このように、我が国が皇道の原理に当てはまった国体を保持し、その中心に天皇を戴き、天皇の率先的言動に国民が一丸となって応じる、いわゆる師資相乗(ししそうじょう)の道議国家を形成して来たことにこそ、我が国の二千年以上にわたる歴史の尊さがあるのであり、またそこにこそ、天皇の大いなる存在意義があるのであります。
しかし、一体、現代の日本人は中国のこの状態を笑い、自国のかってのこの歴史を誇ることができるのでしょうか。
私はそうは思いません。私はむしろ逆に、我が国は今や、過去幾度か訪れた国家存亡の危機に直面していると考えておるのであります。
戦後われわれは日本国憲法を始め、幾多の西欧民主主義的諸制度の下で二十有余年(昭和40年初期の頃のこと)を過ごしてまいりました。
国民の多くは物質的に満たされ、中には戦前の諸制度がすべて欺瞞に満ちたものであり、今や我が国は、進んだ西欧の文化を採り入れたのだと主張する者すらおるのであります。
だが、果たして統貫史的法に基ずく建国の理想に向かって再び大きく歩み出したのでしょうか。
残念ながら、如何に経済的に発展しようとも、豊かな精神文化の根付いた国家とは程遠い状況であると言わざるを得ません。
それは言うまでもなく、、、続く