スーパーの食品売り場。ここの惣菜用カップ、ふちにギザギザが付いている。いったい何のため?

食品トレーの世界も進化している。エフピコ会長小松さん。ネガティブ経営とは何か?

バイヤーが熱狂するトレーを作る年商1200億の会社の会長から聞く。

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今夜のテーマは生き残るための’危機管理術’だと龍さん。

大手小売業者が顔を見せるイベント。その主役はトレー。エフピコフェアだ。

スーパーニシヤマの西山社長も寿司トレーを手にする。新商品にはバイヤーがサンプルを求めて列を成す。

最も注目を集めたのが「汁の漏れないカップ」、惣菜用カップのふちのギザギザは手を切らないための工夫。寿司トレーは中の寿司がずれにくい造りだ。刺身トレーも新型は底上げになっている。ツマの節約になるのだ。

こういった高機能が人気を呼んでスーパーはエフピコマークのトレーでいっぱいだ。

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容器開発部がその鍵を握る部門。

刺身が崩れない角度を試作。45度までokだ。またデザインも大事。実際に肉を乗せて検証していく。青より白が、新鮮に見えるし、模様が少し入っていたほうが、肉を取ったときに見栄えがするということで、デザインが決定した。

また弁当用トレーも新型はおかずが多そうに見える。秘密は仕切りの高さだ。おかずをつぶさずに、かつボリューム感のある見栄えを重視。

こうした開発が毎年行なわれている。

会長「機能を重視して作っています。」

スタジオに新寿司用トレーと新漬物などのねじ式惣菜トレーが登場。小池も絶賛。

会長「開発は1年くらいかかって出来た。」「開発チームは50人くらい。」

会長「ねじ式は世界に向けて作った。」「レジで扱いやすく、持ち帰りやすい容器を作る。」「開発はエンドレスです。」

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エフピコの強さは独自の営業力にもある。長野の箕輪にあるスーパーにきた営業の坂野さん。売り場を見て回り、メモを取る。肉売り場のトレーの種類が少ないと指摘。近くに出来たスーパーとの競争にさらされている中なので、坂野は「透明トレー」を提案。

惣菜売り場にも「イベント」を提案する。この儲かる売り場つくりもエフピコの営業力だ。そのもとがストア支援事業部。全国の売れている店のチラシなどをかき集めて分析し提案書も作る。

箕輪のスーパーは「透明トレー」を採用。惣菜コーナーでは「エビカニ合戦」と銘打ったイベントを開催。

透明トレーにしたミンチは白トレーと比べて60パックも多く売れた。

イベントコーナーではフライが飛ぶように売れていた。この日だけで1000個を売った。もちろんエフピコの容器を使う。
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エフピコ提案売り場をスタジオに再現。

中身は同じだが、容器や配列が異なる。従来の白いトレーのものと、模様の付いたものの比較や、肉の並べ方でテンションが上がるものがあるという龍さんのコメントも挟んで、会長の言葉「49年間もトレーのことしか考えていないから」

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福山市の社長の朝。車に乗ったときから電話をかけ続ける。

会長室に入ってまずは朝の願掛けをして、椅子に座るとまた電話をかけ続ける。悪いことを聞くためだという。

会長の座右の銘は「忍」の一字だ。

会長24歳のときにプラスティックトレーの会社を立ち上げた。

70年代のスーパー全盛時代に売り上げがどんどん伸びていって、順風満帆だった。夜は飲食、昼はゴルフの時代だったという。そして「金山投資話」が舞い込んできた。乗ったが詐欺だった。全財産を失った小松。このときからネガティブな小松が出来上がった。

全国を回って、白一色からカラーのトレー、さらにふたつきトレーでヒットし、再び上昇気流に乗ったが、そんな小松がアメリカに行ったときに、マクドナルドがプラスティック容器を止めるという情報を聞き、小松は帰国後、トレーの回収を開始して、トレーのリサイクルを実現し、危機を乗り切った。

そして小松は今日も現場で危機の兆候を探る。

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会長「金山詐欺では自殺も考えた。」

会長「今でも夢で出てきたトレーのことを朝会でいうことがある。」「現場に教えられる。現場(売り場)を見させてもらえ!と営業には言っている。現場を見れば全てがわかる。」

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龍さん「ネガティブ経営の真髄とは何か?用心深いということですかね。」

会長「良い数字が出たときにのぼせるな。自分の力じゃない。たまたま運が良かっただけだ。」

龍さん「悪くなる兆候をつかむには毎日電話して、情報を集めること。なかなか成功体験を捨てることはできないと思うが」

会長「良いことは続かない。ちょっと手を抜きたいと思ったときに手を抜かないこと。」

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編集後記・・・心の底に希望、表面にペシミズム。これが危機のときにも生き残る秘訣か。