「レタスいらない」と駄々をこねる女の子ひかりちゃん。お兄ちゃんとお姉ちゃんがいて、両親がいる。この友浦さん一家に血のつながりはない。特別養子縁組で夫婦が面倒を見ている。夫婦は「生みの母」がいることを伝えていて一緒に生きていこうとしている。

長女の智香ちゃんは12歳、物心つくころから「生みの母」に会ったことは無く、今会いたいと願っている。

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朝7時、システムエンジニアとして働く父親が出勤。子供たちはまだ布団の中だ。15年前に子供が生まれないことがわかり特別養子縁組を結んで、養子ではなく実子として引き取った。NPOを通じてのことである。長男が2歳になったときに長女を迎え、さらに5年後にひかりちゃんを養子にした。「子育てがしたかった。」と語る。

長男優一君は14歳、智香ちゃんは12歳になった。智香ちゃんは「嵐」が好き!思春期を迎えて、「生みの母」に会ってみたいと語るようになった。「不安になるのかな。でも二人もお母さんがいるので大丈夫かなとも思うし」と気持ちが揺れ動く。

地域のミニバスケットボールクラブに所属して、6年生の今年はキャプテンに選ばれた。試合に勝って決勝戦に進み、それを見に来て欲しいと願っている。

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「NPO法人 環の会」が、こうした養子縁組をサポートしている。

特別養子縁組は育て親の権利を大事にしようとするもの。環の会が始まって15年、すでに100組の縁組ができた。

鵜飼佳子さん39歳。子宮の摘出手術を受けたため、子供は産めない。「子供が産めないのはショックだった。」と研修会に夫婦で参加することを決める。環の会では引き受けが可能かどうかを審査。全てを受け入れて育てられるかを審査する。子供を選ぶことはできないのだ。

研修会から1ヵ月後、環の会から連絡があり「子供をある保育所に迎えにいって欲しい。」という。

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12月の友浦さん一家、クリスマスソングの練習だ。長男の優一君も「実の親に会いたい」と環の会に伝えてきた。「どういう人なのか会ってみたい。一度だけでもいいから。」

長女の智香ちゃんはバスケットボールを見に来て欲しいと伝えてある。

環の会から智香ちゃんに電話があり、智香ちゃんは涙を流す。どうやら今回は来れないようだ。手紙を書けば読んでくれるとのこと。お母さんの背中にすがって泣く。生みの母は様々な事情を抱えているので、なかなか会うことは困難なのだ。育ての母の心境も複雑である。

育ての父も「頼りないと思うけど、ずっとみていこうと思う。」

近所の子供たちもよんでの食事会。チキンもおいしく焼けた。子供たちの成長が夫婦の支えだ。

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鵜飼さん夫婦、この日初めて「生みの母」とその子供と面会。まだあどけなさの残る生みの母は、生後6ヶ月の女の赤ちゃんを抱えていた。生みの母はなかなか子供を引き渡せずにいる。佳子さんも泣きながら見守るしかない。この日は引渡しができなかった。

3日後、鵜飼さん夫婦は環の会を訪問し、「夢花」ちゃんと対面。今回引渡しが実現した。生みの母の辛さも十分認識したうえで、新たな家族として受け入れることになった。

こうして家族が増えて3ヶ月がたち、初節句を迎えた夢花ちゃんに可愛いたち雛が生みの母から届いた。すくすくと育っている夢花ちゃん。寝返りも上手にできる。

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智香ちゃんのミニバスケの試合。見に来て欲しいと手紙を書いたが返事は無かった。複雑な思いはありながら試合に臨む。結果は準決勝で敗退。

小学校を卒業する智香ちゃんは、育ての両親に手紙を書いた。精一杯の感謝が述べられていた。章吾さんが撮影した智香ちゃんの卒業式の様子が流れる。

卒業式から5日後、環の会から連絡が入り、代表の横田和子さんが智香ちゃんの生みの母から手紙とプレゼントが届いたという。早速行って受け取る。短いお祝いのメッセージにうれしさを隠しきれない智香ちゃん。

子供たちの幸せを願う友浦夫婦。親子は時を重ねていく。

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