今年デビュー15年目を迎える。TOKIOのボーカル、そして俳優としても活躍。ノッキンオン・ヘブンズドアのカバーに挑む。今回その創作現場にカメラが入った。「天国の扉をノックしろ」

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10月中旬、都内のスタジオに姿を見せた。普段使っているパソコンとギターを運んだ。デモテープ作りに入る。

1978年生まれ、プロスケボーを目指したこともあったがジャニーズ事務所へ。白線流しに主演し俳優デビュー。その後TOKIOでデビュー。音楽はこれからのめりこんだ。楽曲のアレンジも手掛ける。そして今回ボブ・ディランの曲をカバーすることになった。

ボブ・ディラン、1973年映画主演した際の挿入歌として使われた「ノッキンオン・ヘブンズドア」天国の扉にノック。屈指の名曲といわれ、多くの歌手が思い思いのアレンジでカバーしてきた。エリック・クラプトン、ガンズ&ローゼスなどなど。長瀬はガンズの曲で出会い、ディランにたどり着いた。

この日はデモテープ作りでまずはアコースティックギターを弾いて、それをパソコンに取り込む。そしてパソコンに入った他の楽器の音源を乗せていく。長瀬の頭の中にある音楽をカタチにしていく作業だ。

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音楽との出会いは、TOKIOからなので、必死で練習した、そして何よりも好きだという。ギターを抱いたまま寝てしまったこともあるという。20歳か21くらいから自分の音を見つけたいという思いが強くなった。

深夜1時を過ぎて作業を終えた。

来年2月、主演した「ヘブンズ・ドア」が公開される。長瀬は脳腫瘍であと僅かしか生きられない青年を演じる。そして同じ病気の少女と出会い、海へと車で逃走する。原作は1993年ドイツの若者が作った「ノッキンオン・ヘブンズドア」、余命僅かな若者が海を目指して車を走らせるロードムービーだ。世界中で大ヒットした映画だ。

生と死を正面から向き合うという長瀬にとっても初めての体験。

監督はマイケル・アリアスさん。映像クリエーターだ。(日本語ベラベラです。)

遊園地で遊ぶ、14歳の福田麻由子と長瀬のシーンがいちばん生と死を考えたシーンだと語る。福田も14歳でそれを考えた。

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長瀬は曲も映像に合わせたモノにと当然考えるわけで、「夢の中でもパソコンいじってました。」と朝ごはんを食べながらデモテープのチェック。まずはギターの曲を入れ直す。ひたすら演奏して・録音して・聴いて・また直しての作業を繰り返す。

長瀬バージョンでは、オリジナルの後奏部分を間奏とサビで終わらせることにした。「16やって、サビ2回やったくらいで」とアレンジの意向を伝えて、またパソコンに入れる。「あの名曲に自分の魂を入れさせてもらう。ボブ・ディランに’あっ、いいね!’って言ってもらえるくらいにできたらいいですね。」

「有る意味、心の中に問いかけているような、そこを頑張るしかないかな。」

そして3日懸けてようやくデモテープが出来上がった。

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プロデューサーのトム・ツィックラーさんとの対談。「息子と二人で最後は涙を流した。演技も素晴らしかった。本当に感動しました。」

長瀬「ボブ・ディランの曲がすごく好きですが、トムさんはどう感じていますか?」

トム「ヒトは扉をノックして入るまで待たなければなりません。その時間が全てです。」

長瀬「死に対して嫌な思いだけだったが、この楽曲でそれだけじゃないよというメッセージを感じた。」

トム「主役のフィルとは同じような歳(生後2ヶ月)の子供がいて、幸せだったけど、後3日しか生きられなかったら何をすべきかを考えた。でも死は決して、そこで終わりではなくて、雲の上にいて下界を見ているイメージができた。」

長瀬「今回の曲は、バンドの仲間と一発で録音して、アナログな感じを出したい。」

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レコーディング当日。ドラムを2つ入れて、終わらないリズムをアレンジ。続々と集まるミュージシャン。そしてデモテープを聴き、めいめいが曲をイメージする。「我慢して待ってようやく到着した桃源郷」のイメージ。少ない楽器でオーケストラのようにやりたい!という長瀬の気持ちを全員で共有。そして録音が始まった。

ドラムの刻みから始まって、ギターがかぶり、ピアノもはいってという感じ、1回やってはチェック、またやってはチェック。「人の手で演奏したものは、やはり素晴らしい」と長瀬。3回目の録音版を全員一致で推挙。

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この日は映画のプロモーションで取材を受ける日。

全部で6つの雑誌社から、着替えをしつつ取材を受ける。前日の録音の疲れも見せず。そして夜7時に完成試写会での舞台挨拶。初めて一般の人たちの前に立って挨拶する。「死にポジティブなイメージが持てた作品。」と紹介する。

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レコーディング2日目。いよいよボーカルを入れる日だ。

曲を聴きながら集中力を高める。そしてボーカル入れ。最も力を入れているのは最後の部分で、まさに生と死の狭間で迷っている空間で、音楽でそれを表現したい。と長瀬。

天国の扉をたたき、それを開けるクライマックスまで・・・。

「歌ってて、何か天国のドアを叩くってことが希望の途だったり、まだいいやという気持ちがあったりで、でも最後に「サア!」とドアを開けることができる。そんな世界観を出せたらいいなあ。」と長瀬。

トラックダウンの作業にも付き合う。そして出来上がった。

knock’in on heaven’s door

「親から生まれてきて、旅を続けて、ボロボロになっていたほうがカッコイイと僕は思うんですよ。」