深夜のペットショップ。人だかりがしている。その陰でペットの虐待が進んでいる。30代の会社員は猫を譲ってもらっては虐待していた。飼い猫・飼い犬を捨てる人も後を絶たない。

今や2600万匹というペット数。2世帯に1世帯はペットがいる数になる。

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神戸にある動物愛護団体。足に針金を巻かれた猫など、虐待する人のリストを策定している。

しかし供給側として里親募集はネットで広く行なわれている。ネットでの騙し取りというのが増えているという。

大阪ではネットで手に入れたペットをブログに掲載している人がたまたま愛護団体の目に止まり、次々と新しいペットになるという。愛護団体の山中さんは疑いを持ち始める。そのきっかけは捨てられていて保護した子猫がブログに掲載されていたのに似ていたからだ。

動物愛護法でペットの虐待は禁じられている。山中さんは伝を頼って、この50代の無職の男性を突き止めて面会する。置き去りにした猫をカードにして自宅から猫を救出。男性にも誓約書を書かせて虐待をやめるよう要請。

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エサ代などを貰って引き取り、人気ペットを転売し、不人気のものは放置しておく飼い主もいた。取材班はその男性に取材を申し込む。「現在は引き取りは止めている。」と繰り返す男性。

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スタジオにはジャーナリストの江川紹子さん。「昔と違って’人の目’が届きにくくなって、制度が追いついていないのではないか。」「犯罪だということを声を大にして言わないといけないのではないか。」

NHK取材班「①捜査体制が脆弱、②刑罰が軽い(ドイツでは3年、日本は1年)」

江川さん「モノ扱いなので、殺すと3年、連れ去ると10年というように制度がフィットしていない。」

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大量の飼育放棄が止まらない。

収容能力の限界にきている。最も多い理由がかみ癖や吠え癖。

8ヶ月前にセンターにかみ癖の問題行動に悩んでいると相談してきた鎌田さんを取材。エサの皿を引き取るときが最も危険。トレーナーを呼んで指導を受ける。目と目を合わせてしっかりと飼い主に主導権があることを認識させることが大事。しかし小さいときのしつけが大事で、母親の教えが必要だが、日本では’子犬志向’が強く、小さければ小さいほど人気がある。

それにつけこむ悪質業者もいる。ティーカッププードルという極端に小さいプードルは、人気だが偽るものが後を絶たない。

成犬は愛護センターにおいても引き取り手が無く、飼育係の訓練で十分に扱いやすいが人気が無い。

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江川さん「’かわいい’は日本のサブカルチャーを生んでいるが、法律だけではなくて感覚もぬいぐるみのようなモノとして捉えてしまうところがあるのではないか。」

取材班「子犬工場(パピーミル)といわれる繁殖方法が取られて、外に出さないで一生ゲージの中で繁殖させられて帝王切開を繰り返すような犬もいる。」

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ドイツの取り組みから解決方法をさぐる。

ドイツではほとんどの施設・機関でペット同伴が認められている。

ペットショップでも犬そのものはいない。規制が設けられているからだ。

さらに繁殖のブリーダーも、法規制があって、広い敷地で飼われており、生後7週間未満の子犬がたくさんいた。日本ならペットショップにいる犬達だが、母犬や兄弟姉妹犬と暮らして基本的な生活を行なう。

殺処分ゼロへの取り組みも進んでいる。

施設では成犬を好む人も多く、また引き取りたいという人がいても’お試し期間’があり、責任能力があるかどうか判断する。

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森あかりディレクターが日本とドイツの違いを説明。

繁殖頭数・・・日本では制限なし、ドイツは10頭まで

母犬との期間・・・日本では適正な期間、ドイツでは8週間以上

ペットショップ・・・日本では規制なし、ドイツでは’自主規制’

より良いペット文化を築くためにはどんなことが必要か?

江川さん「虐待する人と、ほんとに可愛がる人の格差がある。社会全体の取り組みが必要だ。」

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鎌田キャスターが熊本を訪ねた。愛護センターで新たな飼い主を待つ訓練された「イノキ」

譲渡会で果たして引き取り手は出るのか?

しかし引き取られたのは子犬ばかり2頭。ついに42回目の譲渡会も空振りに終わった。間もなく施設はパンク状態。殺処分が迫っている。