先月、ゴミ屋敷で火災が発生。一人暮らしの住民は死亡し、10トンの焼けたゴミが残された。

今全国でゴミ屋敷が問題となっている。ゴミ屋敷を片付ける業者も出来ている。

解決への模索も始まったゴミ屋敷問題が今夜のテーマ。

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国は実態調査を初めて行なった。これまでは「変わった人」がゴミを溜め込んでいたが、今や普通の暮らしをしている人がゴミを溜めているという。

とにかく解決が難しい。鹿児島の80代の男性が住むゴミ屋敷。地元の町内会でもゴミ撤去を行なったが、3年前に16トンのゴミを捨てた。しかしすぐにまた元に戻ってしまい。結局3回やったが同じことだった。

何故男性はゴミを溜めるのか、その男性にインタビュー。「生活手段のひとつだ。」という。出されたゴミを拾い集めてくる。近所の人はお手上げだ。

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この日マンションの一室からゴミを撤去する作業が行なわれていた。きれいなマンションの中に恐ろしい量のゴミが溜め込んであった。撤去するのは専門の業者。4年5年分くらいが溜め込んであったという。部屋は歩くこともできない状態だったという。片付け業者にはひっきりなしに電話が入る。新たなビジネスチャンスと、リフォーム業者や運送業者が参入してきている。正直いって「おいしい商売」だという。業者の「顧客」はごく普通のサラリーマン・公務員だったり主婦だったりするという。

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ジャーナリストの斉藤貴男さんがゲスト。「こうなってくると社会問題だ。」という。

取材にあたった大野ディレクターが解決が難しい理由をあげる。

①ゴミか私有財産かがわからない。

②撤去費用の負担は、誰が負うのか。

身近なところにゴミ屋敷があってもおかしくない状態だという。

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何故ゴミ屋敷の主人になったのか?

主婦「夫婦仲がうまくいかずに、買い物にストレス発散を求めてどんどん溜まっていった。」

メーカー技術者「寝ること以外、そこにいることが無いので、7年間でたまってしまった。」

看護師「パソコンデスクの前に座れる場所があれば良かった。誰も来ないし、誰も見ないからいいか。」

開業医の妻がゴミを溜めたケースもあった。

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鹿児島の男性は長年介護してきた兄が亡くなり、年金も半分になって、使えそうなゴミを拾い集めるようになったのが始まりだった。

郵便受けに兄の名前が書いてあることに話が及ぶと、男性は声をつまらせた。

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ゴミ屋敷には一人暮らしが目立つ。都内の80代の男性は元中学教師。重い心臓病を患ったのがゴミを集める切っ掛け。子供たちも独立し、妻とも別居し、男性はゴミを捨てる気力も失ってしまった。

取材中に教え子が尋ねてきた。45年ぶりの再会だという。同窓会の案内に来たところだった。家の様子に驚いた教え子は片づけを手伝うことを申し入れるが、この男性は断った。「老いては消え去るのみ。」

ゴミ屋敷の住民の孤独の深さを物語っているようだ。

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大野ディレクター「孤独や恥ずかしいという思いがさらにゴミを溜め込み悪循環に陥るようだ。」

斉藤さん「無気力や投げやりといったことが生んでいるように思う。」

斎藤さん「ゴミになるものが溢れていることも原因。利便性消費が現在の日本の消費行動。経済活性化には消費は大事だが、それをどう捨てるのかまでは回っていない。」

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ではどうすれば解決することができるのか?

大阪豊中市。ソーシャルワーカーの○○さん。ゴミ屋敷になりかけているという電話で現場に出かけていく。

市民ボランティアが見守り活動をして、電話を受けている。ボランティアの情報が「ゴミ屋敷撲滅プロジェクト」にあがってきて、ここで対策が協議される。地域との絆を再び結ぶにはどうするか。

取材班は、ゴミの片付け現場に出かける。そこでは本人との信頼関係を築きながら少しずつ片付けていく方法が取られた。この男性は母親の死亡がきっかけだった。男性には都度都度声をかけて母親の部屋を片付ける。埋もれて見えなかった仏壇が現われる。この日も「一部屋」だけ片付けて帰る。男性も笑顔で見送ってくれた。

定期的なフォローも行なっており、家族との関係の改善にも気を配る。

ゴミに囲まれて失われた人と人とのつながりを失ってしまったところを再び復活させる。

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問題解決のポイント

①ひと任せの苦情は受け付けない。

②節度ある’おせっかい’

豊中では住民と役所がしっかり手を組んで、やっている。

斉藤さん「対症療法ではあるので、大元の無気力を変える必要がある。大量消費社会などの見直しも必要で、矛盾に対応することが求められる。」

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先月下旬、都内で行政による撤去作業が行なわれた。

あの元教師の家だ。男性が撤去に同意したという。5時間に渡る作業で4トンにもなるゴミが撤収されたが、部屋の中は同意しなかった。孤立してゴミの中で暮らすこの男性の心を解きほぐすことは果たして。