長男の権平が父八平の家督を継ぐ。龍馬は父と兄に「江戸を行かせてください」と申し出る。しかし父は許さずに、堤防工事の差配役をするよう命じる。

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剣道の塾で友人達が龍馬の江戸行きの話を笑う。武市半平太なら適任なのにと。

弥太郎の耳にもこの話は入る。

武市の家では祖母が病床にあった。半平太は江戸行きなどしないと家のものに誓う。

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差配役の仕事に就いた龍馬は、農民達の働く様を眺めるが「退屈」だった。そこに女の子が駆け寄って握り飯を置いていった。その子の後をつけると家では姉が脱穀作業に励んでいた。「もうしわけありません。それが精一杯のことです。」と土下座する。

実は堤防の工事に出ている農民は2つの村から集まっており、水の利権でいがみ合った過去を引きずっていた。

一方、岩崎弥太郎は江戸に出たいことを話すと、母の美和が家にあるオカネを全てあげるといって甕を差し出した。

龍馬に思いを寄せる平井加尾は縁談を持ち込まれていた。

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その頃、艦隊を率いるペリーが日本に近づいていた。幕府は実はオランダからの報告でこの話を知っていた。

幕府ではこのことは内密にするよう徹底された。

龍馬はその頃、堤防工事で頭がいっぱいだった。江戸行きの話も忘れてしまったかのように。

ある日、龍馬は酒を持参して工事にあたる農民達に振舞うことにした。

その酒席においても農民達のいさかいは続き、お通夜のような宴会になった。龍馬は三味線をひき場を盛り上げようとするが、農民は武士は働くこともせずに、ああせい、こうせいというばかり、下士は役立たずじゃ、犬のクソだと罵られる。

現場を立ち去ろうとする農民達に龍馬は「洪水を止めてくれるお前達に感謝しちゅう。」と語りかけ、「この仕事は最後までやり通してつかわさい。」と懇願する。しかし農民達は戻ってこなかった。

それをそっと見ていた父の八平。八平は戻って、剣道の塾を訪ねて龍馬の様子を聞く。師範は「わからん。今まで教えてきた中で龍馬のような男はおらんけに。」と答える。

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岩崎の家では、父親の弥次郎が博打でカネを浪費してしまい、弥太郎はくじける。

弥太郎が籠を担いで、堤防工事のあたりを通りかかる。するとそこには加尾が弁当をこしらえて龍馬に届けたところだった。加尾はそこで縁談がきた話を龍馬にする。龍馬は「受けたほうが良い」と答え、加尾の怒りをかう。加尾は「子供の頃からずっと龍馬さんが好きやったのに。」と告白。

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雨の降る工事現場にひとり残って「わしは人の気持ちがわかっちょらん、なにひとつわかっちょらん。」と堤防用の俵を担いで積み上げ続ける。「わしには無理じゃ!」と叫んで雨に打たれる。

とそこに農民達が戻ってきて「お前は変わった武士じゃ。人の命がかかっているから、この工事中は喧嘩はしない。」と宣言して戻ってくる。堤防はこの16日後に完成。藩の予定通りに出来上がった。

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龍馬が街を歩いていると、居酒屋から父の八平が出てきた。千鳥足だった。

龍馬は肩を貸し、番傘の中で肩をくむ。龍馬は突然路上で土下座し、「父上、私を江戸に行かせてください。一人で生きてみたい。広い世の中を見てみたい。」と願い出る。父は「そんな曖昧な理由で江戸へは行かせられない。もっとちゃんとした理由があれば認めてもいい。千葉道場の猛稽古に耐えられるか?」と訪ね、龍馬は「耐えられます。」と答える。ついに父は江戸行きを承諾する。

(つづく)