンは必須事項であり、コンビニ弁当持参で乗務員は機内に乗り込む。

清水さん、乗務員として機内サービスに取り組む。ドリンクもおやつもタダだ。

無料サービスが出来る理由は、シャトレーゼがスポンサーとなっているから。お茶も原田茶園。新聞も静岡新聞のみ。こうして無料を継続しているのだ。

客が降りるとすぐに清掃に入り、運行の間隔を短くする努力をしている。

FDAでは受け皿として、シミュレータも備えている。パイロット26人のうち24人がJAL出身者だ。しかし一人でやることが多くなり、そのシミュレーションをするのだ。

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大西副社長はベルリンのIATA総会に出席し、手薄になる国際線を補うために各国の航空会社との提携を模索していた。

成田空港に稲富さんの姿があった。最終報告書提出後にまた客室業務に戻っていた。「会社の更正のために今は働いている。」

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江口君・・・その先にあるのはさらに安全で快適な空のたびであって欲しい。