どこまでも荒れ野が続くタンザニア北部。ここに金の採掘にやってくる人たちで街ができてきている。野うさぎのようにあたりかまわず穴を掘るので、野うさぎの街といわれる。

資源回廊といわれる金やダイヤモンド、今までは外国資本に頼ってきたが、アフリカ人自らの手で関与することが最近の動きだ。ボツワナのダイヤモンド鉱山は取引所の開設、研磨工場の設立などで、新たな雇用を生んできている。かつて「暗黒の大陸」といわれたアフリカ、人々は大地の力を自分たちに取り込もうとしている。

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ボツワナは資源回廊に属している。野生動物の宝庫でもあるが、ジュワネング鉱山は30年前からダイヤを産出し続けている。世界一の生産量だ。

ここにベルギーのダイヤ商人がトルコウスキーさんが訪問。DTCを訪れる。この日は総額500万ドルのダイヤが提示され、ひとつひとつ丁寧に確かめる。取引が成立した。DTCには南アフリカやタンザニアからも続々集まってくる。かつてDTCはロンドンにあったが、ボツワナが誘致に成功し、世界のダイヤモンド市場をコントロールしようとしている。

元資源エネルギー庁のトンバルさんが、それまで採掘権を持っていたデビアスグループに交渉し、DTCをボツワナに移すことを提案。埋蔵量が枯渇してもDTCによる収益を確保しようというもの。

デビアス側も、世界シェアを落としてきており、これを拒むだけの力が無くなっていた。ボツワナにとっては難しい挑戦だったが、採掘権を切り札に交渉する最後の賭けだった。

DTCの移設により、研磨工場が出来た。これを作ったのがベルギーのトルコウスキーさんだった。地元の若者たちに雇用と希望を与えている。研磨の技術も進歩してきている。

研磨指導員のナンシーさんは、2年前まで故郷の村で農業をしていた。そこはやせた土地で細々と暮らしていた。1年ぶりにナンシーさんが里帰り。村には祖父母や両親がいるが仕事が無く、ナンシーさんの働いて得たオカネで半年分暮らしていける。ナンシーさんはここに工場を作りたいと考えている。

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資源回廊を北上すると。銅山地帯を持つザンビアがある。鉱山や精錬所はインドや中国の資本が入り込んでいる。インドの資本が入った精錬所は経営者はインド人、採掘者はザンビア人。格差と不公平感が広がっている。

大統領選挙の争点は外国資本を受け入れるかどうか。僅差で受け入れ派の大統領が当選した。

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さらに北に向かうと、金を産出するタンザニアだ。ガーナに次ぐ金大国となったタンザニア。10社近い欧米の資本が入る鉱山があるが、このあたり一帯に、「野うさぎの王国」と呼ばれるタンザニア人自身が掘り進める村ができてきている。

先駆者の小さな鉱山のカリュー社長は、今や100人の鉱夫を抱える。みな元農民だ。ここで器具の使い方などを覚えていく。

この日、新しく掘った穴から、金が含まれているかを確認する日。鉱脈を当てれば半年は何もしなくてもいいだけの収入が得られるという。

社長は金の国際市場を毎日チェック。ドバイのマーケットがここに出来たため、社長はここに1週間かけて採掘した金を持ち込む。仲買人はニューヨークの金相場を確認し、4000ドルでの買取となった。

マーケットの動向を見て売るかどうか決めているという。

鉱山には、食堂も出来た。カリュー社長は野うさぎの王国を自立したコミュニティーにしたいと考えている。

診療所は水が不足している。遠く離れたところから水を運んでいるが、運び賃もバカにならない。カリューさんは井戸を掘ることを決めて、水脈をあてようと力を注いでいる。

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外国資本の鉱山開発は地下1000mまでも堀り進められていて、採掘された金はロンドンなどに送られてタンザニアには3%しか利益が落ちない。

外国資本が採掘夫を求め、野うさぎ王国の小規模採掘との争いが出るようになった。

元鉱山組合長は野うさぎ王国の有力者だったが、わずかな保証金で土地を提供してしまった。保証金はわずか1年で底をついてしまい、後悔の日々が続く。このように土地を奪われた人は1万人にものぼるという。

カリョーさんは、大切な土地は私たちで守らなければならないと考えて、政府の資源省を訪れて、小規模の採掘者の権利をどう考えているか問いただす。

すると3倍の土地が用意されていた。意外な結果に驚く。政府は方針を急変させていた。新たな鉱山政策では、小規模への手厚い支援が記されていた。80万人にもおよぶ野うさぎの鉱夫たちを無視できなくなっている証左だ。

水を掘り当てた診療所そばではポンプによって水がくみ上げられて、人々の喉を潤した。

カリョー社長「わたしたちは自分ひとりでは夢を見ないんです。」金が作り出した富を村人たちに還元するという方針が実を結んできている。

・・・大地の力をわれらに・・・