Asia

呼称と侮蔑の微妙な関係

コメントにしようかと思って書いていたら、ものすごく長くなってしまったので、リブログにしました。

相手が中国人の場合

支那、シナについては、戦前の段階で、当事者の中国政府から正式に「差別的だからやめてくれ」という抗議があったということは、以前のブログのときにご紹介したとおりです。それは、加藤陽子さんの本からの引用でした。
また、とある香港の人が、日本人がFacebookで、支那とかシナとか書き込んだのに対し、「差別だ」として、猛烈に抗議していたのを見たこともあります。
ゆえに、相手が中国人であるという場合には、「日本人が支那とかシナという言葉を使うのはよくない」というふうに、私は思っています。
しかし、英語で話をしている際に、日本人がChinaと書くのは、これはOKなのです。
そういうふうに思っておけば、相手が中国の人の場合には、だいたい大丈夫です。

相手が在日コリアンの場合

相手が在日コリアンの場合に、面と向かって朝鮮人と呼ぶのは、これはかなり侮蔑的な意味合いになるので、これは昔から、侮蔑的にそういうふうに使われてきたために、よくないだろうと思います。

相手が在日コリアン以外のコリアンの場合

相手が在日コリアン以外のコリアンの場合=本土に住んでいるコリアン、または日本以外の海外に住んでいるコリアンの場合には、相手と日本語で会話をするということは、まずないので、相手の民族の呼び方というのは、Koreanでぜんぜん問題はありません。

朝鮮民主主義人民共和国の「呼び方」

そして、最も難しいのが、朝鮮民主主義人民共和国の「呼び方」ですが、英語では、North Koreaであり、DPRKという呼称は、ほぼ使われていません。
そしてNorth Koreaというふうな呼び方が「侮蔑的だ」というふうに、当事者が抗議したということは、ないと思いますね。
問題は、日本語で「北朝鮮」と言った場合ですが、私の個人的な考え方では、これは「当事者から抗議があったら、改める」ということで、いいのではないか、と思っています。
それは、北朝鮮という呼称が、日本語ではかなり普及しているからであり、特に侮蔑的な意味を込めているとばかりは言えない、と思うからです。
朝鮮というのは、本来は美しい意味合いの言葉なので、どんどん使ったらいいのではないかと思うのですが、当事者たちが嫌だというなら、それは考えなければなりません。
「おまえは朝鮮人のくせに」とか、「あいつは朝鮮人だ」というふうな使われ方ばかりをしてきたために、「日本人が朝鮮という言葉を使うのはやめてほしい」というふうに思う在日コリアンが多いとしたら、それは日本人側は、使うことを控えたほうがいいのかもしれません。

Japという言葉への対応は、どうしたらいいのか

私は以前は、英語でのやりとりのときに、Japという言葉を誰かが使うと、神経質になっていたんですが、今はそれほどではありません。
それは、各民族の呼称というのは、それぞれ、いろいろな省略形で呼ばれており(BritsとかAussieとか)、それが普通だからです。もちろん、日本人の場合には、戦争中に侮蔑的な意味合いで使われました。戦争後も同じですが。
しかし、人間関係ができてくれば、面と向かってJapと書いてくるような人はいないので、あまり神経質になる必要もないのかなと、最近は思っています。