
今始まった話ではないわ
まあねえ、ウチでは、私が小さいころから、毎年12月になると、そんなTV番組をやっているから、母が必ず「バカバカしい」「あんな話、大嫌いだ」と、ブツブツ言っていたんですよね。なぜかって、「社長がアホなせいで、社員すべてを露頭に迷わせた話を、美化しているから」なんだって。
父ですか、知らないわ、靖国神社には、一度も行かず、叔父たちが犬死させられたと言って、怒っていたような、そんな父ですよ。
もう死んでいるから、赤穂浪士をどう思っているかなんて、聞けないし。
毎年毎年、子供のうちから、母にそんなことを言われていれば、どう思うかというのは、わかるでしょ。
もちろん、父も母も、昭和10年代の生まれですよ。
だから?
今に始まったことでは、ないんです。
「理解されなくなった」のではなくて、昔から、そういう人は、いるんですよ。
というか、「庶民」の立場だったら、そう思うというほうが、普通なんじゃないの。
だって、「ほとんどの人」は、ボスがそういうアホだった場合には、無職になって、路頭に迷うというほうの立場でしょ。
なぜ、「アホ殿の立場」でしか、ものを考えられないのかね。
不思議だわー。
自分の立場は、当時だったら、殿様だったと信じ込んでいて、無職になるほうの家来だったというふうには、これっぽっちも思っていないとか。
まあ、想像以上の世間知らず、温室育ちのボンだわねー。驚くわー。
現実は、たぶん井沢説が近かったはず
私は、個人的には、赤穂事件については、井沢元彦の説が、最も妥当だと思っている。売れる作家には、それなりの理由があるのであって、それなりのものを持っているから、売れるのである。
百田みたいなのは、アベ友というそれだから、話は別だけどね。
私は、井沢とは、相容れない部分が多いけれども、この件については、妥当な分析をしていると思うよ。
浅野は、いじめられて我慢に我慢を重ねていたわけでは、別にない。
それは、「お話」のほうでは、そうだけどさ。
浅野には、遺伝的な疾患があり、親戚にも、同じことをした人物がいた。
だから本人は、狂い始めているということは、自分では、だいたいわかっていたけれども、それが、ああいう形で発症してしまったということ、それを、大石に知らせておくことができなかったために、「さぞかし驚いただろうね」というふうに、大石に言い残したというのは、うなずける見方である。
そして、大石は、弟の大学(という名前なの)を押し立てて、お家の再興だけを願い、そのために具体的な活動を続けていたのに、ガンコ者の綱吉が、絶対にうんとは言わなかった。
大石は、「トノは、病気だったのであって、悪意があったわけではないのに、病人を罰して、家まで潰すというのは、道理が通らない」と、それを怒っていたのである。
それが、あの討ち入りであり、ゆえに、大石は、吉良への恨みなどは、別になかったが、幕府への不満を形にするには、ああいう方法しか、なかったんだ、と。
非常にうなずける説である。
まあ、一度読んでみたら、キミは、あまり本を読まないみたいだし。