60年前の独立戦争時の残虐行為を、今になって認める

前にも書いたように、最近は、ロシアとの接近が見られるフランスのマクロンなのだが、今回のニュースは、歴史関係である。
この女の人↑は、被害者の娘さんだそう
France admits enabling death by torture during Algerian War of Independence — RT World News
The war of 1954-62 claimed some 1.5 million Algerian lives as French troops cracked down on the uprising as the colony sought independence after 130 years under foreign rule.
1954-62の独立戦争は、150万人のアルジェリア人の命を奪ったとされているが、それは、フランス兵たちが、130年に渡る異国の支配からの独立を求める植民地の蜂起の取り締まりを行ったからである。
60年前に、アルジェリアの独立戦争の際に、フランス軍による拷問をやったということを、認め、遺族のうちの1人に会って(マクロンが)、夫を殺された未亡人87歳に、許しを願ったと、いう。
On Thursday, French President Emmanuel Macron acknowledged that during the war Paris created a system that led to the abduction and death under torture of Maurice Audin, a pro-independence communist activist and mathematician.
木曜日、フランス大統領のエマニュエル・マクロンは、戦争の間、フランス政府は、拉致や、モーリス・オーディンの拷問の結果としての死に結びつくようなシステムを作ったということを認めた。
オーディンは、独立派の共産主義活動家で、数学家だった。
Audin, a 25-year-old assistant professor at the University of Algiers, was arrested at his home by French paratroopers for allegedly harboring Algerian freedom fighters. Josette was later told that her husband escaped while being transferred between jails. Only in 2014, Macron’s predecessor Francois Hollande admitted that he actually died while in custody.
アルジェリア大学の助教授だった25歳のオーディンは、アルジェリア解放兵士たちを匿っているという容疑で、自宅でフランス兵たちに逮捕された。
ジョゼッテ(妻)は、後日、夫は移送中に脱走したと聞かされた。
2014年になって、マクロンの前任のオランドは、彼(オーディン)が、実際には拘留中に死亡していたことを認めた。

「ジャッカルの日」

まあ、フランス当局側が、アルジェリアの独立勢力に対し、すごいひどいことをやっていたぽいというのは、例えばだけど、映画「ジャッカルの日」なんかにも、そういう描写があったと思う。
…なんか、捕まえた人を、椅子に縛り付けて、アソコに電流を流して、情報を聞き出して、用が済んだら、殺す、とか。
映画の中で拷問されるのは、OASだから、アルジェリアの独立勢力ではないのだが、やっているのは、同じフランス政府側なんだから、相手が違っても、同じようなことをやっていたと見るべきだろう。

イギリス

「植民地でやらかした昔の悪事」について、欧州側が、わりと低姿勢な感じになってきているというのは、ほかにも例があって、例えば、イギリス。
このブログでも、だいぶ前に紹介したことがあるけれど(David Cameron marks British 1919 Amritsar massac | Cluttered talk blab blab blab)、キャメロンは、インドに行ったときに、1919年の虐殺行為を謝罪している。

カティンの森事件

または、ロシア。
プーチンは、「カティンの森事件」の真相が判明したあと、2010年に、ポーランドの現場に行って、献花をしている。
Katyn massacre - Wikipedia
On 4 February 2010, the Prime Minister of Russia, Vladimir Putin, invited his Polish counterpart, Donald Tusk, to attend a Katyn memorial service in April.[112] The visit took place on 7 April 2010, when Tusk and Putin together commemorated the 70th anniversary of the massacre.[113] Before the visit, the 2007 film Katyń was shown on Russian state television for the first time. The Moscow Times commented that the film's premiere in Russia was likely a result of Putin's intervention.[114]
Putin Observes Anniversary of Katyn Killings - The New York Times
Prime Minister Vladimir V. Putin of Russia, center, took part in a wreath-laying ceremony in the Katyn forest on Wednesday. Credit Sergei Karpukhin/Reuters

日本が取るべき態度とは

そういう動きを、いろいろと見てきた場合には、「日本政府の姿勢」というのは、「ほかの国と比べた場合」には、現段階では、「おかしい」とか、「異質である」というふうには、言えるよ。
アメリカは別よ。あそこは、「自分たちは例外だ」と思っているから、よその国に対して「謝る」ということは、絶対にしないから。
私たちは、「自分たちは例外だと思い込んでいるアメリカ」の真似をして、歩調を合わせて行くほうがいいのか、それとも、世界情勢を見て、「アメリカ以外の国」と、歩調を合わせていくほうが、いいのか、そのことについて、あくまでも「長期的な国益」という観点でもって、もっとよく、話し合ったほうが、いいと、思うんだよ。
だいたいみんな、日中韓くらいのことしか、見ていないじゃん。
それ以外の地域では、どうなっているのか、知らないじゃん。
だから、アメリカだけをお手本にしていたら、空気が読めず、取り残されて、気がついたときには、「浮きまくっている」というような、とんでもないことに、なっているという可能性は、大なのである。
そして、「損かトクか」ということもそうだけれども、何よりも、人として正しいことをしなければならないということは、これは、当然の話である。
正しいことをすれば、自分たちの気持ちがラクになるし、相手との関係も、うまく行くはずで、逆も真なりである。
もしも、「どうしても、正しいことができない」なら、また鎖国をするのが、いいんじゃないかと、思うんだよね。
この状態で、「世界」のメンバーとして、参加を続けるのは、無理じゃないかと、思うから。