アルツハイマー病・ガン・うつ病、こういった病気に画期的な新薬が生まれなくなっている。新薬を待ち続け15年たった人もいる。2010年問題とは?

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日本の製薬会社は大きな方針転換をせまられている。2010年問題とは新薬の特許が切れること。アルツハイマー病などの薬の特許きれるのだ。どれも売り上げの6割から8割を支える薬だ。この薬による収益が得られなくなり、新薬開発費用が賄えないという。

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ゲストは城戸真亜子さん。義母がアルツハイマー病の症状が出て介護している。

スタジオに各社の代表的な薬が並ぶ。特許は20年間保障されるが、2010年に切れるものがほとんど。さらにこの10年は新薬が生まれていないのだ。

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ジマウアーさん、今3種類の薬を飲んでいる。しかし病気を止めることはできない。アルツハイマー病の認証試験を楽しみにしていたが、期待は裏切られた。製薬会社は期待した効果が得られなかったと発表。

「あと6・7年しか生きられない。50代なのに。」とジマウアーさん。

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世界最大の製薬会社ファイザーに取材。90年代に出した新薬は大ヒットしたが、その後は新薬が伸び悩んでいる。研究者はその理由を二つ挙げた。

1、作りつくされた薬。

2、安全基準の厳格化。

開発の最終段階で良くない結果が出るケースが多いという。

ファイザーのリピトールは高脂血症の薬。これが特許切れを迎える。製薬会社はリストラを行なうが、研究者もその対象となるのだ。

もうひとりのゲストは佐藤健太郎さん(東京大学理化学助教)「ホームランの出るような状況がなくなってきた。」

薬が出来るまでは、前臨床から臨床の1・2・3段階があって、審査・承認⇒販売となる。この臨床に多くの費用と時間がかかる。一般的に15年近くかかるのだという。

2万分の1が薬になる確率なのだという。

佐藤「副作用のこともあって、たくさんの臨床をこなす必要があり、時間も費用も多くかかる。」

城戸「薬害は確かに怖いが、リスクはあってもどうにかできないかという患者もいると思う。」

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東京池袋、希少疾病の患者が池袋の支援団体のもとに集まった。希少疾病はもともと薬が少なく、今後も患者数が少ないことから真っ先に研究開発を止めるのではという危機感がある。

薬を待ち続ける辻さん。昨年、国立精神・神経センターの西野一三さんがシアル酸を投与すると、ミオパチーを抑えることができるということを発見したが、新薬を作るという製薬会社は出てこなかった。

辻さんは製薬会社に製造依頼をしたが、「なかなか手が出せない。」という回答。採算が取れないのが理由だ。

今月11日も辻さんは車椅子で厚生労働省に働きかけにも出かけた。厚生労働省は「安全性確保が重要。我々は患者側の立場にも立って日々努力している。」と回答。

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城戸さん「研究が出来ているなら製造して欲しい。採算性をいわれると難しいので、国などに補助して欲しい。」

佐藤さん「製薬会社としてはどうしても手が出し難いというところがある。」「患者数の多い病気のほうにいってしまうのは否定できない。」

佐藤さん「製薬会社が大きくなりすぎて、研究の現場と臨床の現場が遠くなりすぎた部分もある。」

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打開策は無いのか?

千葉県に住む嵯峨さん。過敏性腸症候群。ストレスによる激しい下痢などの症状が出る。

この症状に新薬が出来たのだ。この新薬は通常とは違う意外な経緯で出来た。実は全く違う病気に作られたもの、「ガンの吐き気を止める薬」だった。この薬の副作用が便秘だった。この薬を薄めて使うと、下痢止めになった。既にヒトで服用された経緯があるため、臨床試験が少なくて済み、4年間ほど短縮されたという。

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アメリカではこの方法が新薬製造に取り入れられ、昔の薬から、その分析によって新薬を開発することが進められている。

日本でも熊本大学の水嶋教授が取り組んでいる。「何故効くかが分かっていない薬がほとんど。とくに古いものほどそうだ。」という。

この研究から胃潰瘍の治療薬から新薬ができようとしている。HSPが修復してくれる胃のたんぱく質。この修復性をアルツハイマー病に適用できないか?脳で異常なたんぱく質発生を抑える効果が確認され、製薬会社と本格的な研究が進められている。

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佐藤「この方法もあるが、根本的にブレイクスルーをやっていくことも重要。」

佐藤「アメリカでは新たなタッグを組んでの取り組みが始められている。」

鎌田「アメリカでは患者団体が寄付を募って、研究費用を出しているケースもある。」

佐藤「国の対応としては副作用もあって、安全性を最優先している。」

城戸「何かいい仕組みを作っていただき、採算性ばかりでない新薬製造ができれないいなと思います。」