「分断」の修復を試みる文在寅

沖縄でも、基地建設反対運動で、「分断」が起こっているように、韓国でも、深刻な分断が、あったのだった。
その「分断」は、日韓両国を植民地として「活用」している国の都合によるもので、活用されている国の「防衛」のためではない。
韓国の人たちは、それを知っていて、抵抗したが…。
Moon addresses residents of Gangjeong Village opposed to Jeju Naval Base : National : News : The Hankyoreh


10月11日、済州島での国際海軍観覧式に出席したあと、文在寅は、すぐに済州島のカンジョン村(江汀村)へ赴き、住民たちとの集会で、謝罪をしたのだという。

事情は。
カンジョン村では、2007年に海軍基地の着工が決まり、激しい反対運動が続いたが、基地は完成し、2016年から稼働している。
2007年当時、文在寅は、盧武鉉の主要スタッフとして、済州島基地を推進する立場だったという。
そして文在寅は、昨年の大統領選の際に、カンジョン村問題を解決するという公約を掲げていたのだという。

あえて反対運動のある済州島で

今回の済州島観覧式では、地元の反対運動もあった(Peace activists protest International Naval Review in waters off Jeju : International : News : The Hankyoreh)。
それを見越して、場所を済州島ではなく、別の場所にしたらどうかという意見もあったそうなのだが、文在寅は、あえて「反対運動がある」ということに注目させるために、済州島でのイベント開催を選んだのだという。

国側の提訴を取り下げた文在寅

済州島海軍基地については、政府側と地元民の間では、非常に悲惨な状態になっていたというJeju Naval Base controversy - Wikipedia
朴槿恵時代の2016年3月の時点で、なんと、海軍側が、工事の遅延への巨額の損害賠償を求めて、村民を提訴したのだという。
[Reportage] After ten-year struggle, Gangjeong villagers beset by government indemnity claims : National : News : The Hankyoreh
今回、文在寅は、その提訴はすべて取り下げた、と言っている。
Moon went on say, “The government’s request for indemnity has already been withdrawn. All that remains is amnesty and reinstatement, which is only possible when the trials for related incidents are all finalized.”
全体的に見て、文在寅のカンジョン村訪問は、「分断」を修復し、村民の傷を癒すということが目的と、見られる。
“I came prepared to really be told off, so I thank you for the warm reception,” he said.
↑このように、罵られることを覚悟のうえで、来たのだけれど、そのわりには、温かく迎えてもらえたと、言っている。
ということは、やはり、支持率が高いうちに、この問題を、なんとかしてしまいたい、ということが、あったのだろう。
そして、村民が、やってきた文在寅を罵らなかったということは、やはり、最も抑圧をした朴槿恵ではないということ、さらに、朝鮮統一に向けての具体的な動きを評価している、ということなのだろう。
現段階で、文在寅を叩くということは、すなわち、長い間待った朝鮮半島の統一を、ブチ壊してしまうということにも、なりかねない。
やはり、文在寅は、相当な策略家である。

蹂躙される北東アジア

朝鮮半島の南端に、要りもしない大規模海軍基地を作る、それは、韓国の防衛のためでは、ほとんどなかったはずである。
中国を怖れるアメリカのため。
自然環境というのは、一度壊したら、元には戻らないのに、アメリカの都合でもって、いとも簡単に、破壊され、地元民の人生は、ボロボロにされる。
沖縄と同じことが、韓国でも、起こっていた。
文在寅は、「この状況」を、変えようとしている。
「これが続くこと」を、彼の世代で、止めようと、している。
そのための第一歩が、カンジョン村の傷と分断の修復。

革命児と思われないようにしながらサクっと革命をやる男、文在寅

どこまでできるのか。
全体的に見れば、文在寅というのは、鳩山由紀夫に似ているが、たぶん、もっとポテンシャルが高い。

数日前には、BBCのインタビューを受けている。
Moon says no Kim Jong-un placed no conditions on his speech to North Korean public : North Korea : News : The Hankyoreh
自身がクリスチャンであることを生かし、ローマ教皇の訪朝も、働きかけている。
Moon to attend mass for peace on Korean Peninsula at the Vatican on Oct. 17 : International : News : The Hankyoreh
↑10月17日にバチカンへ行き、朝鮮半島平和ミサに出席の予定。

文在寅はまた、有能な外相も持っている。
康京和さん。
朴槿恵時代とは違い、外相に女性をあてたのは、正解である→慰安婦問題の対処には、女性が適している
この人の経歴を見ると、なんとなく、「韓国の小和田雅子」という感じも、しなくもない。
もちろん、朝鮮の人たちには、失礼だと、言われるかもしれないが、そういうつもりは、まったくない。
まあ、雅子さんも、ああいう特殊な人と結婚しなければ、今ごろは、外務大臣とかになって、こういうふうになっていた可能性は、なくはない。
だから私は、雅子さんは、康京和さんのような女性を、冷静な目では見られないのではないか、という気がしている。
「なれなかった自分」のように、思ってしまうのではないのかな。

革命児と思われないようにしながら革命を進める文在寅、アメリカに邪魔をされる中、どこまで、何ができるのか。
北朝鮮への経済制裁を単独解除する件は、取りあえずは、うまくは行かなかったようだが、すぐに諦めることは、ないし、抜け道は、いろいろあるだろう。
同じように、虐げられている東アジアの仲間でありながら、なんの援護射撃もできないことが、非常に残念である。
いつか、きっといつか、仲間に戻れるときが来る。
そのためには、とにかく、まず、韓国に独立してもらうということが、何よりも重要なのである。