黄金のツタンカーメン。3500年前の栄華を伝える。2000点にもおよぶ副葬品は王家の谷と呼ばれる場所から見つかった。その後、新しい墓は見つかっていなかった。

王家の谷で2006年、ツタンカーメンの墓からわずか10数メートル離れた場所で、新たな墓が発見された。掘りつくされたといわれていた一帯で、ツタンカーメンの墓以来、実に80年ぶりの発見だった。

墓は小さなつくりで、続々と副葬品が見つかった。黄金に輝く小さな棺。それはアンケセナーメン。ツタンカーメン王の妃だった可能性が高い。

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谷地健吾アナがナビゲーター。古代エジプトは5000年前から2000年前まで続いた。そのちょうど半分くらいの時代にツタンカーメンがいる。

王家の谷は「新王国時代」と言われる時代の王家の墓がある。これまで60あまりの墓が見つかっている。

墓に入ると回廊があり、やがて色鮮やかな居室に出る。多くの墓が回廊と居室で結ばれ、行き着くところにミイラと財宝があった。ほとんどの墓は盗掘されていたが、唯一残されていたのがツタンカーメンだった。ハワード・カーターが1922年に発見。穴を覗き込んだカーターが見たものは黄金の品々だった。特に棺にはツタンカーメンという名のしるしがあった。しるしは復活に欠かせない。黄金の玉座には若い夫婦の姿もあった。香油を塗るアンケセナーメンの姿。そして3500年前の花飾り。棺の側にも花束があった。夫婦の愛の証である。

その花輪の下から現れたのが黄金のマスク。そしてツタンカーメンのミイラだった。

近年CTスキャンによって19歳前後で亡くなったことがわかっている。

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妻の墓は見つからなかったが、墓の名前は王家の谷を意味する英語の頭文字と、墓が見つかった順番を示す数字を合わせてKV63.kingsvalley63である。

KV62はツタンカーメンの葉か。オットー・シャーデン博士が調査中にある異変に気づいた。細かい字のようなものが発見され、穴があることがわかり発掘を進めた。10Mほど掘ったところで横に続く空洞が見つかった。

覗いてみると、部屋はひとつで、壁画も無い。無造作に棺や壷が置かれていた。棺も開けられておらず、壷も蓋をしたままのものが多数あった。7つの棺と28個の壷があり、それを年代考証していくことになた。

一番初めの棺から順番に取り出し、調査していくことにした。

目じりのアイラインはツタンカーメンの祖父の代から始まったもの。つまり祖父以降の人物であることがわかる。次に文字の存在。これは優良な手がかりになる。

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もうひとつは壷の調査。壷は漆喰で塗り固められていた。開けると女性用のブローチや麻布などが見つかった。そしてついに文字の書いてある破片が見つかった。’アテン神’という太陽神が描かれており、この神は20年間という短い期間にあがめられていたもの。ツタンカーメンの父の代とツタンカーメンの時代に限定される。

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その後、アンケセナーメンである可能性が強くなる棺が見つかった。長さ130cmと小さめ。開けると羽毛が詰った3つの枕が出てきて、その下に黄金の棺があった。長さ40cmの小さな棺だった。これと同じものがもうひとつ見つかった。別の棺で黒い樹脂に覆われていたが、少し黄金色が見えていた。

このふたつの棺が重要な手がかりだ。実はツタンカーメンの墓からもほぼ同じ大きさのものが出土しており、二人の子供のミイラがあった。

アンケセナーメンとツタンカーメンは幼馴染。結婚して女の子が二人授かったが、幼い時分に二人とも亡くなってしまう。来世ではこの二人の幼子と一緒に暮らしたいという願いが込められていると推測される。

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CGでKV63を再現。わずか12畳ほどで、装飾も無く荒削りだ。しかも棺は黒。ツタンカーメンと全く違う。

この二人が生きていた時代とは?

その手がかりが、中部にあるアビドスの神殿にある。そこのレリーフには古代エジプトを治めた王の名が記されているが、ツタンカーメンやその父など4人の名前が無い。その4人は父と、おじとツタンカーメンと、妻の父だ。

その理由はカルナック神殿にある。当時宗教戦争が発生したらしい。エジプトは多神教だったが、神官が力をつけてファラオに対抗するようになった。神官とファラオの戦いが始まった。それを指揮したのがツタンカーメンの父だった。反対者は厳しく罰せられた。この宗教改革に住民の不満が高まっていたが、ツタンカーメンとアンケセナーメンは神殿の中で暮らしていた。

急激な改革を恨んだ人々が墓に侵入し、墓を徹底的に破壊した。

ツタンカーメンは対立していた神官勢と手を結ぶことを選ぶ。そして謎の死を遂げてしまう。アンケセナーメンはひとり取り残されてしまう。

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調査隊は人々の恨みの深さを検証することになる。本来なら棺は神々の絵と名前が記されているが、黒く塗りつぶされている。あの世での復活を妨げるためだ。

調査の結果、名前はひとつ残らず消されており、恨みは一族に及んだことがわかる。根深い恨みをかった一族であるが、幸運にもツタンカーメン王の墓はみつけられずに済んだ。

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KV63の封印された棺に、名前はあるのか?調査隊は医療用の内視鏡カメラを使ってミイラを検索。

そして最後の棺が開けられる日が来た。世界中のメディアが注目する中、開けられると、花のネックレスが出てきた。そして女性用の装身具で充たされていた。花輪はツタンカーメンの棺にあったものとほぼ同じ。

装飾品を全て取り除いたら、なんとミイラでは無く、石が3つ出てきた。

オットー博士もガッカリ。でもミイラすら奪われたKV63は果たしてほんとうにアンケセナーメンだったのかどうか。それも調査中である。

アンケセナーメンは神官と結婚させられたという記録もあるが、その後は歴史から消えた。

(第3集はクレオパトラ姉妹の物語です。)