三菱の岩崎弥太郎が演説していた時、暴漢が襲う。暴漢は取り押さえられる。
そこに、坂本龍馬とはどういう人物かと訪ねる御付の者がいて、岩崎は「一番好かん男じゃった。」と愛情を込めて語る。
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1843年土佐。岩崎弥太郎も少年だった。土佐の下級武士弥次郎の息子で、弥次郎は下士よりも更に身分が低かった。暑い夏の日、弥太郎は龍馬少年と初めて出くわす。川遊びで飛び込みするのにビビッている少年が龍馬だった。
家に帰ると、父親の八平や兄の権平に厳しく武士の誇りを諭される。
母親の幸は病に臥せっていた。坂本家は藩主の山内家の御廟を守護する役目だった。龍馬は父親から「寝小便たれは婿にも貰ってもらえない。勉強せよ。」と尻をたたかれる。
弥次郎は喧嘩っぱやい性格であった。弥太郎が本を読んでいるところに龍馬が来て饅頭をあげようとするが、落として犬に横取りされてしまう。
龍馬の母「幸」は龍馬に「お前は立派なお侍になる。そう信じている。」と語りかける。
その幸と父親が龍馬について話しあう。歳を取ってから生まれた龍馬は父に猫かわいがりされて育った。そんな龍馬を鍛えたのは姉の乙女であった。乙女は近所の悪がきにも一目置かれる存在だった。
雨の中、上士が往来を歩いている。下士の息子達は一斉に地面に手をつきやり過ごそうとするが上士からいじられ、龍馬はカエルに驚いて飛び上がったところ上士を突き飛ばす結果になり、上士は刀を抜いて、龍馬を斬ろうとする。
これを聞いた幸は急いで上士の屋敷に駆けつけて、親の責任ゆえ私を斬ってください!と土下座して謝る。もともと病を患っていた幸はその場で意識を失ってしまいそのまま帰らぬ人となる。
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1853年、平井加尾もすっかりオトナの女性に成長して祝言の酌をしていた。岡田以蔵、武市半平太など後の歴史に残る人物もこの祝言に参加していた。武市は仲人だったが酔っ払ってつぶれてしまった。彼を背負って帰るところに上士が通りかかり、道を空けるよう言いがかりをつけられ、龍馬は田んぼに入って両手をついて頭を下げる。屈辱に耐えながらもやり過ごす。
龍馬を起こす乙女。朝餉の席で昨日の汚れた袴のことを叱責される。
武市の家に行くと、武市は「切腹する」と昨日のことを恥じていた。龍馬は必死で止める。
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岩崎弥太郎は相変わらず籠を売っていたが、塾長から勉強の実績を買われて後継者に指名される。
弥太郎は加尾に話しかけられる。そこで学問を究めてテッペンに立ちたいと話す。加尾に惚れていた弥太郎はモーションをかけるが加尾は龍馬のことを心配していた。
龍馬は剣の道場に出向いた。そこは武市の道場だった。龍馬は道場の男達から果し合いを持ちかけられる。この頃の龍馬は剣の腕も相当に上げていた。龍馬は襲い掛かるものたちをかわす。
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龍馬は母を思っていると姉の乙女が来て「いつまでも母上に甘えておっちゃいかん」と尻を叩く。そこに武市が訪れる。
ある夜、酔っ払った上士が、往来で通りかかった下士を斬りつけて殺す。武市の道場では怒りが渦巻くが、半平太が何とか若者達を諌める。
龍馬は斬られた武士の子供達が悲しんでいるところに出くわして、その子らに巾着を渡し励ます「負けたらいかんぜよ。」と。
弥太郎は龍馬にライバル心むき出しで「学問でのし上がる」と宣言。「おぬしが大嫌いじゃけに」と言い残す。
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龍馬は武市に酒場に呼び出され、斬りつけた上士の山本はお咎めなしだったことを告げ、斬られた井上は犬死だったと語る。そして次に岡本塾長が倒れたことをも話す。たまたま居合わせた岩崎弥太郎に龍馬が話しかける。弥太郎が店を飛び出す。弥太郎は上士にぶつかってしまう。刀を抜いた上士に危機一髪となった弥太郎を救ったのは龍馬だった。上士の嫌がらせに耐えて、暴力に耐えながら「同じ人間ですけに」とつぶやく。
弥太郎は我慢できずに上士に食ってかかろうとするが、龍馬が必死で止めて川に落ちる。
龍馬は「上士の刀を下ろさせた人を知っている。それは母上じゃ。母は上士を動かしたのじゃ。母上が上士を動かしたのだから、土佐も変わる日が来る。下士も上士も無い日が来ると信じている。上士と喧嘩しても何一つ変わらない。母上がしたことはそんなことじゃない。」と語る。
弥太郎は「どうして上士を恨まんのじゃ」と聞くと、龍馬は「憎しみからは何も生まれない。」と答える。
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乙女も武市も弥太郎も、龍馬の不可思議さに虜になりつつあった。
海を眺めている龍馬に、乙女は「海は広いのう。土佐はこんまい!」と大きな世界があることを語る。
龍馬はまだ、この頃日本を変える男になるとは誰も思っていなかった。
その龍馬を変えた男がいる。
(つづく)