越谷市の武里古紙回収センター。この一角に新品の本が山積み。およそ1割が返本されているという。のリの部分を除いて再生紙になっていく。今、本が売れなくなているという。本屋もそう。狛江市の川西健介さん、本屋を営んでいるが厳しい状況が続いているという。最盛期の3分の一の売り上げで、仕入れもままならない。

持ちこたえられない書店は閉店を余儀なくされている。今やインターネットで本を買う時代。さらにはipadの日本上陸で活字文化に大変革が起ころうとしている。発売から2週間、日本での使われ方とともに、先行するアメリカも取材。

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江口君、ipadを手にする。デザイン、軽さもさることながら、書籍が本を読むようにページをめくって読める。キンドルは文字もきれいだ。キンドルなら1500冊、ipadなら28000冊が取り込めるという。

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横浜の橘さん65歳。退職して悠々自適の生活に入ったが、「世の中の動きについていきたい。」とipadに目を留めた。

発売日の5月28日は銀座に大勢の人が並んだ。行列の中に、始発で出かけてきた橘さんがいたが、およそ300番目。午前8時に発売開始。橘さんは午前11時に店に入ることができて、ようやく手に入れた。

自宅に持ち帰り、開けてみる。48800円のタイプを購入した。電子書籍を早速試してみる。単行本なら1200円するものが450円。紙代などがかからず安く手に入る。ページめくりも、字の大きさ調整も指先でできる。

他にもゲームや百科事典、カーナビとしての機能など、子供から大人まで楽しめる昨日が満載。橘さんは奥さんと出かけるときに一緒に持ち歩く。「私はこれだけでいきます。便利です。」と言い切る。

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電子端末の先進国アメリカではキンドルで本を読むひとがそこここにいる。アマゾンの開発端末だが推定で300万台売れる大ヒットとなった。

後発のnookも携帯用としてそれなりに売れた。そしてipadが満を持して発売された。あっという間に席捲していった。学校でも導入するところがあり、大きくて重い教科書をipadに入れた。様々な機能で学習効果をあげる試みもある。近い将来、紙の教科書が無くなるかも。

オレゴン州のバージニアさん。夫は1年前に亡くなり、緑内障が悪化し、好きだった読書もできなくなった。

そこにipadがプレゼントされて、明るい画面で大きな字で読むことができるようになった。99歳のバージニアさんの暮らしが劇的に変わった。

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丸の内の丸善。ビジネス書で2位を走る、一見少女マンガのような表紙の本。著者は岩崎夏海さん41歳。この日はipadの試作版を出版社で見せてもらった。「手軽に配信されるようになると、さらに読者が広がる。」と期待する。

角川グループの動きは、「ラーメンウォーカー」のipad化を進めている。

「雑誌の作り手にとっては夢のよう。」と話す。どれだけの機能を組み込めるかが成功の可否を握る。

角川コンテンツゲートの太田さんは電子コミックをipadでやろうとしている。この日初めて「怪盗れいにゃ」の試作版をチェック。画面の金貨を動くようにしたいと要望。太田さんが目指すのは、ipad判「不思議の国のアリス」だ。

10日ほどたって、途中経過を見に来た太田さん。金貨は動いてはいるが、イメージとは違っていた。「難しいなあ。」と頭を抱える太田さん。

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6月4日千代田区、角川ではipadの中間報告を社長が求めた。満足する一方で、注文も出した。「電子書籍は英語と中国語は必須」世界に直接売ることができる電子書籍が希望だ。

怪盗レイニャのモデルとなったのはモーニング娘。の田中れいなさん。

この日はビデオ撮影。そして6月9日に動く金貨の改訂版が出来上がった。

太田友樹さん、改良版をチェック。金貨が思ったとおりに動くようになっていた。「出版文化は日本が世界に誇れるもの。」

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江口君、東京下町の本屋に立ち寄る。「猫フェア」開催中で、猫の本を集めてある。往来堂書店の店主は「店が本のことを語り合える場所になればいい」と語る。

東京・新小岩の第一書院、店主の大熊さんは、作家ごとにコーナーを設けて、手書きでポスターを書いている。

ポップも従業員の手書きでつける。そして「NET21」は書店連合で面白い本を紹介しあうシステム。

下町の本屋の衰退を食い止める狙いがある。この日はNET21の会合。それぞれの店主が工夫を語る。当初の目的は品揃えをキチンとしようというものだった。大手が売れる本を大量注文するので零細書店に回ってこないのだ。そこで連合して、大手と同じくらいの注文が可能になるようにしたのがきっかけだった。

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そして今、NET21でもipad導入が計画されている。目黒区恭文堂の田中さんはNET21会員だが、ポップの替わりにipadを置いて紹介。このipadを逆手に取った手法も、本を買うためのインセンティブになっているようだ。

江口君、「出版業界や町の本屋さんにとっては大変な時代だが、見方を変えれば読書に向き合う機会を増やすかも知れない。