中国のアフリカ投資は、超長期的「ウィンウィン」ストラテジー

中国人というのは、本当に、長期的にものを考える人たちなんだな、と思うのは、例えば、こういう例ひとつ取っても、そうである。

The fundamental difference between China’s and the West’s policy toward Africa - People's Daily Online

日本のメディアでは、まったく報じられないが、現在、北京では、大規模な「中国アフリカ会議」(The Beijing Summit of the Forum on China-Africa Cooperation (FOCAC))というのが、開かれており、正確にはわからないけれども、ほとんどのアフリカの国の代表が、集まっているらしい。

本気度100%

中国のアフリカへの投資・関与というのは、近年、目覚ましいのである。
中国は、アフリカに対し、本腰も本腰、である。
…日本では、あまり報じられないというか、「中国がうまくやっている」ということは、考えたくないから、目にしないだけ。
西洋諸国にとって、アフリカというのは、「収奪の対象」でしかなかった。
そして、用が済んだら、あとは放置…で済むかと思ったら、そうではなくて、今では、北アフリカからの移民・難民が、高福祉の欧州諸国に押し寄せてしまって、苦しんでいるわけである。
経済格差がありすぎるからそうなる、というのが、大前提である。
誰だって、生まれた国で、そこそこ暮らせれば、遠い国まで出かけて、文化や習慣の違う場所で、苦労をしたくなんかはない。
が、それを引き受けても、欧州へ行くだけのメリットがある、または、生まれた国の状況が、悪すぎる、戦争や内乱で、荒らされ尽くして、とか。

「収奪が目的ではない」

中国は、アフリカへの関与について、「西洋とは違うんだ」ということを、非常に意識している。
収奪が目的ではないんだ、と。
そして、今回の会議では、5つの指針を発表している。
The fundamental difference between China’s and the West’s policy toward Africa - People's Daily Online
In his speech, President Xi said China values sincerity, friendship, and equality in pursuing cooperation, and said that China follows a “five-no” approach in its relations with Africa.

“No interference in African countries’ pursuit of development paths that fit their national conditions; no interference in African countries’ internal affairs; no imposition of our will on African countries; no attachment of political strings to assistance to Africa; and no seeking of selfish political gains in investment and financing cooperation with Africa,” Xi said.

This is the fundamental difference between China’s and the West’s policy toward Africa.
スピーチの中で、習近平国家主席は、中国は、協力にあたって、誠意と友情と平等を重んじると述べ、中国は、アフリカとの関係において、「5つのノー」を守ると述べた。

  • それぞれのアフリカ諸国の発展状況に合った道程への不干渉
  • アフリカ諸国の内政への不干渉
  • われわれの意思をアフリカ諸国に押し付けない
  • アフリカへの支援にあたり、政治的なヒモをつけない(役者註:傀儡政権を置かないという意味だろう)
  • アフリカへの投資によって、自分勝手な政治的利益を得ない

これが、アフリカに対する、中国と西洋側の根本的な方針の違いである。
中国政府は、対アフリカに限らず、「ウィンウィンの関係」を、基本としている。
双方が満足するような取引関係を結ぶ、そのことによって、どちらにも恨みを残さないから、将来的な禍根のタネも、残らない、そういう「長い時間をかけて、中国文化で育まれた知恵」に基づく、平和な発想である。
西洋には、こういう発想はない。
強いものが勝つ、弱いものは、言うことを聞け、弱いんだから、我慢をしろ、それだけ。

中国のアフリカへの投資には、マルチな目的がある

アフリカへの投資というのは、市場としてワークするまでの間は、純粋に、投資になるだろう。
が、これはたぶん、「100年後の収益を期待する」とか、そういうことだけの話では、ないのである。
中国には、しつこくて、タチの悪い敵がいる。
アメリカだ。
そして、長い時間をかけてでも、アフリカ全体を「親中」に導くということは、これは、「対アメリカ」という意味では、ものすごい意味がある。
アフリカが「沈黙しているように見える」のは、まだ、発展途上で、弱いからである。
人口や、面積から言ったら、本来ならば、もっと「発言権がある」はずなのである。
そして、そこまで育てれば、そしてそれが、中国の投資に応える形に育ってくれるのであれば、こんなに頼もしい味方はない。
100年かかっても、200年かかっても、「やる意味」はある。
中国の人は、本当に、長いスパンで計画を立てるのである。
そして、アフリカへの投資というのは、「対アメリカ」というだけの話ではない。
人口だ。
地球全体の人口は、今後、もっと抑制しなければ、絶対に無理である。
そして、中国は、自国では、かなりの抑制をして、効果を出している。
が、一番人口が増えているのは、もちろん、アフリカである。
そして、それをなんとかするには、生活レベルを上げるしか、ないのである。
生活レベルを上げて、1人1人の子供の育成に「資源」をかけさせるようにしなければ、子供の数というのは、減らない。
中国は、そこまでやるつもりなのである。
そして、それをするということは、つまりは「経済難民の数を減らす」ということにも、つながるわけである。
地球全体のためになる。

「得意なこと」をすればいい

日本人というのは、民族的には、そういう「長期的で、規模の大きな計画」を「企画する」には、向いていない。
そういう経験が、ほとんどないし、20世紀に入って、ちょっと試しにやってみたら、見事に失敗して、ほとんどのアジア人から恨まれた。
さらに、「国の規模(面積・人口)」からしても、向いていない。
だから、「向いていない」のだから、「向いていること」を、したらいいのである。
向いていることって、なんだろう。
何かあるよ。
私たちは、生まれた時から、呪われているわけではない。
世界の中でも、北東アジアの民族というのは、平和的で、勤勉で、優れていると、誰もが認めているわけで、そして、日本人というのは、その中の、一部族である。
もともとは、祝福されている。
何か、自分たちに得意なことでもって、世界の役に立つことは、できる。
ただし、中国人と張り合って、同じことをすることによってではない、というだけの話。