アメリカはグレナダ侵攻を思い出すべき
ロシアのウクライナ侵攻に最も近いものは、実は1983年のアメリカによるグレナダ侵攻なんです。10月25日午前5時に開始されたグレナダへの侵攻は宣戦布告は行われなかった。アメリカ軍によってこの作戦は「アージェント・フュリー(Urgent Fury、押さえ切れない憤怒)」と命名された。カリブ海は自分の裏庭だと思っているアメリカは、そこに親ソ政権ができることが許せず、それを自分たちの安全に対する脅威だと考えた、わけです。
攻軍の総計はアメリカ軍から7,300名、OECS諸国などの軍から353名が投入された。アメリカはレンジャー部隊、ネイビーシールズ、デルタフォースなどの特殊部隊、海兵隊など7,000人以上の部隊が参加している。
グレナダ側にはグレナダ兵約1,500人およびキューバ人約722人(高度な軍事訓練を受け武装した「建設労働者」、および軍事顧問。人数は1,500人程度とも)。このほか、グレナダ国内にソ連、北朝鮮、リビア、東ドイツ、ブルガリアから来た60人ほどの顧問がいた[12]。 シールズがポール・スクーン(英語版)グレナダ総督救出と通信基地破壊を実施、陸軍レンジャー部隊と海兵隊等がパールズ空港とキューバ兵が建設中であったポイント・サリンス国際空港占拠、及びアメリカ人医学生らの救出を行った。グレナダ各地で戦闘が行われたが、圧倒的な兵力のアメリカ軍は政府関連施設、空港、大学などの拠点を次々制圧した。
戦闘は数日間続き、アメリカ軍は19名が死亡、116名が負傷し、グレナダ側では兵士45名、民間人は少なくとも24名が死亡し、兵士358名が負傷した。また、キューバ人は24名が死亡、59名が負傷し638名が捕虜になった(それぞれの人数については資料により若干の違いがある)。
ゆえに、これがまさに、現在ロシアが感じている脅威、行っている行動と、重なってくるわけです。
ウクライナ侵攻を「(近未来の)中国による台湾侵攻」になぞらえる人が多いですが、それはぜんぜん意味合いが違う。
露ウ関係と中台関係は全く別物
今回は、ロシアがウクライナを「旧朝貢国」と思い、「旧宗主国」の立場として攻め込んでいることは、間違いありません。すると、中国と台湾亡命政府の関係とは、ぜんぜん違うわけでして、中国本土と台湾亡命政府は「どっちが本物の中国なのかというタイトル争いをやっている」わけであって、ロシアとウクライナの間にある「上下関係」とは、全く異なるものです。
強いてアジアになぞらえたいのであれば、それはもちろん、中国と沖縄の関係です。
ロシアとウクライナの関係は、中国と沖縄の関係に近いですが、中国は14世紀に朝貢関係ができてから、一度も沖縄を軍事占領したことがありません。
さらに沖縄は、第二次世界大戦後、一度も「中立国だったこと」がなく、プーチンがウクライナに求めているような「中立国としてのクッション的役割」を果たすことは、全く不可能です。
まそんなわけで、グレナダ侵攻をやっているアメリカが、ロシアのウクライナ侵攻を非難する筋合いは、ないはずなんですよね。
泥棒が泥棒を、人殺しが人殺しを非難するということは、できませんので。