北東アジア地図

韓国ユニクロのTVコマーシャルは、何が、どう問題だったのか

韓国ユニクロのTVコマーシャルが、植民地時代を連想させ、バカにしているように見えるとして批判され、CMを引き揚げた、という事件。
ふむ、実際には、どんな雰囲気だったのかを、見てみる↓

ユニクロの「企業センス」に疑問

…これは、韓国や中国以外の国で、放送されたCMだったら、別に、問題はなかったのではないか、と思う。
が、これが、韓国での広告であるということを考えると、企業としては、無神経で、そして「無知」だったと、言わざるを得ないだろう。
「歴史」について無知であるということと、「現在の状況」について、無知であるということの、両方の意味で、無知。
どうして、こんなCMを、韓国で流すことに、したんだろうかなあ。
かなり、不思議である。
白人のおばあさん(有名なデザイナーだったというのだが)と、黒人の女の子(若いデザイナーらしいのだが)を、なぜ、韓国でのCMに?
もしも、これが、韓国人の女の子だったら、問題は、違っていただろう。
可能性としては、
  • 批判は、ユニクロとその女の子の両方に向けられる。特に、女の子は、裏切り者として、責められる。
  • 撮影の段階で、女の子が「おかしい」と言い、SNSで流して騒ぎになり、撮影が中止になる。
の、どちらかになっていたのではないだろうか。
なぜ、韓国人に向かって、「ユニクロの洋服を買ってください」というふうな広告をするために、白人のおばあさんと、黒人の女の子を出すのだろう。
そして、おばあさんに、「そんな大昔の服装なんて、覚えていないわ」と、言わせたのだろう。
この時点で、何かが、変である。
「企業センス」が、おかしいのではないだろうか。

「忘れっぽい」との批判をされる中

数年前の、日韓のサッカー対決の際に、韓国側の観客席で、巨大バナーが広げられ、「忘却の民族は、救われない」みたいな言葉が、ハングルで書いてあった、という事件があった。
これは、韓国側の人たちが、「日本人は、忘れっぽい」というふうに、皮肉っている、抗議をしている、という意味になる。
「忘れている」というふうに言っているのは、これは、手加減をしてくれている、ということなのである。
隣人として、最低限に、皮肉で済ませてくれている、というのが、この時点の状況だった。
そう、実は、「忘れている」のではなくて、現政権は、はっきりと「歴史の塗り替え」を、しようとしているのだが、韓国の人たちは、それでも、「気を使ってくれていた」と、言うべきであって、これが「北東アジアの礼儀」と、言うべきものなのである。
これが、相手が韓国でなければ、この程度で住んでいるわけがない。
「品がいい」「礼儀を重んじる」というのが、北東アジアの民が共有する、特徴であり、それが、こういうところにも、ちゃんと、出ているのである。

なでしこジャパン

やはり数年前、なでしこジャパンが、中国で試合をしたときに、客席から、ブーイングが飛んだとき、なでしこのメンバーたちは、しばらく、戸惑ったふうだったが、キャプテンの澤穂希は、確か、ボードに「ありがとう」という言葉を、中国語で書いて、掲げた、と記憶している。
そう、それでいいんだ、それが、北東アジアの民であることの、証なんだと、私は、思った。
ブーイングに対し、ありがとうで返されたら、「礼儀」を重んじる北東アジアの民であれば、「恥じる」とか、相手の「徳」を知る、「北東アジア文化圏の仲間だ」ということを、知る、ということになるのである。
澤は、立派だった。
そして、たぶんだけれども、澤でなくても、まともな日本人の女性なら、こういうことは、できるのではないか、と、私は思う。

そして、今回のユニクロの件というのは、そういうふうに、北東アジアの仲間たちから、「キミら、忘れっぽいんではないかい」と、注意されている時期の、出来事である、というふうに、時系列で、見なければならないのである。

もしも

例えば、アメリカのアパレル企業が、日本で広告を打つとして、日本人のモデルを使わなかったとする。
それは、よくあることだから、別に、それほどの問題ではないけれど、外人モデルに、おばあさんを使って、「大昔の服装なんて、覚えていないわ」と言わせたら、広島や、長崎の人たち、または、東京大空襲に遭って、生き延びた人たちは、どう思うのだろうか。
そしてそれは、「アメリカの企業」だったら、バカにされたというふうに、思うかもしれないのだが、別の国の企業であったら、感じ方は、また、違うかもしれない。

ユニクロの企業センスの問題

前にも言ったように、現地の邦人の話によると、「ソウルの五右衛門」には、行列ができているということである(韓国ソウルの「五右衛門」は、いつも行列ができている?)。
ということは、何もなければ、日本の企業が作って出すスパゲティでも、おいしければ、喜んで食べに来てくれる、ということなのである。
すると、現状では、韓国や中国での、日本企業の振る舞いというのは、「何」が、現地の人たちの琴線に触れるのかは、わからないから、相当に注意を払う必要が、あるということで、そして、媚びる必要は、ないと思うけれども、「無神経」というのは、よくないだろう。
なにしろ、今回の件については、「とりあえずネトウヨとは反対のことを言う」という、頭を使わない、脊髄反射の人も、いるだろうけれども、私は、自分の頭で考え、自分が信じることしか、言わない。
今回は、「歴史」と「最近の状況」の両方について無神経だった、ユニクロ側の「企業センス」が、そもそも変だったのではないか、というふうに、思う。